99.06.05 谷村有美 神戸国際会館

ピアノが微笑んでる

会場は三宮駅から徒歩5分ほど。私が到着した時には既に大勢のファンが
集まっていました。りっきーさんや他のPATIOの仲間と合流し、
整理番号順の呼び出しを待ちます。久々のタニムラライブということで、
多少興奮気味の人の姿も。延々長い行列を作った後、番号チェックを
するでもなく、招待ハガキをチケットに引き替えて入場。落成したばかり、
とても綺麗なホールです。全体に木目調を活かしたデザイン。オペラハウスの
如く、客席両脇に張り出した2階席、3階席、4階席も設けられています。
椅子もゆったりと配置され、適度な傾斜がついていて、どの席からもとても
見やすいようです。約2,000の客席がいっぱいになりました。

開演予定の13時を5分ほど過ぎて客電が落ち、赤い緞帳の向こうから
ピアノの音色が聞こえてきます。

1 Instrumental Part 1

幕が上がり盛大な拍手です。真っ白のノースリーブのミニワンピが
なかなかお似合いでした。
途中PAのミスかハウリングをおこしたり、左スピーカーから音が出なく
なったりしたものの、ピアノの生音がちゃんと届いています。
そのまま続けて

2 約束〜promise〜(新曲・表記不詳)

♪ひとつだけただ一つだけ 伝えたくてここに来ました
 (中略)この素晴らしい始まりに おめでとう〜

このイベントが決まったときの気持ちを書いた新曲とのこと。
ゆったりとしたバラードのAメロに、マイナーコードに転調したBメロを
組み合わせています。さすがのタニムラもちょっと緊張気味かな。

何とか演奏が終わり、舞台の前に出て手を振り、投げキッスを
飛ばすタニムラ。笑顔いっぱいです。ショートカットにしてちょっとパーマを
かけた様子。「秋の味覚ツアー」頃の長さですね。なかなかいい感じ。

いきなり「こんばんわぁ。」と挨拶。「習慣ってとれないもんですね」との
発言に笑わされてしまいましたね。恐らく考えていたツカミだとは思いますが
久々の対面の緊張をほぐすには笑いが一番。
「『こんにちは』っていうとロンパールームのお姉さんみたい(笑)」
「私、お休み中だから今日は『バイト』?(笑)」
なんて言っていました。

イントロなしで
3 心はいつも側にいる

「愛する人へツアー」以来の登場。個人的に結構思い入れのある曲なので、
聴けて嬉しかったです。
少しテンポが速いですね。でも、歌っている途中から高音の伸びがどんどん
良くなっていきます。

ここでヒロ寺平氏が登場し、このコンサートをやるまでの経緯のお話。
休業中にも関わらず会館側からイベントの話をもらい、生放送中のヒロ
寺平氏に相談を持ちかけたのだとか。会館オープン前に日帰りでホールを
見に来たこともあったそうです。スタインウェイのピアノは一昨年の
大阪城ホールや昨年の大阪フェスティバルでのライブの際にも使われた、
震災の生き残こり。今回のホールこけら落としに合わせて美しく化粧直しを
されて、その状態の良さを誉めるタニムラ。
このトークの間に、ピアノの椅子が入れ替えられ、譜面台が持ち込まれ
ました。ピアノのゲストが登場することが解ります。
ヒロ寺平氏の番組内でも明かされなかったSpecial Guest、リスナーからの
FAXでは「KAN」「矢野顕子」などに混じって何故か「チック・コリア」の
名もあったのだとか。

そしてジョー・サンプルさん登場。しばらくトークした後、

4 MELODIES OF LOVE(Joe Sample)

を演奏。彼は1967年にパーシーフェースオーケストラのピアノマンとして
初来日して以来、旧神戸国際会館でも何度か演奏したことがあったとか。
溢れる涙をタオルで拭いつつ、しかし視線は彼の指先を食い入るように
見つめるタニムラ。
ジョー・サンプル氏、この日もイベント終了後ブルーノート大阪にて
ライブがあるとのこと。「立席だけど是非見に行って」とはヒロ寺平氏の
弁ですが、さすがに10,000円のチケットは手が出ないですねぇ(苦笑)。

