２００２年１０月

なんだ、なんだ。ガタゴト、ジャージャー、夕方からすごい強風と大雨だな。また台風か。今度のは大きそうだな。参ったな。あれっ、皆な早く帰ってしまうのかよ。誰か泊まっていかないの？。今夜の警備の仕事は大変だよ。ニャー、ニャー、ニャーと大声で鳴きながら回るしかないか。忙しいぞ。あーあ、これでは寝られないな。

台風一過。いい天気だが、少し暑いな。それに、やはり睡眠不足だよ。昨日の夜ずいぶんと動き回ったせいかお腹がすいたなぁ。朝のカンヅメはしっかり食べたんだが、昼前からニャー、ニャーとせがんだよ。Yからエビとカツオブシご飯をもらって、あとはしっかり爆睡だ。夕方まで一度も起きなかったよ。疲れていたんだな。でも、夜食のマグロがいつもより多かったのはうれしかったな。よく働いたからな。

今日はＹの誕生日なんだよ。日頃お世話になっているからネズミを一匹プレゼントしようとおもい、昨日からネズミを探しているのだが、なかなか捕まらないんだよ。今日はワタシの鳴き歌でかんべんしてもらおう。「ハッピバースディー、ニャアーニャアー」。あれっ、ワタシにも誕生日があるのかな。うーん・・そうか。毎日みんなに優しくしてもらっているから、毎日がワタシの誕生日だよ。そうだな、きっと。

暑かったな。夏が戻ってきたのかと思ったよ。ただ、湿気がそれほどなかったから、過ごしやすかったけど。でも、朝のカンヅメの時、少し吐いてしまったよ。やはり気候が不安定のせいかな。寒くなったり、暑くなったり、雨が降ったり、台風が来たり・・。そうやって季節は巡り、歳を重ねていくんだな。ああ、むずかしい。ワタシにむずかしい話しは似合わないな。ワタシに似合うのはやはりグースカだよ。寝よう。

お店が休みなので、朝、玄関マットの所でゆっくり毛づくろいをしていたら、ガラス越しにワタシを見たおばあさんが孫の男の子に話しかけていたな。「あのネコは年寄りで内臓、肝臓が悪いんだよ」。肝臓じゃあないよ、腎臓だよ。それにしても、あのおばあさんよく知っているな。ワタシが知らないうちに店に来ているのかな。それはどうでもいいけど、お昼は陽が射して最高だったな。おもわず三十分程うたた寝をしてしまったよ。熱くなり過ぎて目が醒めたけど、気持ちよかったよ。本当に。

朝はＹしか来なかったな。Ｙ一人でワタシにカンヅメを食べさせようというのか。それは無理だよ。仕方ないから三口だけ食べてあとはカンベンしてもらったよ。昼と夕方にはKが来たが、顔色があまり良くなかったよ。体調が悪いのかな。健康管理は自らの責任でしないとな。まあ、ワタシもそんなこと言えた身体ではないけどな。

今日は天気がおかしかったな。午前中は大雨。午後は暑いくらいの晴天。夕方からまた曇ってきたよ。でもワタシの体調はすこぶる良かったんだ。夕方にはすごいイビキをたてて寝ていたらしい。ＹとＫ代が聴き惚れていたそうだ。それほどのイビキならワタシも一度は聴いてみたいな。天高く、トラ肥ゆる秋。そんな感じかな。

あれっ、玄関のマットが新しくなっているな。そうか、月に一度、変えてもらっているんだな。マットは何も話さないけど、ワタシの汗と涙と爪痕と大量の毛が深くしみついているんだよ。マットを洗濯する人はびっくりしているだろうな。フッフッフ。新しいマットはやはりフカフカして、天にものぼる気分だな。

