| REIWA(令和) Story 2 あれから30年、ロードスターとは無縁な生活を送っていたはずのコダテ 「人は結婚と育児を経験し、ミニバンに乗って死ぬ」はずだったが... 令和 8年8月某日 今日は、かもかもとフジカモのアホアホコンビが結成される前の話をしようと思う。まだ尿酸値なんて言葉も知らなかった頃の話だ。 平成元年(1989年)オープンカーは金持ちが乗る車だった。 BMW325iカブリオレとか、ポルシェ911カブリオレ、サーブ900カブリオレなど すくなくとも、私達のようなプロレタリアなショボ系リーマンには縁遠い車達だった。 ベンツやフェラーリなんてブルジョアジーの象徴だ。 ショボ系リーマンが金も無いのにオープンカーに乗る。それは革命だ。 平成 元年9月某日 ショボ系リーマンがブルジョアジーと互角に戦う方法がある。それは、60回払いだ。 「60回払いでオープンカーを買おう」 センチュリーパークハイツの一室で、コダテが周囲を気にしながら小声でつぶやく。 フジカモが暮らすボロアパートの一室なので、周囲を気にする必要はないが そのほうが革命の雰囲気が出るからだろう。 60回払い?5年だぞ、5年!払い終わるころには、ピカピカの1年生が、5年生になってるんだぞ! そもそも北海道でオープンカーなんて無理だよ。幌型だぞ。 俺は屋根のある車でいいよ。HONDAのCR-X でも買って走り屋になるんだ。 平成 元年9月某日 今ならローン金利が安いぞ!シトロエンの低金利キャンペーンが使える。俺たちプロレタリアには、60回ローンしか味方が無いんだ! 俺と一緒にオープンカー買って革命を起こそう! コダテがそう言ったかどうかハッキリとは覚えていないが、そう言ったことにしておく。 とりあえず、琴似のディーラーまで車を見に行ってみっか。 平成 元年9月某日 革命前夜店頭に飾られたユーノス・ロードスターは雨に濡れていた。 雨粒はクラシックレッドの車体を滑るように流れていった。 平成 元年9月某日 ロードスターなのかCR-Xなのか、本当の自分は何を望んでいるのか。コダテが中山峠までドライブに連れていってくれた。 紅葉を見に来た観光客で一杯の駐車場の片隅に真っ赤な小さな車が停まっている。 ロードスターだ!店頭や雑誌で何度も見たことがある赤いオープンカー。 衝撃的だった。あの車に乗りたい。いま決めた。俺はロードスターに乗る。 平成 元年12月24日 クリスマスイブにロードスターが納車された。クラシックレッドとマリナーブルーの二台、ナンバーも連番だ。 今日から俺たちの革命が始まる。 よし、革命の始まりは、彼女とクリスマスイブを過ごしているブルジョアに 一泡吹かせてやることから始めよう! ピンポーン!あれ、部屋の電気が消えてるな居ないのかな?ピンポーン! ピンポーン!あっ、一瞬電気付いたぞ!居るよ。 高橋名人の20連射じゃこら!ピンポン!ピンポン!ピンポン!... えっ、どうしたの?あからさまに嫌な顔をした友人がドアのすき間から顔をだす。 部屋の中から、薄っすら煙が漏れている。 えっ、なにやってんの? ←クリスマスイブに突然襲撃している奴が言う台詞ではない。 彼女と花火やってたんだよ... えっ、部屋の中で? うん、小さい奴... そうなんだ、コダテと車買ったから見せようと思って... 平成 某日
それから数年、コダテとフジカモ、そして赤・青のロードスターはいつも一緒だった。 平成 某日 令和 8年8月12日 |