新・手品師の裏側5

No21:マジシャンはいかに時間をつぶすのか? 2002/11/5
マネージャーのT嬢から11月のスケジュールをもらって愕然とした。
世の中不景気だというのに、我々を見てみたいという企業や市町村の多いこと。
休みがないじゃん!
と贅沢をいってはいけないが、うーん、確かに日本地図上では移動可能で西村京太郎のトラベルミステリーより複雑だ。

ちょーかわいいTマネージャー様、もうわがままは言いません。温泉行きたいだの、女の子と徹夜で飲みに行きたいだの、いいません。
(そんなこと言ってたのかい!仕事して私におごれ!:管理者)
(あ、久しぶりだなあ、つっこみ:筆者)

だから錦糸町のやきとり屋や寿司屋やら、ジャズバーくらい行かせてください。あ、それから普通のマッサージも。
(普通じゃないマッサージってなんだよ???:管理者)

なに? 近所のファミリーマートにはいける?
あはは、ご配慮ありがと。
(充分じゃ:管理者)

ところで
仕事で1日2回ショーというのがたまにあります。
1回目が終わって次の仕事までの間、どう過ごすのか?
マジシャンだから、ネタのセットをしていると思うかもしれませんが、私の場合、通常の30分ショーでは、準備に費やす時間はだいたい15分くらいでオーケーです。
あとはアシスタントのNがやります。

昔の芸人さんは待ち時間にポーカーをやったり、麻雀をする人達もいました。
玉川カルテット先輩は持参の将棋をよくやっている。
また、パチンコにいく芸人さんも多い。
楽太郎師匠や堺すすむさんは、マジックを教わりに我々の楽屋にきます。
だからといって反対に落語や漫談をおそわるということはありませんが。
(なあ〜んでか?:筆者)
(知るか!:管理者)

木久蔵師匠は自署の本にサインをいれ、次回のショーの時に販売する準備をします。師匠の本名は豊田で自分の事務所が豊田商事という。他にラーメンも売っているからね。

さて私は、どう過ごしているかというと本を読んだりうたた寝をしたり、エッセイの原稿を携帯PCシグマリオンで書いています。

エッセイは、自分のHP用、日本奇術協会の機関誌「123」用、SAM日本支部の会報「MUM」用の3本です。

ちなみにそれぞれの最新タイトルは
「いかに時間をつぶすのか」
「中華風マジック料理法」
「ボナ教授の者つくり大学構想」
の3本です。
(サザエさんかい!:管理者)

今もこの原稿を、山本リンダさんの声を楽屋のモニターで聞きながら書いているわけです。
『リンダ、困っちゃう!』
そう言われても、私も困る。
(あはは。私は困らない:管理者)

このように楽屋の滞在時間はそんなに長くはありませんから、なんとか過ごせます。

問題は移動時間です。

先日なんぞは、「飛騨古川駅」に行くのに新幹線と在来線で5時間30分かかります。
しかも、片道です。
(げ!本が4冊読める:管理者)

人生の貴重な1日の中の11時間を列車で過ごすのです。立って動いてる時間はステージの30分とトイレや支度の30分、都合1時間くらい。
寝たきり老人の方が、動いているかもしれません。

そこで、この時間をいかに有効に使うかが問題なのです。
しかも狭い空間です。しかもプライバシーなんぞはありません。共同生活を赤の他人とするのです。

したがって、裸で歩きまわったり大声を出したり、あるいはイリュージョンの練習というわけにはいきません。
(マジックの練習はいいけど、自宅で裸で歩き回ったり、大声出してるの?:管理者)
(いや、例えばの話で…:筆者)

実際していることを列挙してみると。
★睡眠
★読書(この間も分厚い単行本を1冊読みました)
★CDでの音楽、落語鑑賞(イヤホンをしてグフフと笑っていたら落語です)
★シグマリオンで原稿書き

もし許されるなら、車内や機内でしてみたいことがあります。

★ギター練習
★真横になる
★ビデオ鑑賞
★焼鳥屋にいく
★バーにいく
★露天風呂
★マッサージにいく

うーんどうも全部無理かと思ったら、マッサージのある列車があった。
東北新幹線です。いいアイデアだ。

どうせなら新幹線に特別車両があるといいなあ。
図書館、バー、焼き鳥屋、寿司屋、レンタルビデオ屋、キャバクラ、うーん悪くないアイデアだ。
(電車でギャバクラはどうよ?焼き鳥屋も問題があるだろう:管理者)