お昼のカンヅメの時、脚の短かい可愛いい犬がお客さんに連れられて入ってきたよ。ワタシの脚より短いな。カンヅメを食べるワタシの必死の形相に少しおびえていたけど、そのうち店の中を歩き始めたよ。オイ、オイ、そんなに匂いをつけないで欲しいな。こっちは数年かけて匂いをつけているんだからな。プン、プン。

そうか店は休みか。でも、いつもは規則正しいＹとＫ代が珍しく時間どうりに来なかったな。そして慌ただしく出ていったよ。昼のヒナタボッコは最高だったが、熱くなりすぎたよ。温泉に入ったわけではないのに、のぼせたよ。でも、でもおかしいな。

今日もいい天気だ。ただ、Ｙを見ていると心に空洞があるみたいだよ。こんな時こそワタシが励まさないといけないんだがな・・。何があったのかな？　まあ、今はそっとしておこう。いつかゆっくり話してくれるだろう。

おっ、今日も休みか。お昼のヒナタボッコは楽しいな。今度はのぼせないようにしないとな。なんだ、お客さんが入ってきたよ。困るな。休みなのに。Ｙも人がいいな。まあ、小さな女の子だから仕方ないか。いい連休だったな。

やはり、休みは終わりか。あれっ、なんか人が足りないような気がするが、まあいいか。でも静かだな。午後はイビキをかきながら、ずっと爆睡していたよ。夕方のシャッターの閉まる音さえなければ、幸せなんだけどな。だって、シャッターが閉まればカンヅメの時間なんだよ。ワタシだって、それくらいはわかるよ。

驚いたな。ワタシ自身の行動に。朝のカンヅメが終わり、店をヨタヨタ歩いていたら玄関が開いていたんだよ。近くに誰もいないし、シメシメと外に出て店沿いに歩いていたら、優しそうな青年に撫でられたんだ。こんな長い時間、外にいたのは初めてだから、どうしていいかわからなくなったんだ。やっとＫ代が見つけてくれて、抱かれて店に入ったよ。Ｙにはちょっと怒られたけど、洗面台に上げてもらって水をたっぷり飲んだよ。あーあ、恐かったな。ビックリして疲れたなー。でもまた外出してみたいが・・。

お昼にＹからイカのフライをほんの少しもらったよ。ここ数日お昼に恵まれていなかったから、うれしかったな。昨日のショックがまだ残っているよ。我ながら、大胆不敵な行動だったな。おかげで今日の玄関の警備は厳重だったよ。あれっ、警備はワタシの仕事のはずなのにな。そうか、ワタシの仕事は夜の警備か。

お昼にカツオブシご飯を置いてさっさとＹは出ていったな。なんか忙しそうだな。寂しくなったワタシはニャアーニャアー鳴きながら店の中を歩き回ったよ。忙しいのは仕方ないが、夜食のマグロの鮮度が少し落ちているよ。気をつけて欲しいな。本来、ネコ族は腐ったものは食べないけど、お腹がすいていれば間違って食べてしまうよ。食中毒はかんべんしてね。頼むよ。

やはり夕方から雨が降ってきたな。エヘン、ワタシの天気予報はズバリ適中したよ。朝、顔を洗う時、前脚が耳の後ろまでとどいていたからな。それにしても、妹のマリーの天気予報は当たらなかったな。耳の後ろまで前脚がとどいていたから、みんな雨が降るかとおもったら、ドカピーンの晴天になったからな。みんな呆れていたよ。でもそれがマリーの可愛いいところなんだよ。そうなんだな。懐かしいな。

冷え込んだな。急激な気温の変化は、やはり年寄りにはこたえるよ。でも、冬用のネグラに変えるにはまだ少し早いような気がするな。おや、ワタシの注意が効いたのか、今日の夜食は新鮮なマグロだな。よし、よし、ムシャ、ムシャ。

