2003.10.12 加藤いづみ,高橋研 金沢もっきりや
"romeo" the acoustic
アルバムリリース後も忙しく活動がつづいているいづみちゃんが金沢で久しぶりのライブを行いました。
会場の「もっきりや」は程よい狭さ?のライブハウス。縦長の店内にカウンター席とボックス席が
あり、奥のステージ中央には椅子が2脚とピアニカの載った小物置き。その右側には12弦ギターが
置かれています。下手側にはグランドピアノがあり、マイクのセッティングがあることから
今日もピアノ弾き語りへの期待が高まります。
顔なじみの仲間と談笑するうちに予定時刻となります。少し遅れていづみちゃんと研さんが外から
店内に入ってきます。開口一番「マイクいらないねぇ」と思わず漏らすいづみちゃん。研さんは
持参のカメラで客席を撮影します。
い>短い時間ですが楽しんでいってください
1 ネガ
2 カンパリソーダと7号線
研さんの12弦ギターが奏でる旋律にいづみちゃんの爽やかな歌声が絡み合って、上々の滑り出し。
M2の間奏でいづみちゃんはピアニカを吹きますが何やら妙な音程で照れ笑い。
い>いきなりピアニカで中近東の音が出てびっくりしちゃった(笑)。金沢でライブをするのは久しぶり。
どれくらい? 9年ぶり? 金沢の方も待ってくれてたんですね。こうやってライブハウスで
ワンマンでやるのも初めて。楽しみにしてきました。来てくれた人にこちらから拍手。
もっきりやさん、呼んでくれてありがとう。
さっそく紹介しましょう、ステージには二人しかいないので。Gt 高橋研〜。
こうやって二人でライブをやるのも初めて。私以上に緊張してるんじゃないかな
研>いや、俺は全然緊張してない。大丈夫。天気も良くて祭りもやっていて
い>遠くから来てくれた人も多いんでしょう? えっ殆ど? 金沢で人気ないのかな?!(笑)
こうしてお客さんと肉声で話しながらライブをするのというのもないことなので、
でもあんまり馴れ馴れしくしないように(笑) 最後まで楽しんでください。私も楽しみます。
4年ぶりに出したアルバムの中から聴いてください。
3 小さな後悔
9月のソロライブでは披露されなかった1曲。いづみちゃんのピアニカ演奏あり。
4 一番高い電信柱で
しみじみとした佳曲が続きます。ピアニカあり。
い>昨日金沢に来て石川テレビの「N-18」の収録をした。その前番組の「Beat goes on」で
デビュー間もない頃、1年半くらいかな....見てない? 残念、水着で出てたんですよ(笑)
嘘うそ、真面目な番組です。石川テレビに失礼じゃないか?!(笑) 「N-18」の特別番組に
参加して、泉谷しげるさんがゲスト。すごかったですねぇ
研>体調が万全だったら泉谷さんと喋り倒したかったんだけどね。(もう一人のゲストは)
触られまくってたなぁ
い>私は匂いをかがれる程度。そういう対象じゃないらしい。「いづみはな、まだ子どもだから」なって
研>綺麗な花でも見るようだったな。「そのまま育っていって」ってな。誤解してるよなぁ(笑)
い>(笑) 今笑ってるヤツ、退場! 帰って良し(笑) 段々泉谷さん入ってきました(笑)
昨日は新幹線で米原まで来て乗り換えた。初めは時間がかかりそうだと思っていたけれど、
昔ハマッていた「桃太郎電鉄」で馴染みだった米原で初めて降りたし、通過する小さな駅が
自分の田舎を思わせるような駅。川沿いに秋桜や彼岸花、シロツメクサ(#これはおそらく
研さんの指摘どおりソバの花でしょう)が咲いていたりして、電車で来るのもいいなと。
5 好きになって、よかった
い>せっかくピアノがあるので弾きたいと思いますが....
