2003年4月24日
圧縮。デジタル技術が3度の飯より大好きだという私にとって、圧縮という響きは心に安らぎを与えてくれる。
天井の高い部屋で生活した子供は、心にゆとりを持って成長すると言われています。ということは、圧縮によってHDDの空き容量を増やしたパソコンを使っても、同等の結果を得ることができるのではないでしょうか。
圧縮という、癒し系の技術は、何もパソコンだけのものではありません。女性に身近な応用例としては、布団圧縮袋がある。分厚い布団がみるみるうちにぺらぺらになるのは、見ているだけで爽快だ。私が持っている布団圧縮袋は、圧縮した翌日には自動的に元の大きさまで膨らむので、翌日すぐに使いたいときにも便利だ。男性に身近な応用例は、朝の通勤電車がそうだろう。ホームいっぱいの乗客は一つの電車に入りきることは一見不可能だが、駅員さん方式の圧縮で見事電車に収まる。
この布団や電車にも使われている圧縮技術は、映像の世界にも使われている。
古くから使われているのは、テレビの電波だ。アンテナで受信した信号は、室内のテレビへ同軸ケーブル1本で入力される。しかしこの中には、ビデオ信号、右音声、左音声などが入っているのだ。これを実現しているのは、各信号の圧縮と加算技術である。
無圧縮の場合、1フレーム(1/30秒)あたりのデータサイズは、画面の画素数×3色(R,G,B)×8ビットカラー(各256色)=約900KByte。(さらに音声も入る)
2時間では900KByte×30(フレーム/秒)×7200秒 = 194.4GByteにもなる。これを1枚のDVD(4.7GByte)に入れるためには、40分の1にしなければならない。DVD向けに作られたMPEG2が1/40になっているのはこのためだ。
圧縮方式 | 圧縮手法 | 圧縮率 | 用途 | 備考 |
MPEG1 | フレーム間圧縮 | 1/100(可変) | ビデオCD | |
MPEG2 | フレーム間圧縮 | 1/40(可変) | DVD | |
MPEG4 | フレーム間圧縮 | 携帯型ビデオ | MPEG1/2を包括しているが、今のところ高圧縮用途にしか使われていない。 | |
MotionJPEG | フレーム単位 | 編集用 | ビデオキャプチャーでよく使われている。 | |
DV | フレーム単位 | 1/5 | ビデオカメラ | カメラや据え置きデッキで使われている。 |
無圧縮 | 無圧縮 | 1 | 業務用 | D-1と呼ばれている。TVのD1端子とは別物。 |
参考(http://www4.airnet.ne.jp/snowy/codec.html)
私が好きな圧縮は2つあり、それぞれの特徴はこのようになる。
MPEG2
民生用高画質の録画装置はMPEG2を使用している。
MPEG2の長所としては、高画質なのはもとより、フレーム間圧縮を採用しているにもかかわらず、ファイルが分断されても分断箇所以外の再生が可能である点、様々な用途に考慮し、多種多様なデータの埋め込みが考慮されている点、DVD再生ソフトをインストールすれば、ほとんどのパソコンで再生が出来る点がある。
人に動画をプレゼントする場合には、画質が低くても良ければMPEG1,高画質であればMPEG2と便利に使える。
DV
フレーム単位の圧縮の利点は、CMカットにある。
MPEGでは0.5秒単位でしか圧縮できないため、0.5秒以下の編集は出来ない。やろうと思ったら、画質の低下に目をつぶり、再圧縮をする必要がある。それか、CMとのつなぎ部分で、0.5秒以下のゴミに目をつぶるかだ。0.5秒といったら15フレーム(15画像)ある。フルモーションのセル画アニメなら15コマ分のゴミが残るのだ。
これに対し、DVではフレーム単位(画像単位)の編集が出来るので、不要な映像は1コマたりとも無劣化でカットすることが可能だ。
私はこのことを知った途端、DVの据え置きデッキとDVカメラを買った。デジタルファイルの無劣化編集。これに50万は高くない(当時)。いまでも不定期に動画編集をしたり、動画ファイル解析をするのだが、とても楽しい。
今のところ、上記圧縮技術はそれぞれに長所と短所があり、いくつかの技術を用途に応じて使い分けなければならない。今後は、ハイビジョン対応などで先んじたものが勝ち組になるのではないかと想像する。その点でMPEG4は有利なのだが、MPEG4もやはり編集対応がネックになっている。それをどうカバーしていくのか、まだまだ楽しみは続く。
※今回の正式タイトルは「圧縮雑感」だったのですが、そのタイトルも「圧縮」してみました。