水商売のホステスの名前も鉄道マニア的なら流行るかも、
「のぞみさん、ひかりさん指名入りました。D51さんも。8号車9Aのお客さん、発車時間がすぎてますよ〜」
(なんちってね。ちょっと下品でした:筆者)
(あーあ、またファンが減ったな…:管理者)
(うーんそれは確かにありうる、過去の経験から…:筆者)

とにかく
そんなこんなでやれやれと家に着き、何かをしようと思うのですが揺り動かされ続けた身体は疲れて、風呂に入って酒飲んだら、そく寝ることになってしまうのです。

よく考えたら家にいる時間より移動時間の方が長いぞ!
わたしゃ遊牧民か?

うーん、なんか変な生活だなあ。

(何のためのマジシャンなの?? 瞬間移動を使いなさい:管理者)
(おお! なるほど、たまにはいいこと言う:筆者)
(たまにかい! そっちこそたまになんかご馳走しろい!:管理者)

写真は飯田橋から神楽坂に向かう途中にあるカレー屋さん。
もちろん、私と関係ない。



No22:すえつむはなのひめ            2002/12/10
メールを開くと
re:the garden of Eden

というのがありました。しかもクリップ付きです。
私のメールはWクリックしないと開かないように設定しているので「ウイルスめ!これでも食らえ」と親の敵とばかりに削除ボタンをおしました。
(あー危うく突き指しそうになった…:筆者)
(違った意味で迷惑メールになりそうだったのね。:管理者)

ウイルス検知ソフトはありますが、このタイトル、誰が見たってウイルスでしょう。
まさか、いきつけのキャバクラが名前を変えましたなんていうことじゃないでしょう。
(へー、行きつけのキャバクラなんてあるんだ?仕事忙しくないじゃん。:管理者)

Eden
はエデンと読みますが「Eでん」とも読めます。

昔、国鉄が民営化された時、E電という呼び名を広めようとしたらしい。大きな駅に看板に地下鉄の表示に混じってE電のりばというのが表示されていたが、いつの間にか消えてしまいましたね。 
(あら?上野駅はまだあったような…。もうなくなっちゃったのね。:管理者)

ニックネームや愛称は自分でいうものではありません。
自然発生的にできるものです。
「私を姫と呼んで」なんていう女性がいましたが、誰も彼女をそう呼ぼうとはしません。姫にはほど遠い顔をしているからです。
(それって、女性イリュージョニストのXXXXのこと?:管理者)
(いえいえ、あの方は日本が世界に誇れる女王ですよ:筆者)
(じゃ、ちなみに私をオードリーと呼んでくれてもかまわなくってよ。ほーほっほほ:管理者)
(オードリーけいすけ?:筆者)
(あんたは澤田隆治かい!:管理者)
(うわ、マニアック!:筆者)

源氏物語にでてくる末摘花姫(すえつむはなのひめ)は姫というよりブスと呼ぶにふさわしかったようですが、美醜は時代で変わるものです。
彼女が実在の人物でなおかつ今の世にいたら絶世の美女と言われたかもしれません。背が高く猫背で鼻が長い。なんか今のトップモデルみたいだ。
(まあ、じゃあ私も平安時代は超ブスだったかもしれない…わたし的には紫の君か朧月夜だと思うのだけど:管理者)
(へー、よく知ってるね。その時代の生まれ変わりか?:筆者)

もし私が女性に向かって「いいねえ。あなたは源氏物語にでてくる末摘花の姫みたいだね」といったらブスという意味ですからね。
しまった、もう使えないなあ。
(使うなよ、そんなの。殺されるぞ:管理者)

NHKの大河ドラマで当世の美人女優がでてきますが、どう考えたってその時代の美人とはいわないでしょう。

ブスといわれている女性達よ、もうちょっと時代がずれていればよかったから気をおとさないように。
(すいませんが、なんのなぐさめにもなってません:管理者)

そのずれた時代は1年後かもしれないし、100年後かもしれない。
もっとも昔は明かりが暗かったから、美醜は関係ないかもしれない。
男と女のアレができればよかったのでしょう。あはは。
(あ、これってセクハラ以上かも。大変失礼しました:筆者)
(アレって、かるた?私は乙女ですのでわかりませーん:管理者)

