通達(概略―一部省略)

法務省民三第2069号平成10年10月23日

競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱(通達)

1、根抵当権の担保すべき元本の確定の登記の申請手続の特例

根抵当権の担保すべき元本の確定の登記は、根抵当権者が登記義務者、根抵当権設定者が登記権利者として申請することとされているが、根抵当権者が抵当不動産に対する他の担保権者もしくは債権者の申立による競売手続の開始又は滞納処分による差押があったことを知ってから2週間を経過したことにより元本が確定した場合については、申請書に民事執行法49条2項の規定による催告又は国税徴収法55条の規定による通知を受けたことを証する書面を添付し、かつ、当該根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記(根抵当権取得等の登記)とともに申請する場合に限り、登記義務者である根抵当権者のみで申請することができることとされた。根抵当権者のみで元本確定の登記を申請する場合には、申請書に催告等を受けたことを証する書面を添付しなければならない。なお、根抵当権者が催告等があったことを知った時を証する書面は添付を要しない。

催告等を受けたことを証する書面とは、抵当不動産について競売手続が開始した場合又は滞納処分による差押がされた場合に、執行裁判所の裁判所書記官又は税務署長等から根抵当権者に対して送付される催告書もしくは通知書又はその写しをいう。

根抵当権取得等の登記とは、元本の確定の登記に係る根抵当権について、当該根抵当権が確定したものとして、第三者が当該根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した場合に関する登記をいう。

2、強制競売における売却による登記の嘱託方法の改善

売却許可決定が確定し、買受人から代金の納付があったときは、裁判所書記官は、売却に伴う不動産の権利の移転の登記等を嘱託することとされているが、この嘱託は、不動産の買受人及び買受け人から競売不動産に抵当権設定を受けようとする者が代金納付までに申出たときは、裁判所書記官が当該申出の際に指定された登記の申請の代理を業とする者に当該登記等の嘱託書を交付して登記所に提出させる方法によってしなければならない。

登記の嘱託書は、申出人が指定する司法書士又は弁護士から登記所に提出されることとなるが、当該嘱託に係る登記済証は、嘱託者である執行裁判所の裁判所書記官に対して還付しなければならない。なお、この登記済証の還付に要する費用は買受人の負担とされているので、嘱託書の受付時に返信用封筒及び郵便切手を提出させるものとする。

登記の嘱託に連続して、当該売却不動産に対する抵当権の設定の登記が申請された場合には、当該抵当権の設定の登記に係る登記済証は、代理人である司法書士又は弁護しに対して還付する。

法務省民三第2068号平成10年10月23日

金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱(通達)

金融機関等が有する根抵当権の担保すべき元本の確定の特例

金融機関等が、その有する根抵当権の担保すべき債権の全部特定債権回収機関に売却しようとする場合において、債務者に対して次に掲げる事項を書面により通知したときは、当該根抵当権の担保すべき元本の確定期日の定めがある場合を除き、当該根抵当権の担保すべき元本が確定することとされた。

@根抵当権の担保すべき債権の全部を特定債権回収機関に売却すること。

A当該根抵当権の担保すべき元本を新たに発生させる意思を有しないこと。

根抵当権の担保すべき元本の確定の登記は、根抵当権者が登記義務者、根抵当権設定者が登記権利者となって申請することとされているが、申請書に当該根抵当権の債務者に対し上記の規定による通知をしたことを証する書面を添付し、かつ、当該通知に係る特定債権回収機関を登記権利者とする根抵当権の移転の登記とともに申請する場合に限り、登記義務者である根抵当権者のみで申請することができることとされた。

抵当権者のみで臨時措置法による元本の確定の登記をする場合には、申請書に通知証明書を添付しなければならない。

通知証明書中の配達証明書又はその写しに記載された債務者への到達の年月日は、平成10年11月16日から平成13年3月31日までの間のものでなければならない。

法務省民三第2070号平成10年10月23日

金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱(通達)

根抵当権譲渡に係る特例

被管理金融機関が承継銀行その他の金融機関に対して、また、承継銀行又は特別公的管理銀行が他の金融機関に対して、営業又は事業の全部又は一部の譲渡により元本の確定前に根抵当権をその被担保債権の全部とともに譲渡しようとするするときは、当該営業譲渡等の当事者である金融機関は、次に掲げる事項について異議のある抵当権設定者は譲渡金融機関に対し2週間を下らない期間内に異議を述べるべき旨を公告することができる。当該期間内に異議を述べなかったときは、根抵当権の譲渡についての根抵当権設定者の承諾及び譲渡後の根抵当権が譲渡に係る債権を担保することについての根抵当権者と譲受金融機関との間の合意がそれぞれあったものとみなすこととされた。

@譲渡金融機関から譲受金融機関に当該根抵当権が譲渡されること及びその期日。

A当該根抵当権譲渡後においても当該根抵当権が当該債権を担保すべきものとすること。

根抵当権移転の登記の申請書には、根抵当権設定者の承諾書を添付しなければならないこととされているが、この場合の根抵当権の移転の登記の申請書には、根抵当権設定者の承諾書に代えて、譲渡金融機関及び譲受金融機関が緊急措置法73条1項の公告をしたことを証する書面及び根抵当権者が同項の期間内に異議を述べなかったことを証する書面を添付しなければならないこととされた。