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・役員の退任(株式会社)について Q1

・役員の解任(株式会社)について Q3

・会社の目的について Q2

注)平成11年から随時、掲載していますが、回答した時点後の、法改正等については、フォローできていない個所があるかもしれません。

Q1、主人の実父が代表取締役社長となり、主人と主人の実母と妹が株主となり株式会社を営んでおります。妹は会社の経理、その他全般の事をし、給与を得ていますが、主人と主人の実母は一切の利益を得ていませんので、役員から外して欲しいと妹に申し出ています。妹はその件に関し、先日法務局に役員からはずす手続きに出向きました。しかし、妹の話によりますと現在で株主の数が最低なので、主人も母親も抜ける事ができない。さらに、もし役員から外れたいのであれば会社を解散させるしかないと説明を受けたそうです。私の知識不足かもしれませんが、現在は株主1名でも全株を引き受けて、株式会社の設立は可能だと思うのですが・・・

A1、株式会社の場合、株主は登記事項になっていませんので、おそらく取締役のことを言われたのだと思います。株主という地位は、役員(取締役・代表取締役・(監査役))ではありません。設立の際、出資をした(お金を出した)人を株主といい、その株主で、総会をもち、その中で、具体的な役員(取締役など)を選びます。実際は、株主がそのまま役員になる場合が多いのですが、株主(出資者)と役員(取締役・代表取締役・(監査役))の地位は別物です。

役員を辞めたいときは、会社に対して、辞任届出(当事者の役員自らが辞任の意思表示をすること)をすれば、それで効力が生じます。ただし、その役員の権利義務関係からのがれたり、その退任登記をするためには、取締役の最低人数3名、監査役の最低人数1名を満たしていなければなりません。株式会社では、取締役の数は最低3名と決められています。(定款でそれ以上の数が定めてあれば、その数が最低になります)

例えば、登記で、取締役A(父)、取締役B(ご主人)、取締役C(ご主人の実母)、取締役D(妹)、代表取締役A(父)、監査役Eとなっている場合、取締役B(ご主人)と取締役C(ご主人の実母)の退任登記(辞任による)するには、新たな取締役を1名選任しないと、登記することができません。取締役は、最低3名必要。監査役は、最低1名必要。

ちなみに株主は、株式を他の人に(例えば父親に)譲渡することによって株主でなくなるということになります。辞任するとかいうことではありません。いわば財産権のようなものです。

一度、会社の登記簿謄本を取り、検討されることを薦めます。取締役であることにどのような不都合があるのか、事情があるのだと思いますが、コメントとしては以上です。

Q2、はじめまして。弊社で新規事業としてOA機器のカートリッジのリサイクル業務(リサイクル及び販売)を興そう考えています。そのため目的欄の変更登記をすることになりました。物品販売業に該当すると思われ、許認可なども絡んで文言の表現など難しい点が多いのです。目的欄の変更登記について注意しなければならないところを御教えいただければ幸いです。以下の中でいけそうなものがあればご指摘願います。

1、事務用機器、消耗品の修理及び再生加工

2、各種OA機器サプライのリサイクル販売

3、OA機器販売及びリサイクル業務

4、加工機器の開発及び販売

5、事務用機器用消耗品の再生加工及び販売

6、消耗品の販売

よろしくお願い致します。また許認可の点で必要な守るべき文言、表現を御教えいただければ幸いです。

A2、会社の目的については、登記する際、明確性や具体性が要求されます。司法書士が依頼を受けた際、目的事例集で調べ、そして、不明なものは法務局で確認をとります。目的の具体性などは、登記官の判断に左右されるため、法務局によっても異なることになるからです(甲法務局では認められた目的でも乙法務局ではだめということもあります)。例えば、OA機器という表現はだめ、オフィス・オートメイションとすれば可という事例(略称はだめとされたもの)があり、消耗品のみでは具体性なしなどとされています(事務用がついている場合はいけるかも)。「レーザープリンターのトナー・カートリッジのリサイクル」は具体性なしとされた例があります。加工機器だけでは、具体性・明確性がないとされるかもしれません。以前は認められなかったものでも、時代の流れで認められるようになる場合もあります。申請する法務局で事前に確認するようにして下さい。許認可については、専門外ですので、その担当官庁とご相談下さい。

メールでの無料のアドバイスとしては限界がありますので、法務局やお近くの司法書士または許認可に関しては行政書士等にご相談ください。

Q3、株式会社を営んでいる者ですが、実は、3人いる取締役のうち1人が、会社に対してマイナスとなる不穏当な発言を繰り返しており、その者を役員からはずしたいと考えています。辞任を迫ったのですが、やめるつもりはないと言い張ります。取締役を辞めさせることはできないのでしょうか。

A3、内紛の実状は、よくわかりませんので、商法の規定がどうなっているか、一般的にお答えします。

株式会社の取締役については、株主総会で解任することができます。株主総会での決議は、発行済株式総数の過半数にあたる株式を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の多数決が必要になります。解任するための理由は不要ですが、任期前に正当な理由なく取締役を解任した場合は、その解任された取締役は、会社に対して損害賠償を請求することができることになっています。もし株主総会で解任する場合は、その株主総会の手続に瑕疵(欠陥)があると、後で、その解任された取締役から株主総会取消の訴えや不存在の訴えをされる恐れがありますので、商法所定の正式な手続をふむ必要があると思います。きちんと株主名簿を備え置き、取締役会を招集し、解任のための臨時株主総会開催を決議し、株主総会招集手続をふんで、開く必要があると思います(ただ、株主が1人の場合や、全員出席総会の場合は、招集通知を欠く総会でも、有効であるという判例があります)。

株主総会を招集するためには、会日より2週間前に各株主に対して招集通知(書面で)を発することが必要で、通知には会議の目的事項を記載しなければならないとなっています。

なお、解任される取締役が株主の場合、その取締役(株主)は、解任決議をする株主総会に出席し(利害関係を有しますが)議決権を行使することができます。

参考)有限会社の取締役の解任の場合、社員総会の決議は普通決議。ただし定款で定めた取締役の場合、特別決議を要すると言われています。