狂踊会 #24 DIE丸 presents よいこのためのオドロンパな化学講座

☆リナリンのアリザリン☆

 周知の通り、「オドロンパ」には、大変たくさんの要素が盛り込まれていて、詳しく見れば見る程、新しい発見があるという「奥深さ」があります。意外な有名人のゲスト参加、各テーマ毎の、ちょっとしたコダワリ。そしてときには、分かる人にしか絶対わからないような、超専門的な内容であったりします。
 そんなわけで、このコーナーでは化学を専攻している私ことDIE丸が、「よいこのためのオドロンパな化学」を、勝手にレポートしたいと思います。


りなちゃんの「クラヤミダンス」のエプロンの模様

 クラヤミダンスの衣装では、6名がそれぞれ科学的な模様を付けていました。その中で、りなちゃんのデザインは、一見ダイオキシン系の骨格(#1)のような化学式でした。ダイオキシンだったら、かなり危ない物ですが、(そんなもん、リナリンに着せても仕方ないか^^)これは、太古より、天然顔料として知られていたアントラキノン骨格(#2)でありました。

リナちゃんが実際に付けていたのは、#2 アントラキノンの 1 と 2 の位置に−OHがついた、「1,2-ジヒドロキシアントラキノン」という物質でした(#3)。この物質には「アリザリン」という慣用名が付いています。

<アリザリンについての解説>
 古代から知られていた美麗な紅色色素。天然にはセイヨウアカネの根から得られていた。モメンのトルコ赤染めで有名である。
 さらに、金属イオンと結合すること(錯体形成)により、アリザリンレーキ(別名マッダーレーキ)と呼ばれる顔料になる。このとき、結合する金属イオンの種類によってアリザリンレーキの色は以下のように異なる。
 
  アルミニウム(深紅〜赤色)   カルシウム(紫〜紫赤色)
  バリウム(紫赤色)       クロム(ボルドー色)
  鉄(黒紫〜ボルドー色)     マグネシウム(紫色)
  マンガン(褐色)

 これらのアリザリンレーキは水に不溶で、耐熱性、耐光性が高いため印刷インキや塗料などの顔料に利用される。



<おまけ>
 アントラキノン誘導体の面白いところの一つは、‐OHの付く位置、つまり異性体によって慣用名が付いているところです。そこで、アリザリンの仲間達を紹介してみましょう。

<あとがき>
 
世間一般の番組では、このように化学式が用いられる場合、デタラメななんちゃって化学式を書かれる場合が多いです。(設定が設定とはいえ、キルケウィルスの構造式には軽く怒りさえ感じました^^;)また、実存の化学式だとしても、ただのプラスチック材料や頭痛薬の構造式だったりしたら、「何付けて踊っとんねん!」ってことになるでしょう。
やはり由緒ある、古代から伝わる美しい変化自在な色素だからこそオドロンパに相応しい!リナリンに相応しい!と思うのです。これは、かなりハイレベルなニクイ演出です。
こんなことを伝えたくって、手前味噌ながら投稿させていただきました。

 最後に、このような場を与えてくれた愛のオドロンパ伝道師(^^;
しゅばるつしると☆様にお礼申し上げます。


 参考文献:岩波理化学辞典(第4版、第5版)
      丸善標準化学用語辞典


1996年3月  狂踊会#24
DIE丸

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