研>(店長に)すみません、ビールを
い>ノンアルコールでお願いします(笑)
(ピアノに移動して)後ろを見られているという緊張感もあるけど、(目の前に)研さんが
いるという緊張感もありますね
次は小田和正さんのツアーで松山公演直前にプレゼントされた曲。皆それぞれの海、デートで
行った海を想像しながら聴いてください。
6 海へ続く道
緊張感が伝わってくる演奏ですが、私も「海」を思い浮かべることができました。
い>もっきりやにPfがあると聞いて弾き語りをしようと思った。自分の家にあるのはエレピなので
本物のPfに触れておこうとスタジオに入った。自主練ね。2,3畳しかない狭いところで練習
というか触って遊んでいた。そこにアップライトピアノとエレクトーンがあった。
小さい頃からPfは習ったことがなくて、エレクトーンを習っていた。Pfは右でコードを押さえ
左でベース音を弾く。エレクトーンは右でメロディ左でコードを押さえるのでなかなか難しい。
久しぶりに弾いたら自転車と同じで一回身体に叩き込まれたものは忘れない。左足でベースを
弾くのだけれど、ものすごいスピードで左足が動くことを確認した。エレクトーンで弾き語りを
するアーティストはいないのでちょっとやってみたけれど、どうしても「お天気お姉さん」
みたいになってしまって(笑)格好悪い。小さな頃、習い事をしましたか? 私は剣道とお茶を
ちょっとだけ習っていた。エレクトーンはすごく先生に誉められて。小さな頃から誉められると
頑張る子だったんで(笑)、けなされると速攻、剣道みたいにやめちゃうんだけど(笑)、みんな
発表会で『恋は水色』などいかにも、という曲を弾いているのに、私は「自由に選んでいいよ」と
言われたので『太陽に吠えろ』のテーマ曲を弾いて大人気だった。「あの子はちょっと
おかしい」って(笑)。それが今でも弾けて、あのころの幼い自分が今でもどこか身体の中に
残っているみたいで嬉しかった。
作曲もその頃からしていて「いい曲ができたら弾いていいよ」と言われていた。初めて作った
曲が三拍子で「友達100人」。すごいタイトルを小さな私はつけていたなと思う。
CD付きのエッセイ集を出した。歌を唄っているので「CD付けるのどう?」と話があって、
自分で曲を書いて、本を書き終わった後に自分が思ったことを詞にして弾き語りをした。
エッセイで思っていることを素直に書いたので、格好良いことをするよりも素直な自分を
出そうと思った。読んでほしいけれど、裸を見られるようで恥ずかしい部分もあって複雑。
実は何年も前に半分できていて、アンコールで1番だけ唄ったことがある。
こうやって音楽が私とあなたを結びつけてくれて、でもそんなにいつもいつも会えるわけじゃ
なくて、いろんな場所に行って唄いたくても現実には難しく、それがとてももどかしくて、
そんな気持ちを書いた。それが私の中に残っていた。今回CDに素直な気持ちを乗せた曲を
録音しようということになって、この曲を思い出して2番の歌詞を付け足したら、私が
すごくおもっていることなんだなって。ちょっと恥ずかしいけど大切なファンの人を
思って書いた曲です。
7 愛になって
い>研さん何してるのかな? 研さ〜ん、終わったよ(笑) #研さん缶ビールを手に入場
研さんはプロデューサーですが、アーティストでもあるわけで。
「せっかくだから唄ってよ」と言ってたんですけど、何せね、風邪ひいちゃって
研>でも唄うよ! #はけるいづみちゃん。
さっき「緊張してるんじゃ?」という話があったけど、僕が音楽をやり始めた1970年代は
こういうアットホームなお店が沢山あって、音楽を愛するマスターの厳しい指導のもとに
音楽をやっていたものなのです。だからこういう所に来ると落ち着くというか、水を得た
魚のように唄ってみます
8 うそつきのロッカー [高橋研]
研>ホントは1曲の予定だったけど、とても気持ちがよいのでもう1曲唄います。いいかな?