マジックの道具だって流行りすたりがあります。
アメリカの安価な道具を見みると、なぜか漢字をデザインしたものが多い。
もちろん適当な漢字のため怪しげな箱の面に
「日本一」と書くところを「日木一」と書いてあったりしますが、デザインの一種と思えばそれでいいのです。
(あっはっは。誰かの名前みたい:管理者)

もっとも日本のマジックの箱だって相当怪しいものがあります。

銀のことを「siruba」というのもありました。確かにローマ字読みだけど、外国人にはわからないことになってしまう。

文字といえば、先日とある航空会社にのったところ、カバンにタグをつけられました。

写真参照
「手品用品」と丁寧に書いてくれたのだが、裏を返して驚いた。
「手品手品」となっている。
なんのこっちゃ。



我々にそんなにたくさん手品は必要ない。
(あら、かっこいい。:管理者)



NO:23 モノの価格                  2002/12/28
物の値段を決定するのは、売り手です。

原価から流通、宣伝など私の知らないいろんな経費があって定価が決まるのでしょう。

したがってそれらが日用品やよく使うもの以外のものであったなら、高いか安いかは消費者の考え次第です。

女性の化粧品の値段なんぞは、男の私には「たっけー」と思うけどね。
(私も思います。でも、モトがイイから買わないで済んでるけどね:管理者)
(なーるほど、そうきたか…:筆者)

ブランド品は高いと思っても「そりゃ理不尽だ」とは思いません。
それなりの製品だからです。

ただ買う人を見て「えー、あんなブ●な品のない女が買うのかい! カバンの方も『買わないでーお願い!』と叫んでるだろうなあ」と思うくらいです。
(今、ものすごい勢いで女性の敵を作ったね?でも「私のことじゃない」ってみんな思ってるか!:管理者)
(おめえもな。あ、ウソウソ!:筆者)

例えばギターに興味がなければ、何十万円する、たかが箱に棒がついて糸が6本ついている物体にそんなお金は払いません。

またレア物とはいえフィギュア模型で何万、何十万円も払うのは、私にはわかりません。
骨董や古書もそうです。

よくタレントなどの結婚会見で「価値観が一緒」というフレーズがありますが、もちろんそれは趣味や物を見る目が同じという意味もあるでしょうが、結局は生活レベルが同じということを意味していると思うのです。

「たった1000円」か「1000円もするのか」と感じるのは、その人の今までの生活とそれによって培われた金銭感覚の問題なのです。

私の知り合いの女性が彼とラブホテルで愛し合ったあと、彼は何気なくタクシー代のつもりで5000円を彼女に渡したそうです。
(あんただろう?何回もしてるだろ?:管理者)
(ちげーよ!五回、じゃなかった誤解を招くような発言は削除します:筆者)

もちろん彼女もタクシー代とわかっていたのですが、無償に腹がたってそのあと別れたそうです。
「私の身体は5000円かああ!」というわけ。

ビートたけしさんなんかはタクシー代を2万くらい渡すそうです。でもオチがあってオネーチャンがタクシーに乗るかと思って離れて見送ると、なんと駅に消えていったというわけ。
お金に関してはたけしさんと価値観が違ったのでしょう。
(見られないように私も気をつけよう:管理者)

何億稼ぐ人と2万が大金と思う人の差はありますね。でもこのオネーチャンのお金の使い方が正常なんでしょうね。

さて今いくら財布にあれば安心かというのも、経済状況がのぞけて興味深いものです。
よく観客からお金を借りますが、1万円札をもっている人はあまりいませんね。
とくにスーパーや遊園地などの入場無料のショーにくるひとはその傾向がありますね。

また我々のマジックショーを高いショーチャージを払ってでも見たいという人もいる。
同じショーの内容でも、人によって価値観が違うものです。

私は5万くらい財布にあればなんとなく落ち着きますね。もちろんカードもありますから、いざという時は大丈夫でしょう。
(カードマジックでも見せてお金を稼ぐのか?でも私はお金を持たない主義ですのでそういう男の人を持ち歩きます。うふ:管理者)
(ああ、あなたなら持てるでしょうね、身体デカイから…:筆者)
(ちょっと顔かしな!:管理者)

値段で理不尽の最たるものはマジックの道具でしょう。
イリュージョンが何百万というのはなんとなく一般の人でも理解できそうですが、小ネタの値段です。

30年以上もまえ「浮かぶコルク」というマジックが5000円くらいで売られていました。中味は糸と解説書だけというもの。
一般人がこれを買ったら、ヤクザを連れてマジックショップに怒鳴り込んだでしょう。

