書籍案内(最後に番外あり)

裁判・法曹関係

・「医療と裁判」弁護士 石川寛俊著(岩波書店)・「私は薬に殺される」福田実著(幻冬舎)

「医療と裁判」医療過誤訴訟についての裁判の実際、弁護士の立場、また医者・医療現場の対応、今後の展望等が冷静に語られている(なんと索引付き)。一方「私は薬に殺される」薬害被害者自らの手記であり、怒り爆発のなまなましい内容(すこしだけど司法書士も出てくる)、著者の主張・個性が迫ってくる。いっしょに読むとおもしろい。

・「交通事故紛争」加茂隆康著(文藝春秋)720円

交通事故紛争の実例が物語風につづられ、実務的な解説をおり込みながらも、一般の人にもわかりやすく、読み易くなっている。損保の実態(マイナス面)、不当なやり方には怒りを覚える。「弁護のホワイエ」として、コラムも添えられており、おもしろい。

・「ドキュメント 弁護士」読売新聞社会部著(中公新書)660円

弁護士の活躍や苦悩が実際の事例で紹介されており、また司法試験とそれをとりまく業界の状況、司法制度改革などについても言及されている。司法書士との業務独占をめぐる職域論争についても取り上げられている。

・「裁判官は訴える!」日本裁判官ネットワーク(講談社)1800円

現役の裁判官が、裁判官としての仕事や生活、現在の裁判所の問題点・課題を綴ったもの。裁判官の発言ではないが、コラムもおもしろい。

日本裁判官ネットワーク 1999年9月、1枚岩とされる裁判所に新たな風を吹き込むため現役の裁判官によって結成されたグループである。とかく顔が見えないと言われる裁判官が積極的に外部に向けて発言し、現在求められている司法改革についても研究、提言を行ってゆく」

・「裁判の秘密」山口宏・副島隆彦 著 (宝島社文庫)552円

裁判の実態が赤裸々に書かれてある。「判決はケツを拭く紙ほどにも役に立たない」「自分でやるのが一番」「司法制度への改革提言」など。

・「誰でもできる少額訴訟」司法書士 小澤 吉徳 著 (こう書房) 1400円

少額訴訟の手続が実例を多く取り入れ、わかりやすく解説されている。どのような場合に利用できる手続なのか、メリット・デメリットが明確にわかる。少額訴訟の制度はまだ始まったばかりで、これからどのように利用されていくかは不明な点が多いが、国民にとってよりよき制度となるよう司法書士も取組んでいかなければならないと思う。同じ著者の書籍として、「クレジット・サラ金で困ったとき必ず役立つ本」(こう書房)などがある。

クレジット・サラ金・借金問題関係

注)改訂増補のない古い書籍では、特定調停や個人債務者再生手続がカバーできていないものがあります。

・「簡裁クレサラ訴訟の実務」全国青年司法書士協議会編(民事法研究会)3200円(実務家向き)

司法書士が簡裁代理権を取得した後のことをも考慮し、作製されている。クレサラ関係のほか、悪質商法被害救済の実務も含む。

・「詳解 消費者破産の実務」芝 豊・小橋 清二 著 (民事法研究会) 4200円 (実務家向き)

「私たちとしては、これら実務的な要請にすこしでも応えたいと考えて執筆を続けてきた。そのような意味において、本書は、読者の方々に消費者破産に関する最先端の今日的情報を提供できるものと考えている。法律家であれば法律実務に精通していくのは当然であるが、最近の状況の中でやや気にかかるのは、法律実務やその技術に興味が偏りがちとなっており、クレ・サラ問題の本質やこの問題に対して持つべきマインドを忘れかけていないかということである。では、マインドとは何かといえば、不健全な金融制度に対する正当な批判であり、社会の病理現象に対する真摯な改善の要請であり、法的救済を受ける機会のない社会的弱者の保護であり、これらすべてを統合した精神を保持し、社会に対して発言する昂然たる姿勢である。」(はしがきより)

・「超・済出発」司法書士 勝瑞 (東林出版社) 1500円

クレジット・サラ金問題の実態・自己破産の手続が詳しく記載され、私的整理や調停手続についてもふれられている。本のタイトルに「超」がついているのが、すこし売りを意識しているようで気になるが、内容は実務的であり資料も豊富で、非常にわかりやすく書かれてある。

この本のおもしろいところは、コラムである。題目をあげると「目減りする国民の資産、減らない借金」「山一證券の悲劇」「破産に対する実務法律家の意識」「お笑い年金屋が関西からやって来る」「ついに出た恐縮屋」とかいろいろあり読みごたえがある。

