2000.08.04 岡本真夜 日本武道館

RISE

この日のライブを以て産休に入る岡本さん。会場の日本武道館はいっぱいの観客で、
立ち見も出る盛況ぶりです。ステージ中央には銀色の羽根がついたエンジのソファ。
奥の方には銀色の大きな木のオブジェが1本置かれています。

定刻よりやや遅れて岡本さんがステージへ。水色の柄入りワンピース、ピンクの帽子と
ショールのようなものを羽織り、手を振りながら登場します。笑顔いっぱいの表情です。
ソファに腰掛け、ゆったりとした口調でお喋り。

MC>みなさん、こんばんは。今夜は来てくれてありがとう。デビュー5周年を迎えて
  いろんな意味で特別なライブになりそう。シングル曲をダーッと並べる形に
  なるけど、私もそうだけど皆さんもこの5年間いろんなコトがあったと思います。
  そんなことを振り返りながら、ゆっくり楽しんでいってもらいたいと思います。
  最後までお付き合いください。

1 Will..
  Gt,Key,Chor×4のアコースティックな編成でスタート。
  岡本さんはお腹に手を当て、ときおりポンポンと拍子を取っています。

2 泣けちゃうほど せつないけど
  ストリングス×4,Keyの伴奏に変わります。スローなアレンジが映えます。

3 サヨナラ
  Bs,Drも加わって、音の厚みが増します。

MC>どうもありがとう。今回のセット、大きな木が後ろにありまして、日立の木
  みたいでしょう?(笑) 今日は「森の中の演奏会」みたいにしたいと思って
  こんなセットになっています。
  まだ皆さんには直接話してなかったのでご報告します。えーっ、結婚いたしました。
  (盛大な拍手に)ありがとうございます。以上です(笑)。照れるんであんまり
  話はしないんですけど、ビックリさせた方も多かったと思いますが、私も
  ビックリなんです、ホントはね(笑)。運命の人に出会えて良かったなーと思います。
  さて、最近懸賞にハマッてまして、なっちゃんのハッピーバケツ当たったんです。
  すごいでしょう? CM見てからすごい欲しくて、スーパーで買ったらいきなり
  当たっちゃったんです(笑)。懸賞は何が楽しいかというと、ハガキに住所とか
  名前とか書くじゃないですか。職業の所に「OL」って書くのがすごく楽しくて
  (笑)。だってほら、一度は経験してみたいと思って。すみません(笑)。
  3曲聴いてもらって、普段のCDのアレンジとはちょっと違ったかと思いますが、
  ファンレターでも私の書く詞が好きという方が多いので、アレンジを大胆に変えて
  いる曲もあります。言葉を一つひとつ胸に刻んでほしいな、と思います。
  次の曲は2枚目のアルバム「Pureness」に入っている曲。私は高知県出身なので
  ほとんど雪の降らない所なんですけど、雪の中のデートのワンシーンに昔から
  憧れていて、冬のラブソングも結構多かったりします。その歌と、続編として出した
  曲を続けて聴いてください。

4 銀色の週末
5 Everlasting

MC>どうもありがとう。95年にデビューして5年も経ってしまったわけですけど、
  お仕事をして一番嬉しかったのは楽曲提供ができたこと。もともと楽曲提供は
  いつかはやりたいと思っていたけど、自分の中では「とりあえず10年は自分の
  ことをしっかりやって、その後にできたらいいなぁ」と思っていたので、
  デビューしてから2〜3年でできたのは嬉しかったです。
  プロデュースした石井聖子さん、広末涼子さん、中山美穂さん....。私が楽曲
  提供したのを知らずにCDを買ってくれた人からお便りをいただいたりして。
  今後も楽曲提供はしていきたいと思ってます。
  逆に、ショックだったことは、先日の大阪ライブで初めて人前で話したのだけど、
  デビュー当時はテレビもラジオも取材もなくて(自分の)顔がわからなかった。
  「岡本真夜は30歳だ」という説があったらしいんですけど(笑)。そういうのが
  あって、テレビに出始めて、緊張とか不安とか自分に自信がなかったりとかで
  結構「おとなしい」イメージが付いてしまった。「喋らない・動かない・笑わない」
  って言われてたんです。実際はそんなことなかったんですけど、新人の頃は
  なかなかカメラの前で笑えなかったんです。で、楽曲提供したりして自信も
  付いてきた頃、3枚目のアルバムの「Smile」で初めてカメラ目線で笑った
  写真を出したんです。そしたら「岡本真夜、整形した」って噂が流れて(笑)
  それすごーいショックだったんですよ。友達にも言えないくらいに。
  まぁデビュー5周年だし、こういう話もしていいかなと、大阪で初めて
  話したんですけど、(整形)してないですよぉ(笑)。周りの人にも言っておいて
  くださいね(笑)。
  でも自分でも表情は変わったな、と思います。やっと「Smile」あたりから
  いつもの自分らしさが出せるようになったし、今ではのびのびと仕事が
  できている訳なんですけど。ちゃんちゃん(笑)