(遠くから「いいよ〜何曲でもどうぞ」といづみちゃんの声)
みんな、帰りに空を見上げると火星が東京よりも遙かに大きくて、いい夜空ですよ、とても。
雲もくっきりと見えるし。夜の雲がはっきりと見える空はいいよね。空気が澄んでいることを
実感できる。今日の空はそんな風です、俺の心のように....ここ笑うところだよ。
今日は加藤いづみを愛する人が集まっている訳だけど、仕事の時など一番そばにいる俺に
訊きたいこととか言いたいこととか色々あるだろうけど、受け付けません(笑)
9 金色のライオン [高橋研]
懐かしいフォークの香りが漂うナンバー。ブルースハープを吹き唄います。
M8、M9とも川村かおりさんへの提供曲です。
研>俺が世界一愛している女を紹介します、加藤いづみ〜
い>今回の風邪は長いですね
研>鍼も効かず。風邪の後に体調を崩したのがね。歳をとるというのはね、身体を労ってないと
大変なことになりますよ。10年くらい前から加藤いづみという人にいじめられ、朝まで
レコーディングをさせられ、睡眠時間が2時間、3時間でも
い>今回の「romeo」も大変でしたね。曲作りを始めて3ヶ月くらい事務所のスタジオに通って、
30曲くらいの中から選んでレコーディングしようとしたら、「なんでこんなに日がないの?!」
でも私と研さんはいつもそうですね。それが普通なのかな?
研>それが当たり前のような身体になってしまったね(と言いつつイントロを弾く研さん)
い>これは「歌え!」ということなのかな(笑)
10 パンプキンソング
シェーカーにピアニカつき。
11 今日までそして明日から [吉田拓郎]
ピアニカつき。最後のリフレインで入りをトチって苦笑するいづみちゃん。
い>では、ちょっとHな曲を。
12 フレンチキス
研さんのストローク演奏とブルースハープがアングラ感を引き出しています。
い>楽しんでますか? もう終わりの方なんですけど....そこ、時計を見ない!(笑)
ずっと座ってしっとりとした曲も多かったので身体も固まってきたと思うので、みんなで
楽しみましょうか。
13 ロメオ
スッと立ち上がって唄ういづみちゃんに会場いっぱいの観客も手拍子で応えます。
い>今日は本当にどうもありがとう。最後はこの曲を歌いたいと思います。
14 ドライヴ
盛大な拍手に送られて研さんは一旦下がりますが、いづみちゃんはそのまま居残ります。
い>研さんは向こう行ったんですけど、私は下がるのが面倒くさいのでここにいます(笑)
「じゃ、初めからもっとやれよ」ってねぇ(笑) (盛大な手拍子に)ありがとう。
ここからは別料金で(笑) 嘘うそ。泉谷さんみたい。
研>リクエストは?
い>『青空』? 他には? 『All I want is you』? デビューアルバムに入っているんですけど
もう何年も唄ってないですね。覚えてますか? 研さん、あなたが書いた曲(笑)
♪All I want is you〜 こんなの。じゃ、今度練習しておきます、9年後に(笑)
『新世界』? ちょっとやろうか。
E1 新世界(途中まで)
ギターの♪ジャーン というフレーズが嬉しい1曲。
実はこれ、私の相方のリクエストでした。
い>じゃ、研さん、アンコールにお応えしましょうか、今のもお応えしてるんですが。
E2 ZERO
一杯の手拍子にいづみちゃんも嬉しそうな笑顔です。間奏でスキャットが入ります。
い>ありがとう。今までコンサートをやろうとすると、きちっとしないといけないと思って
いたけれど、身軽な感じで「歌いたい」って思ってその場所に行くって、なんて気持ちが
いいんだろうって、初めて経験したみたい。一番後ろの人もこっちを見てくれてるって
わかるし、顔も見えるし、ずっと1日「何聴きたい?」ってやってたくなる。いつか
できたらいいなって思う。遠くから来てくれた人、待っててくれた地元の人、今日この日
ここに来てくれて嬉しいです。ありがとう(深々と礼)
E3 君のこと
完成度の高いライブを締めくくるに相応しい1曲でした。
い>ありがとうございました。気を付けて帰ってください
1時間50分ほどのライブ。終演後はエッセイ集の即売&サイン会が行われました。
今回のライブでは、いづみちゃんのピアニカが良いアクセントになっていました。
Pf弾き語りも無難にこなしており、これからも期待できそうです。
30〜40人ほども入ればいっぱいになってしまう大きさ、東京のライブハウスにありがちな
客席の照明を極端に落とすようなこともなく、アーティストと観客の一体感が最後まで
保たれるライブハウス。そこを舞台に加藤いづみ&高橋研 両氏が繰り広げた心温まる
アコースティックなライブでした。
終演後、観客もスタッフも皆笑顔一杯だったのは高い満足感の証明といえるでしょう。
アンコールでリクエストに応えてもらうなど、望外のお土産も貰えた楽しいライブでした。 .. ..
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