土地・建物などを交換したとき

原則としては、交換をした不動産の時価相当額が譲渡収入金額として、当事者双方に譲渡所得の課税関係が生じ、所得税・住民税がかかります。譲渡収入金額−取得費(交換する不動産の購入価格など)−譲渡費用(−特別控除)=譲渡所得

しかし、土地と土地、建物と建物などのように同じ種類の物を一定の条件のもとで交換した場合は、その資産の譲渡はなかったものとして所得税をかけないという規定があります。これは、単に資産の名義や場所、あるいは大きさなどが変わっただけにすぎず、これに税金をかけるのは見合わせようという考え方です。

一定の条件

1、交換する資産は、次に掲げるもので、同じ種類の資産であること。

土地、建物、借地権、建物に付属する設備・構築物、船舶、機械、装置、鉱業権

交換資産は固定資産に限られ、棚卸資産との交換の場合は、適用がありません。したがって、不動産会社が所有している棚卸資産である不動産との交換はこの適用がありませんので注意して下さい。

2、交換のために相手方に渡す資産も相手方から受け取る資産も、交換の当事者がともに1年以上持っていた資産であること。その資産は交換の目的で持っていたものでないこと。

3、交換した翌年3月15日までに、同じ用途に使用すること。

4、交換する資産の差額を金銭で調整する交換差金は、どちらか多い方の価額の20%以内であること。

この特例を受けるためには、交換した年分の確定申告書に「所法58条」と記載するとともに、譲渡所得の計算明細書などを添付します。

立体買い換え(等価交換)

自分が今まで使用していた土地や家屋があり、その家屋を取壊し、その上に建築業者が建築業者の資金でマンションを建築し、土地使用権または土地所有権相当額のマンションを建築業者より取得するということがあります。この場合、税法上、課税されないという買い換え特例が適用される場合があります。上記と異なり、土地と建物の異種交換ということになります。

個人が3大都市圏等内にある土地、建物等を譲渡し、譲渡した年の12月31日までに(一定の条件のもと延長可能)、譲渡した土地の上において地上3階建て以上の中高層共同住宅を取得し、1年以内に使用する場合は、買い換え特例が適用され、譲渡価額以上の取得をすれば課税されないこととなります。

形態としては、自己所有地を建築業者に譲渡し、同一場所に建築したマンションの区分所有権を買取る方法、実質交換ということになる、また、土地所有権はそのままで使用権と区分所有権を交換する方法が考えられます。

買い換え資産の中高層共同住宅は、譲渡資産を取得した者、または譲渡資産を譲渡した者が建築したものであることが必要で、いったん甲業者に買い上げられた土地が、乙業者に転売され、乙業者が建築した場合は適用されませんので注意が必要です。

*不動産取得税は、別個にかかります。