  続いての曲は、私のデビューのきっかけとなった曲です。高校3年生の夏、
  事務所にデモテープを送ったんです。いつもこの曲には元気づけられる。
  未だに私の好きな曲best1で、歌詞もメロディーも好きです。自分を支えて
  くれた歌と言うことで、ここで唄いたいと思います。

6 Peace of my wish [今井美樹]
  Pfの伴奏のみでしっとりと歌い上げます。

MC>どうもありがとう。カラオケの十八番なんだよ(笑)。でもいい歌だよね。
  夢を叶えるためには自分自身を信じることが大事だなって思います。
  でも辛いことが重なったりすると、ダメになっちゃったり頑張ろうって
  思ったり、そんな繰り返しです。私もデビューしてから何度かあったんです。
  やっぱり自分に負けない気持ちをいつまでも持ち続けていたいと思います。
  話は変わって、今まで何十曲か出してきたんですけど、ストックにもまだ
  曲はあるんですけど、曲を作るときは「作家」として作るから「歌手」として
  唄うときのことを考えてないんです。だから曲を書くときは「すごい良い曲が
  できたなぁ」と思って、でもレコーディングしようとすると「わっ難しいな」って
  思うことが結構あって(笑)。次の曲は19歳の時に高校生の頃の想い出を書いた
  曲です。作ったときは音域が広い曲なので唄いこなせなくてストックの中で
  眠らせてたんですけど、4年経ってやっと歌えて、ボーカルの成長も感じられ
  ました。まだそんな曲はストックにあるんですけどね。

7 想い出にできなくて
  フルバンドながら切ない内容の歌詞が引き立つ控えめな伴奏です。

8 大丈夫だよ
  一転してテンポアップします。立ち上がった岡本さんにつられるように、
  観客も皆立ち上がって手拍子を送ります。
  立ち上がるとさすがにお腹の周りがふっくらしているのがわかります。
  お腹をそっとさすりながら唄います。

9 宝物
10 明日へ
  歌い終えてソファに戻り、ほっと一息つきます。

MC>どうもありがとうございます。座っちゃった(笑)。最初からずっと
  バラード調で、座りっぱなしだったのでちょうど良かったかな?(笑)

  私は『TOMORROW』でデビューしたんですけど、デビュー当時はテンポのよい
  曲は苦手で、バラードが唄うのも作るのも得意だったんです。自分としては
  ホントは次の曲をデビュー曲にしたかったんですけど、『TOMORROW』で
  デビューして良かったみたいです(笑)。
  この曲は海でのワンシーンを描いたものです。花の名前がタイトルになっていて、
  花言葉は「あなたを信じています」。すごく大好きな曲です。

11 Blue Star

MC>ありがとうございます。いい曲でしょ? (観客拍手)すみません、同調して
  いただいて(笑)。すごい好きな曲なので、いつかシングルで切れたらいいなって
  思ってるんですけどね。
  続いての曲は、この曲も19歳頃に作った曲です。学生時代は片思いが多かったので、
  「こういうデートをしたいな」とか「理想の男性像はこうかな」とか、憧れで
  書いた曲が多いです。次の曲もそうなんですけどね。

12 FOREVER
13 そのままの君でいて
  再びテンポのよい曲ですが、今度は座ったまま。

MC>どうもありがとう。楽しんでますか? 良かった(笑)。
  今の曲は高知の友達に贈った曲です。高校を卒業して上京したんですけど、
  いろいろ不安があったりして、「そのままの君でいて」って手紙に書いたり
  書いてもらったりしてました。その言葉が胸にしみて出来た、大切な曲です。
  次の曲は岡本真夜いちばんの転機となった曲だと思います。『TOMORROW』で
  デビューしてすごくたくさんの人に聴いていただいて、すごく嬉しかったん
  ですけど、2年くらいはどこに行っても『TOMORROW』の岡本真夜って前置きが
  付いてしまって、私自身はバラードが得意だし、すごくたくさんの人に
  聴いてほしいし、『サヨナラ』みたいなマイナー系の曲もストックにいっぱい
  あったし、そういう曲も認めてほしいっていうのがあって悩んでたんですけど
  次の曲がシングルで出て、特に女性の方に共感していただいてすごい嬉しかった
  ですね。その時点で岡本真夜を認めていただいたような気がして、精神面でも
  のびのびと音楽活動ができるようになりました。
  この曲は恋愛に喩えて書いてますけど、ホントは都会の冷たさから「ぎゅっと
  誰か抱きしめて」というワンフレーズがでてきて、そこから広げていって
  できた曲です。どんな人の胸にもある言葉だと思います。