5 空からの贈り物(with Joe Sample)
 「めちゃめちゃ幸せかも〜」と喜びを隠しません。

6 恋に落ちた(with Joe Sample)

歌い終えて涙をこぼすタニムラ。ジョー・サンプル氏の元に歩み寄り
抱き合って祝福し合います。
「いやー、休業して良かったのかしら?」ですって。

7 好きこそものの上手なれ(with Joe Sample)

前の曲ではクラシックのコンサートでも聴くかのように息をのんでいた
客席も、この曲では手拍子を送ります。舞台の前に出て、左右に歩き
手を振るタニムラ。

このあたりはジャズ風のアレンジになっていて、イントロを聴いても何の
曲か即座には判断できませんでした。「恋に落ちた」はやるだろうな、との
読みは働きましたけど...。「好きこそ〜」のアドリブの応酬は予想外でした。

3曲を歌い終えて、再び抱き合って祝福し合う二人。お爺さんと孫娘、
みたいな雰囲気でした。
印象を問われて「もうちょっとリハーサルしておけば良かった」と笑う
ジョー・サンプル氏。苦笑するタニムラ。同感と頷く私。

再びヒロ寺平氏とトーク。
3年前のライブでの手作り募金箱の話。
休業中なのに「タニムラさんの歌がないとこけらが落とせませんよ」と
会場関係者に言われ、神戸に救われた思いがした。
「もう忘れられているんじゃないかしら?」と不安に思ったこともあったけど
大勢の人が会いに来てくれて嬉しかった。「ありがとう」を言いたい。
免許を取ったばかりなのにB級ライセンスまで取得した。タニハハには
「もっと役に立つものを取ればいいのに」と言われた。
また、犬(イングリッシュスパニエル?)を飼い始めた。
曲も書き始めた。いつまでも遊んでいられないので。
充電期間の感想を解りやすく言うと「ちょっとお小遣いのある浪人生」か
「むちゃくちゃ体力のある老後」。

「久しぶりだといくらでも喋ってしまいます。また逢いに来てください」

8 子午線の通る街(新曲・表記不詳)

前回の(旧)国際会館でのライブ前日、前乗りしたスタッフと六甲山に
ドライブに行った事を即、歌にした。「次に国際会館で歌うときに
披露しよう」と思っていたが、その後震災でその機会もなかった。
今日がちょうどその心に決めていた日なのでお披露目した、とのこと。
これにて本編終了。まずはピアノに拍手をし、ついで舞台の左右に歩き
挨拶をするタニムラ。
一旦退きますが、もちろん盛大なアンコールの拍手が響きます。

着替えもせずに、舞台袖からちょっと覗き込むように顔を出し、お客さんの
アンコールの拍手を確かめてから再度登場します。

E1 あなたに出会えて
  「絶対帰ってくるからね」

再度、ジョー・サンプル氏とヒロ寺平氏が登場。3人でバンザイ→一礼。

最後はマイクを置いて、「またねっ、ありがとうございましたっ!」
とても澄んだ、綺麗な声がホールの隅々まで届きました。音響が素晴らしい
ことを改めて実感しました。「またねっ」の言葉、胸に届きました。
名残惜しそうに舞台を去るタニムラ。3本締めはありませんでした。
1時間半ほどのステージでしたが、とても爽やかな印象を持ちました。

会館自体もとても見やすく音響も文句なし。ただ、退場する導線が
エスカレーター2本だけ。かなり渋滞してしまいました。
これは何とかした方がいいかもしれませんね。
ロビーではCDやCD-ROMを販売していました。

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