冷たい雨だな。冷え込んできたよ。Ｙが見かねて冬用のネグラを用意してくれた。昨日はまだ早いと思ったんだがな。でも、久し振りなのでしばらくは戸惑ったよ。入り口が夏用と違う位置にあるからな。しかし、やはり温かいな。午後はネグラの入り口に手ぬぐいをかけてもらって、静寂の世界へ。グースカ、グースカ。

やはり冬用のネグラは寝心地が最高だな。うっかり寝すごし、昼ご飯を抜かすところだったよ。お弁当のふたをあける気配を感じ、慌てて手ぬぐいをかいくぐって、ネグラからモッソリと出て、Ｙからはアジを、Ｋ代からはトリをごちそうになったよ。お昼はこれでもう充分なのに、しっかりカンヅメが待っているんだよ。イヤになるな。

１カ月たつのはあっという間だな。Ｙに連れられて谷澤動物病院へ。やった、一番乗りだ。お風呂じゃないんだから、そんなことどうでもいいか。３人がかりで押さえつけられて、咽から採血される。体重は4kg。おかしいな？　発症前の体重に戻ったよ。数値は相変わらずだ。まあ悪くならないだけ、よしとしないとな。店に帰って、水をたっぷり飲んで、疲れを癒したよ。まったく、この歳での病院通いはシンドイものだな。

わぁーい。とうとうホカロンをネグラに入れてくれたよ。やはり、身体の芯から温まるな。ここ数日の朝の冷え込みは相当こたえたよ。入れるのが少し遅すぎたくらいだな。年寄りには冷えるのがいちばんよくないんだよ。頼むよ。

臭いな。なんだこの匂いは。あれっ、ふとどきな犬が玄関の前に大きなウンチをしていったな。それに気付かずに社長のＭがウンチを踏みつけ、店の中に入ってしまったんだ。まったく飼い主がなってないな。それにしても、この匂い、たまらないよ。Ｋ代とＡ子さんがやっと始末をつけてくれたよ。あーあ、これでウンがつけばいいんだがな。参ったなー。まだ店の中に変な匂いが残っているよ。

せっかくの休みなのに、冷たい雨の降る憂鬱な日だな。臭い玄関マットは新しいのに変えてもらったが、こんな天気で、ヒナタボッコはむろんできないし、カンヅメとグースカで一日が終わってしまったよ。あーあ、ため息とアクビだけだ・・。

カンヅメの時間が不規則だったな。午前と夕方の二回だよ。昼にはＹだけ来たが、どうやらワタシのヒナタボッコのためだけに来たみたいだな。来てもらってよかったよ。こんないい天気久し振りだもの。ゆっくりと毛づくろいができたよ。おや、夜また来たな。今度はマグロだけおいて帰っていったよ。おかしいな。ムシャ、ムシャ。

やはりホカロンは温かいな。あまりに気持ちよくて、昼ご飯をもらうのも忘れて、ひたすらグースカしていたよ。「起きな。カンヅメの時間だよ」。Ｋ代の声だ。まったくうるさいな。ワタシをつかんだＫ代の手が何か臭うな。あれっ、もしかして犬をナデナデした手ではないか。まったく困るヨ。ワタシは敏感なんだから。プンプン。

最近のカンヅメの時間は、ＹとＫ代とワタシの知恵比べの様相を呈してきたな。彼等はいかに多くワタシにカンヅメの中身をこぼさずに食べさせるか。対してワタシはいかに多く吐き出すか。一年半も食べていれば、ワタシだって知恵がつくんだな。今日は必殺前脚飛ばしが成功したよ。口の中に入れられたカンヅメの中身を少し口から出して、前脚で飛ばしてしまうんだ。よく決まったよ。でも彼等のことだから次には対策を考えてくるだろうな。ワタシも秘策を練らないとな。

静かだな。こんなに静かでいいのかな。まあ、ゆっくりグースカできるからいいか。昼ご飯は特別なものがでなかったな。カツオブシご飯がでたが、とびつかなかったな。イカン、イカン。贅沢になりすぎているな。反省しよう。