退職後の医療保険について

サラリーマンを辞めて、すぐ司法書士を開業したので、国民健康保険に加入することになったが、その保険料の高さに少し驚いてしまった。

国民健康保険は、市町村運営のものが中心であり、その保険料は、市町村の条例で定められているため、市町村の財政事情によって異なってきます。最近は、その差はあまりなくなったといわれますが、以前は、他の市町村へ引っ越したら、保険料が倍になったということもあったようです。1世帯当たりの保険料は、年間の最高限度(50万円ぐらい)が定められています。退職前の賃金が比較的高かった人(年収500万から600万以上)は、ほとんど上限額になってしまうということです(前年度の年収が基準となりますので、退職する人は注意)。

一般的には、退職後のコースとしては、健康保険の任意継続をして、その後国民健康保険・退職者医療、そして老人保険というのがが一番良いようです。

退職した場合、どのようなコースをたどるか

1、健康保険(共済組合)の任意継続

被保険期間が継続して2ヶ月以上ある場合(共済組合は1年になっている場合があります)は、退職後も2年間を限度として、引き続きサラリーマン時代の健康保険の給付を受けることができます(本人2割負担、家族入院2割・通院3割負担)。退職後、住所地の社会保険事務所または所属していた健康保険組合や共済組合に対して、20日以内に手続をする必要があります。

保険料は全額自己負担となるため、サラリーマン時代に納めていた保険料の約2倍になります(下記参照)。

2、国民健康保険・退職者医療制度

対象は、市町村の国民健康保険の被保険者のうち、厚生年金保険などの老齢年金を受けられる人などで、次のいずれかに該当すれば、適用されます。@被用者年金の加入期間が合算して20年以上あるA被用者年金の加入期間が40歳以後に10年以上ある

ただし、老齢年金などの受給開始年齢に達していない場合や老人保険の対象者は対象外です。

保険料は、一般の国民健康保険と同じですが、医療費の自己負担が優遇されます(本人2割負担、家族入院2割・通院3割負担)。

3、一般の国民健康保険

任意継続などの手続をしないと、この保険に加入することになります(退職後14日以内に市町村役場で手続をする)。負担は、本人・家族とも3割負担(入院・通院)です。

4、老人保険

70歳になると、すべての人はそれぞれの医療保険に加入したまま、老人保険制度の適用を受けることになります。負担は、外来は1500円、入院は11100円になります。負担金は2年ごとに医療費の伸びに応じてスライドさせていくようです(70歳以上はできればただにすべきだと思うが)。

保険料の比較

健康保険の任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額または所属する保険集団の標準報酬月額の平均のどちらか低い方に保険料率(政府管掌の場合85%)を掛けた保険料が全額負担となります。政府管掌健康保険の標準報酬月額の平均は30万円なので、保険料は、最高でも月額25500円になります。年間で306000円となり、一般的には国民健康保険料よりは安くなります。