住宅ローン(公的融資)とローンの諸費用について

公的融資の代表的なものとしては、住宅金融公庫融資、年金住宅融資、財形住宅融資の3つがあります。

・住宅金融公庫融資

公庫融資は、人に対する融資ではなく、物に対する融資であるため、住宅の種類別に融資条件や融資額が異なってきます(細かく規定されています)。

<基本的な条件>

返済期間は最長35年、固定金利(ただし、通常融資は11年目以降は金利が高くなる段階金利を適用)70歳未満(親子リレー返済の場合は70歳以上でも可)で、毎月の返済額の5倍以上の月収(年収/12)がある人が借りられます。自分が住むことが条件となっています。

・年金住宅融資

年金制度(厚生年金・国民年金)の年金の資金をもとに、年金福祉事業団が貸し出すものです。種類は3つあります。@年金福祉事業団が勤務先に資金を融資して、その勤務先から個人が借りる「事業主転貸融資」(勤務先に融資制度がある場合)A各都道府県にある年金福祉協会などを通じて融資をうける「協会転貸融資」B住宅金融公庫融資と併用するかたちで公庫が直接融資を行う「公庫併せ貸し」

<基本的な条件>

年金融資をうけるためには、年金に通算3年以上加入していて、過去2年間に保険料の滞納がないこと。返済期間は最長35年(ただし、公庫は最終返済年齢の制限がありませんが、協会転貸は満80歳以下に制限されています)、完全固定金利、70歳未満(国民年金の場合は65歳未満)で、毎月の返済額の5倍以上の月収(年収/12)がある人が借りられます。自分が住むことが条件となっています。公庫併せ貸しの場合は、公庫融資の条件も満たしていることが必要になります。公庫融資は1つの家に一人しか申込めないのに対し、融資資格さえあれば、複数が申込みをすることができます。融資額は、国民年金より厚生年金のほうが多く、自営業者などの国民年金の場合は、公庫併せ貸ししか利用できません(しかも抽選あり)。

・財形住宅融資

雇用促進事業団や住宅金融公庫が財形貯蓄の資金をもとに、融資するもので、利用できるのは、サラリーマンで財形貯蓄(一般財形・住宅財形・年金財形を問わない)をしている人に限られます。種類は2つで、@勤務先を通じて融資をうける「財形転貸融資」(勤務先に融資制度がある場合)A住宅金融公庫から融資をうける「財形直接融資」があります。

基本的な条件

財形貯蓄を1年以上続けていて、貯蓄残高が50万円以上あること。返済期間は最長35年、変動金利、70歳未満で、毎月の返済額の4倍以上の月収(年収/12)がある人が借りられます。自分が住むことが条件となっています。融資額は、貯蓄残高の10倍まで、最高4000万円と基準が簡単明瞭。ゆとり返済はありません。(平成11年4月から金利が一律2.1%、5年間固定金利になっています)

住宅ローンの諸費用(上記公的融資と銀行について)

・ローン契約書(金銭消費貸借契約書)の印紙代

借入金が1000万円を超え、5000万円以下のときは2万円。

・ローン事務手数料

年金の公庫併せ貸しと財形融資の場合は不要になります。おおむね4万円前後かかります。

・ローン保証料

連帯保証人になる保証機関へ支払うもの。通常、この制度を利用することになります(保証会社などが保証人となり、もし本人が支払えなくなった場合、代わって支払い、その後は保証会社が債権者となります)。

公庫や各銀行で、借入金額と返済期間に応じて金額が決っています。一番安いのが公庫で、一番高いのが銀行です。例えば、1000万円を35年返済で借りると、公庫の場合 11万5000円ぐらい、銀行だと20万5000円ぐらいになります。

(繰り上げ弁済で返済期間を短くした場合、その分一定額返還される場合があります)

・保険料

(1)団体信用生命保険料(銀行ローンと年金融資の協会転貸は加入が義務づけられています)

契約者 団体、被保険者 債務者(ローンを組んだ人)、受取人 融資をした金融機関

被保険者が死亡、もしくは植物人間になるなど高度障害を負った場合、保険金が支払われ、住宅ローンが完済となります。

保険料は掛捨て。保険料は、通常年払い(当初に一括払いする場合もあります)。銀行の場合、金利に上乗せされています(金利に含まれる)。

年払の場合、その年に一括返済しても返戻しはありません。期限の利益を失うと脱退となります。

(2)火災保険料(すべてのローン融資に義務づけられています)

保険料はローン完済までの期間につき一括払い。

・抵当権設定登記費用

登録免許税

債権額(借入金額)の1000分の4(住宅用家屋の特例がきく場合1000分の1)。公庫融資と財形の公庫直接融資の場合は、非課税になります(抵当権者が住宅金融公庫の場合、非課税)。

司法書士への報酬

おおむね2万円から5万円ぐらい。

結構ばかにならないローンの諸費用、特にローン保証料がいちばん大きくなります。この保証制度を利用しないと貸してくれないため、頼んだわけでもないのに保証人になってもらい、多額の保証料を取られてしまう・・・。