もっとも似たような物が今でもよく街中で売られていますね。人形がひょこひょこ動くやつ、500円くらいでしょう。
中をみて愕然としても、その値段なら文句はいいませんよね。

学生の頃、ディーラー(実演販売員)のアルバイトをしたことがあります。
売れ筋は「ダイナミックコイン」というフタみたいなところから100円が5枚、重なって現れるというものです。

買ったお客さん、とくに子供が文句をいいにくるケースが結構ありました。

「ねえ、500円でてこないよー。入ってるのちょうだいよ」と。
忙しい最中にまったく!などとは思いません。

まずその子をショーケースの影に連れていきます。
でもその子供の胸ぐらをつかんで殴る蹴るの乱暴はせず、こう言います。

「いいかい。これはマジックなんだから自分で500円を仕込んでおかなきゃならないんだよ。そうでないと出てこねーんだよ!」と優しく歯を噛みしめながら声を殺して丁寧に落ち着いていったものでした。

それはともかくマジックの道具の値段のほとんどが「アイデアと手順」です。

芸能の値段もあってないようなものです。中間業者がいっぱい入るほど末端価格は驚くほどの値段になります。
われわれだっていくらで売られているのか、現場で知りたいものです。

先日、とある所で車を駐車したところ、目の前で街路樹の剪定(せんてい)作業をしていました。
(写真)

しかし看板を見て驚きました。請け負った値段が書いてあったのです。
情報公開の一環でしょうか。

総額約499万円
1本あたり約8570円とありました。

うーん、高いんだか安いんだか。。。。。

とにかく、今年はこのエッセイはおしまいです。
SOMETHINGのコーナーがあるので、そんなに頻繁に更新はしなかったけど、また来年もよろしく。

(今年も楽しい文章ありがとう。一番最初に読めるんだから管理者名利につきるわね。来年もよろしく〜:管理者)
(こちらもこそ、来年もよろしく:飛車)
(あんたは将棋のコマか!筆者だろ!:管理者)





NO:24 今は幸せか?               2003/3/19
ビデオに撮っておいたマリックさんの正月特番を見ました。
内容はともかく、正月に自分の特番があるマジシャンは世界広しといえど、ほとんどいないでしょう。多分カパーフィールドだってない。
もっともあっちはホリデーか。
(内容はともかくって…:管理者)

戦後(第二次世界大戦)、日本の中で大成功したマジシャンは紛れもなく初代の引田天功とこのMr.マリックさんでしょう。
はっきりいって、それ以外にはいない!

そんなことをいうと「自分を、あるいは自分たちを卑下してどうするんだ!」と怒る関係者あるいはフアンの方もいるかもしれません。

我々ナポレオンズを成功したマジシャンという人がいますが、私はそうは思っていません。

会社組織で例えるなら、マリックさんは社長になった人物。
我々はせいぜい部長クラスでしょう。

でもどっちがいいかは問題です。
社長になればなったで苦労も多いが、部長クラスならそれほど苦労もないだろしあるていど気楽に生きていける。

とはいえ、自分の中では部長クラスで、成功したと思っている部分も少なからずあります。プロになろうとしたとき、思ったことがあります。
爆発的に売れなくても、ながああああくマジシャンとしてやっていこうと誓ったことです。
ゼンジー北京師匠なんかは実にいい見本でした。
誰でも知っているし、すたれないし、息が長い。
(そういう人のほうが成功したといえるかもね。なんだか意気込みは感じられんが…:管理者)
(デビューした頃、よくいわれた。力入ってないねぇ…と:筆者)

イギリスの諺の
Love me little、Love me long
少し愛して、長く愛して
と同じ意味です。
(これ高校で習ったけど、英語の先生は『愛は小出しに末永く、だな』と古めかしく訳していたなあ:筆者)
(あたしゃ、大原麗子さんがやってたサントリーのコマーシャルしか思い出さんが:管理者)

客観的に成功不成功は、何によって判断されるかは難しいところです。

マジシャンの場合は
●テレビによくでる。
●CMにでる。
●自分のショーに客がたくさんくる。
●お金を稼げる。
でしょう。

その差は何でしょう?

