公的年金は自営業者に不利?

1例)自営業者(工務店経営)の夫が、60歳で死亡、その妻(55歳)が役所へ年金に関して、なにか給付があるかどうか尋ねたところ、わずかな死亡一時金が支給されるだけで、子供が、すでに成人になっていたため、遺族基礎年金はもらえないということである。

国民年金の被保険者が死亡した場合に支給される遺族基礎年金は、子のある妻か、子だけにしか支給されません。子とは、18歳になった後の最初の年度末(331日)までの子(一般に高校卒業するまでの子)または障害(1級・2級)をもっている20歳未満の子をいいます。

厚生年金に加入していた人が死亡した場合に支給される遺族厚生年金の場合は、子のない妻にも支給されます。また、夫の死亡当時、妻が35歳以上で子がない場合や、子が18歳に達した後の最初の年度末(障害者は20歳)に達した時に妻が35歳以上の場合、40歳から65歳になるまでの間、中高齢の加算が支給されたりします。

国民年金の場合は、子のない妻には、寡婦年金や死亡一時金というものがあるだけで、厚生年金と比べて保障としてはかなり劣ることになります。また、もらえる場合でも、厚生年金の場合は、遺族基礎年金と遺族厚生年金がもらえるのに対して、国民年金の場合は遺族基礎年金のみになります。

夫が支払ってきた国民年金は、このようなケースでは、遺族にあまり反映されないということになります。自営業者の妻は、夫に万が一のことがあった場合生活できるように、ある程度防衛しておく必要があります。

それにしても子のない妻に遺族基礎年金が支払われないというのは、なにか合理的な理由があるのであろうか。サラリーマンの妻の場合、夫が死亡すれば収入の道が直ちに途絶えるので、子のない妻にも遺族年金を支給する必要性があるが、自営業の場合は、妻がその自営業を存続させ、収入の道を確保できるためという理由が考えられるが、ケースバイケースだし、むしろ直ちに収入の道が途絶える方が多いような気もする。