2003年4月23日
人体実験シリーズ第4弾!
前回の第3弾が大失敗に終わり、名誉挽回とばかりに探したテーマ。それは『ダイエット』!
この10年間まったく体重が変わらない俺が、本当に痩せることができるのだろうか。
個人的にも、科学的にも、意義のあるテーマだ。
しかし、つらい食事制限やジョギングは、とても俺には続けられそうもない。
ならば!と向かった先は、スポーツ用品専門店『オリンピック』。様々なスポーツ用品が並ぶ中、ありました。ダイエット食品コーナー。飲むだけでやせられる食品達。これは楽だ。人は、楽をするためならどんな努力も惜しまないものだ。
さあ、今回、俺を楽しませてくれるのはどの食品かな〜。順番に説明書きを見ながら移動していく。何だかどれも効きそうなことが書いてある。「一休さん、このなかから一番やせるものを選んでくれ」と言いたかったが、独り言は危ない人と思われるのでやめておいた。
しばらく物色していると、製品の説明書きに違和感を感じるようになった。ダイエット食品…だと思っていたが、いつのまにか「体重を増やしたい人に」と書かれるコーナーになっていた。
ダイエット食品じゃないのか?
説明が木を見ると、「プロテイン」と書いてある。プロテインという名前は聞いたことがある。
みんな体重を減らしたいんだから、こんなん買うわけないじゃん。と、ダイエット食品コーナーに戻ろうとしたとき、はたと思った。
「だから俺が使うんじゃないか!」
車で成田に集合するとき、みんなが高速を使う中、一人だけ下道で行ったことは無いか!?
修学旅行に行ったとき、周りが名物を買っている中、一人だけキワモノ缶ジュースを買ったことは無いか!?
人生には、冒険が必要なんだ!
そしてその冒険が「weider WEIGHTUP BIG」なんだ!
勢いに任せて買ってきました。
結構大きな缶に、白い粉が一杯詰まっています。
缶のサイズからしてBIG!
上の写真と比べて欲しいのだが、専用の計量スプーンは結構な大きさです。
使い方は、牛乳200mlに専用スプーン3杯分(30g)を溶かして飲むの。けっこう簡単だ。
実際に牛乳に溶かしてみた。しかし…
「と、溶けねぇ!」
必死にかき混ぜると、だいたいは溶けたのだが、小さじ一杯分が底に残る。
まぁいい。溶けないものは食えばいいんだ。
スプーンを置いて、飲んでみる。
今回はバニラ味のものを選んでみたのだが、これはまさにバニラ味!
冷蔵庫で凍りすぎたバニラアイスを、溶かして柔らかくしようと放置したら、いつのまにかどろどろに溶けていた、甘ーいバニラアイスの味だ。
我慢しながら飲み干すと、底にどろっとしたものが残っている。これをスプーンですくって食べる。
バニラアイスの味なんだけれども、食感は粉状のキャラメルだ。
非常に甘い。甘すぎる。
アメリカ人好みの味だ。
さすが米国weider社の製品だけのことはある。(販売元は森永)
飲み終えて、さて、はたしてこれだけで体は大きくなるのかと疑問が浮かぶ。
そのまえに、プロテインってなんなんだ? ドーピングの一種じゃないだろうな。
献血に行ったときに、血液検査で「あなた、プロテイン飲んでますね」なんて言われないだろうな。
「警察を! この人、プロテインやってます!」
なんて突き出されたりしないだろうか。
だんだん心配になり、使用をいったん中止し、安全を確認することにした。
それからしばらくして、池袋は某デパートのスポーツ用品専門店。プロテインについての専門書籍もしっかりそろっている所だ。書籍でしっかりと調査をした結果は、このようなものであった。
人間の体を形作るタンパク質。そのタンパク質の元となるのがアミノ酸だ。多くのアミノ酸は体内で生成できるのだが、9種類だけは生成されず、体外から摂取しなければならない。この9種類を必須アミノ酸と呼ぶ。このアミノ酸により構成されたタンパク質のことをプロテインと呼ぶ。
つまり、タンパク質を摂取し、体内で分解・再構成し、体を作るのだ。
ちなみに、1日に必要なタンパク質の量は、激しい運動をする場合には体重1kgあたり1.5〜2g必要で、60kgの体重であれば約100gのタンパク質が必要なのである。
運動をすると、エネルギーが必要になる。十分に脂肪がある人は、脂肪が消費されるのだが、ダイエットなどで脂肪が減ってきた人は、代わりのエネルギー源として筋肉がエネルギーに変換される。筋肉を消費しないために、事前にタンパク質を摂取しておく。タンパク質がアミノ酸に分解され、エネルギーに変換されることで、筋肉の消費を抑えることが出来る。また、アミノ酸がエネルギーを供給するため、疲れにくくなる。
運動後は、体の再構成(筋肉の増強)が始まるのだが、建材がないと家が建たないのと同じで、アミノ酸がないと筋肉は作られない。アミノ酸を摂取しておくことで、効率よく筋肉が作られるわけだ。