・「これがローン破産脱出法だ」(日本実業出版社)1200円

ファイナンシャルプランナー 紀平正幸、住宅評論家 山本公喜、税理士 岡部徹、弁護士 宇都宮健児が分担執筆。住宅ローンに関しては、具体例を多く取り入れ、具体策を明示。タイトル「住宅ローン破産を絶対に切り抜ける法」「イザとなったら自己破産をためらうな」など。

・「だれも知らない借金・抵当権消滅法」太田哲二著(中央経済社)2000円

てき除の利用。

・「債権者会議」山口 昭 著 (太田出版)1500円

平成10年8月26日第1刷発行、平成10年10月18日第4刷発行

一企業の倒産劇をそれに関わった代表取締役自身が著述する。事実・人間模様・事件が詳細に書かれてあり、すべて実名で伝えているところは他に類をみないと思われる。倒産における法律的な記述は、ほとんどないが、事実関係とそれに取組んだ著者自身の心情は詳細である。

その他

・「ルポ解雇」岩波新書 700円・「住宅喪失」ちくま新書 700円−島本慈子著

身近な雇用と住宅を取り上げ、現在の日本で生じている問題点等を指摘し、主張を押しつけるのではなく、どのように考え行動していくべきかを問う内容。専門的な事柄もわかりやすく、事実を掲げながら読み応えがあるように記述されている。抽象的な紹介だが、一読をお薦めする。

・「独立開業ああ本日も仕事なし」司法書士 成田尚志 著(ビジネス社)1300円

ある司法書士が、主に開業1年目の状況を日記風にまとめたもの。1例ではあるが、司法書士の実情の一端を垣間見ることができる。自分の経験と重ね合わせ、しみじみと読んでしまった。実は、開業2年目から3年目ぐらいが勝負の期間で、厳しい期間でもある。

・「クーリング オフ ガイドブック」(社)全国消費者生活相談員協会 (最近の改正分なし)

訪問販売やキャッチセールスでの売買契約などは、8日以内であれば、クーリングオフ(無条件解除)できるということは比較的よく知られているが、その細かい要件や、実例などが詳細にわかりやすく説明されている。契約して8日すぎたからもう解除できないと思いがちだか、この8日は法定の書面が交付されてから起算するため、多くの場合がまだクーリングオフできる可能性がある。クーリングオフできないばあいの消費者被害救済も記載されている。

社団法人 全国消費者生活相談員協会 TEL 03-0448-9736 FAX 03-3448-9830

社団法人 全国消費者生活相談員協会関西事務所 TEL 06-203-7660 FAX 06-203-7684

・「事業協同組合のつくり方と運営一切」 横尾良明著 (日本実業出版)

事業協同組合というと地域限定というイメージがあるが、最近プログラマーなどの個人が事業者として全国レベルでの事業協同組合が設立されている。

 

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 番外(漫画・コミックです)

・「カバチタレ」(講談社)

法律屋、行政書士事務所の活躍。「ほー」と感心する力作!。登場人物の家族(特に子供)の様子などが描かれており、同情を誘う。怒りあり涙あり。

・「日掛け金融地獄伝 こまねずみ常次朗」(小学館)主人公独立後の続編も出ています。

金融業者が描かれている。過払い訴訟も紹介されており、実務感あり。どろどろの濃い力作。

・「ホカベン」(講談社)

弱者の味方、弱者保護を目標にする、新人弁護士の活躍。時事的な事件が取り上げられている。現役弁護士原作。

・「強欲弁護士 銭高守」(小学館)

金にはとことんがめつく、しかし解決はするという凄腕弁護士の話。DV、ストーカーや家賃トラブル事件など。正義感のある、金にがめつくない、理想に燃える新人いそ弁との対比がおもしろい。弁護士による法律入門解説書付き。

・「弁護士のくず」(小学館)

上記「強欲弁護士 銭高守」と同じ著者の作品。主人公の弁護士は、いつも何を考えているかわからないような顔をしており、やることなすこと(ちょっと変だが)最終的には解決に導くという凄腕?弁護士。コンビの女性弁護士とのやりとりがおもしろい。

・「闇金ウシジマくん」(小学館)

人物描写の迫力で闇金の怖さが身にしみる。コワー。

・「カネが泣いている」(講談社)

正規のまじめな金融業者が描かれている。

・「島根の弁護士」(集英社)

弁護士過疎の地、島根県松江市に赴任した若手美人弁護士の活躍。私の性には合わないが、いつもすがすがしい結末(すっきり)。なぜか島根県弁護士会が協力となっている。

・「わるがKIDS」(双葉社)

男気?のある幼稚園児が活躍。母親・妹となぜかサルも家族になっている。はまる人ははまる。いやし系。