14 Alone
  この曲もPfと弦の伴奏。切なさが増しますね。

MC>どうもありがとう。泣いた? 良かった(笑)。この曲は女性に支持された
  曲なんですけど、男性でも「この曲が1番好きです」って言う人が多くて
  嬉しいです。大事に唄っていきたい曲です。
  (マイクスタンドが持ち込まれる。傍らの箱を取り上げて)
  今日はこういうもの、オルゴールを用意してます。もし自分の曲の中で
  大好きな人に曲をプレゼントするなら、この曲にしたいです。

15 ANNIVERSARY
  優しい音色のオルゴールでサビのフレーズを唄った後、バンドの演奏が
  入ります。

16 魔法のリングにkissをして
  途中、涙で歌詞につまるシーンがありましたがすぐに立ち直ります。

MC>どうもありがとうございます。すみません、泣いちゃいました....。
  (順次メンバー紹介。一人ずつ退出していきます。)
  ストリングス 堀沢真己,高橋 直之(たかはしなおと),クラッシャー木村,落合徹也
  Chor 国分友里恵,佐々木久美,岩崎元是(いわさきもとよし),高尾直樹
  Key あらきけいすけ,Gt 中村修司,Bs 種子田健,Dr 野口明彦,Key重実徹
  そして、岡本真夜でした。どうもありがとう。

  この5年間いろんなコトがありました。つまづいちゃって、ホントに音楽を
  やめようかな、と思ったこともあったし。でも嬉しいことも楽しいことも
  数え切れないほどありました。結婚は、デビュー5周年と偶然重なったものでは
  あったのだけれど、高校生の頃ドリカムの唄を聴いて「歌手になりたい」と
  思った私のもう一つの大きな夢で、多分一番大きな夢だったと思います。
  今はそばで守ってくれる人がいてすごく幸せだし、これからもつまづいたり
  悩んだりすることもあるだろうけど「一人じゃないんだな」って、心強いです。
  お腹の中には赤ちゃんもいるし。さっきね、唄ってるときお腹蹴られたんですよ。
  「ガンバレ」って言ってるんだな(笑)。
  この5年間、前ばかり見てて、ホントは振り向く余裕もないくらい忙しくて
  突っ走ってきたんですけど、アーティスト岡本真夜としてちょっと一息入れたいなと
  去年から思っていて、結婚も重なって、今は一番大切なのは この子を元気に
  産むことです。プライベートな時間も今まで以上に楽しみながら毎日を送って
  いきたいと思うし、またその中で見つけたことをメロディや詞にしていけたらと
  思います。復帰がいつかはまだ言えないんですが、自分ではそんな長く休むつもりは
  ないんです。今日で一応仕事は産休をもらうんですが、すぐにデモテープ作りを
  したりするので安心してください。お手紙で「もう帰ってこないんじゃないの?」
  というのもいただいたけど、それは絶対にありません。待っててね。
  音楽はホント大好きだし、これがないと生きていけないって思うし、心の
  クスリだし、一人でも私の唄を聴きたいといってくれる人がいる限り私は曲を
  作り続けていきたいと思っています。これからもさらに人間としてもアーティストと
  しても磨きをかけていきたいと思います。今日は本当にどうもありがとうございます。
  (深々とお辞儀をする岡本さん。お腹が気になってしまうほどです)
  ありがとう、ホントに最後の曲になってしまいました。
  この曲があったから岡本真夜がいられると思います。

17 TOMORROW
  アカペラで歌います。

ステージ後ろのスクリーンが取り払われると数十人のストリングスチームが
現れます。『TOMORROW』をアレンジしたBGMを背中にステージの端まで歩き、
手を振りお辞儀をする岡本さん。

MC>どうもありがとうございました。また来てくださいね。
  来てくださってありがとうございます。元気な赤ちゃんを産んでまたすぐに
  戻ってきますので、また会いに来てください。

名残惜しそうな表情でステージを去る岡本さん。2時間をゆうに超えるライブでした。
アンコールの催促をする拍手もありましたが、すぐに客電が点き、退場を促す
アナウンスが流れます。

ストリングスやコーラスを多用した伴奏は、岡本さんの意図どおり歌をじっくり
聴く状況を作り上げてくれました。歌い込み不足を感じる場面が少々ありましたが、
まぁ身体のコンディション等を考えれば許容範囲でしょう。
5周年の集大成として、十分堪能させてもらいました。11月にはライブビデオとして
再び楽しむことができそうです。 ..

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