そこで気が付いたのだが、世間ではアミノ酸飲料なるものが流行っている。とくにスポーツドリンクタイプのものは、飲料メーカー各社が出している。これを飲めば、わざわざタンパク質を分解する手間が省けるので、より効果的だと思うのだが。
その答えも、書籍に書いてあった。
アミノ酸の生成には費用がかかるため、製品単価が高い。効果が同じであれば、安価なプロテインのほうが、長期使用に向いている。人体は無料でタンパク質を分解してくれる。
200ml飲用の条件で、スポーツ飲料と比較してみました。
タンパク質 | アミノ酸 | |
weider WEIGHTUP BIG(水で飲用) | 5.8g | 0g |
weider WEIGHTUP BIG(牛乳で飲用) | 12.5g | 0g |
キリン アミノサプリ | 0.4g | 0.4g |
アサヒ チャージ | 0g | 0.08g |
タンパク質は100%アミノ酸に分解されるとは限らないので、上記数字はパッケージに記載された目安でしかないのだが、それにしても含有量が桁違いであることはわかります。
ではスポーツ飲料は役に立たないのかというと、そんなことはありません。タンパク質からアミノ酸へ分解されるのが2時間かかるので、スポーツ中のタンパク質摂取では手遅れになります。スポーツ中は、アミノ酸飲料で速攻吸収ってのが効果的です。
ダイエットのためには、体の代謝機能を維持しつつ、カロリーを制限する必要がある。代謝をするのはからだを作るタンパク質によるものだ。
ダイエット食品のキャッチフレーズに、よく「高タンパク低カロリー」と言われるが、プロテインはタンパク質そのものなので、摂取の仕方や分量を間違えなければ(タンパク質は摂りすぎると、エネルギー過多となり、脂肪として蓄えられる)ダイエットに最適だ。
要は、プロテインはアミノ酸の元であり、体を作っている物質と同じものだから安全なのだという確証を得たところで、実験を再開する。ただしプロテインが活躍するのは適度な運動と組み合わせた時なので、ジムにも通い、定期的な運動を行う。
測定日 | 体重 | コメント |
2月22日 | 62.4kg | 実験スタート初日。体重は着衣込みの重量。 |
3月5日 | 61.4kg | いきなり減ってる。なんでやねん。 |
3月9日 | 61.0kg | また減った。ジムでのトレーニングは思ったよりハードなようだ。しかし実験の目的は体重を増やすことであり、ダイエットでは無い。 |
3月19日 | 61.5kg | 初めての増加。そろそろ体重が増え始めたのか。 |
3月26日 | 60.7kg | 最軽量。着衣を除くと60kgを切るころ。冬季に60kgを切ると、風邪など体調を崩すことが多いので、方針変更。晩飯は酒盛りをすることにする。 |
4月4日 | 61.5kg | ジムでのトレーニングの後、毎晩ワイン1本とおつまみという、楽しい生活を送る。 |
4月6日 | 61.9kg | この日はとても眠くて、ストレッチしながら眠ってしまう。30分後に目が覚めて、起きようとしたら、全身がしびれており、ストレッチしたまま身動きがとれなかった。ジムの指導員に助けてもらおうとも思ったのだが、恥ずかしさから声をかけられない。もぞもぞと体を動かし、血液を循環させ、しびれがとれるのを待つ。 ストレッチ中の睡眠は危険だと思った。 |
4月8日 | 62.0kg | プロテインの効果か、それとも晩酌の効果か、体重が増えていく。初期重量までもう少し。 |
4月9日 | 62.5kg | ほぼスタート時に戻った。健康、健康。 このあたりから仕事が忙しくなり、晩酌が週一に減る。 |
4月12日 | 61.0kg | AM4時起き&深夜残業生活に入っていたため食欲が無く、晩酌どころか朝晩に固形物を摂ることが出来なくなる。かろうじてプロテインだけは飲み続けたが、体重は減っていた。 |
4月16日 | 61.4kg | 起床時間を少し遅くし、体調を整え始める。 体重測定をしていないときは、食欲が無くなっても「食費が浮いてラッキー」くらいにしか考えなかったものが、測定をするようになってからは自分の体が客観的数値として把握できるため、体調管理を気にするようになった。良い傾向だ。 |
ここで、プロテイン1缶を飲み干したため、実験終了。
ぜんぜん体重増えてねぇ〜!
まったく役立たず〜!
かと思われたのだが…
ここでもう一つ、数値を公開する。
実験前体脂肪:15%
実験後体脂肪:11%
(体脂肪の数値は、水分摂取量等で変動するため、何日かの測定を平均した)
体重60Kgの4%差は、2.4Kgである。これだけの脂肪が減ったにもかかわらず、体重が変わらないということは…
もしかして筋肉が増えてる!?
実験は成功!?
でも見た目は変わっていないし…。
よし!では実験を継続しよう!夏のプール開きまではプロテインとジムでトレーニングだ!
そして、そして…目指せ! 肉体改造! 目指せ! ボブ・サップ!
新たな目標のために、新しいプロテインを買いに行くのであった。