多分マリックさんと私との大きな違いは「マジックがどのくらい好きか」ということでしょう。

私は確かマジックは好きだけど、他にも好きなものがあります。
でもどうもマリックさんはマジック一途だと思うのです。
(マジック以外ってたとえばお酒?女?ギター?なんだか遊び人っぽいな:管理者)
(江戸っ子だもん、遊び人の金さんさ:筆者)

この差はかなり大きい。それが社長と部長の差です。
仕事が目一杯好きになれるかどうかです。

私がプロマジシャンになるべく準備をしていた時期があります。当時「奇術研究」という雑誌を作っていた会社でネタを作ったり、日本橋三越でテンヨーや千葉のデパートのトリックスというところでもアルバイトしていました。またプロに同行していろいろ舞台裏を勉強した頃があったのです。
(へー、想像つかないね、あなたがアルバイトなんて:管理者)
(なんでやねん:筆者)

ある時、私とマリックさん(当時は松尾さん)ともうひとりMM君というやはりマジックをやっていた人と3人で、食事をし夜遅くなったのでマリックさんのアパートに泊まりにいったことがあります。
(げっ!そんなに仲良かったの???:管理者)

お茶を飲んだり食事をしたり泊まっていても話すのはマジックのことばかり、しかも私にいろいろアドバイスをしてくるのです。
しかも唾がかかるくらい熱っぽく!
(げっ!きたねぇ:管理者)
なんでこの人はマジックに熱心なんだろうと思ったものでした。
(げっ!恋人どうしみたい:管理者)
そのもうひとりのMM君という人は、今有名なテレビディレクターです。
(げっ!ディレクター。一番まともじゃん:管理者)
(げっ!は、やめなさい:筆者)

彼はマジシャンにならずテレビ業界にすすんだのです。

今でも時々、テレビ局で出会うけど、うっかりすると昔のように「やあ、MM君!」と言ってしまう。まわりのスタッフに対しての立場もあるから、最近は注意して「MMさん」というようにしているけどね。

彼に「アンタは成功したね」というと「うーん、確かに名前はあるけど、最近ドラマを撮っていると、飽きるんだよね、ワンクールもたない。成功というんだろうか?」

(うーん、私もマジックが5分持たない:筆者)
(こらこら!それくらいもたせろ:管理者)

何か共通の想いがあるのかもしれないなあ。
彼も趣味が広く、他にやりたいことがあるんだろうか。

企業でも名のある大企業が成功企業といえるかどうかはむずかしい。
大田区やわが墨田区の中小企業の方が大成功しているところもある。

結局、成功不成功は、自分ではなく、他人が勝手に思うことなのかもしれませんね。

では、果たして「成功した人生」と「幸せな人生」とは同じものでしょうか?

平凡なサラリーマンで孫の顔を見ながら死んでいく人は明らかに「幸せな人生」に違いないでしょう。

では、初代引田天功さんはどうでしょう?
彼は確かに端から見たら「大成功した人生」でした。
しかし、46歳でこの世を去った人生は本人にとって果たして「幸せな人生」だったのでしょうか?

大学の同級生が今、M治大学で助教授をしています。
先日、お茶の水にいって時間があったので携帯に電話すると、研究室にいるとのこと。

尋ねてみると、名前入りの個室の研究室。
「出世したねえ」というと「まだまだ…。今日は授業ないから飲みにいこうよ」というわけで、昼から飲みにいきました。

写真は最近の彼の編著作。
「今日の古文書学」
不思議な学問もあるもんだ。。。。

大学の同級生とランチでビールを飲む。
これって、結構、幸せな人生だなあ、と思った次第。

そう思うと今、大成功しているマリックさんは果たして幸せなんだろうか?

今度あったら聞いてみようと思うのです。
でもきっと彼はこう言うに違いありません。

(BGMで例の曲、♪じゃぁじゃ、じゃぁじゃ、じゃぁじゃ、じゃ、じゃーん!♪以下リフレイン:筆者)

「幸せな人生かだって? その答えは、この封筒の中にあるよ。私が何十年たって息を引き取る時、封をあけてごらん。そこに答えが書いてあるはずだからね」と。。。。。

(ふーん、私はいつも幸せだから遠いお話だな〜。こうやって突っ込みもいれられるし、いろんなボーイフレンドとおいしいものも食べられるし…:管理者)

(なるほど、明らかにあなたは幸せものだと思うよ…:筆者)

(で、あなたは?:管理者)



NO:25 マジシャンはミスメイドがお好き     2003/5/17
通りすがりの中華料理店の看板。

『北京より総料理長招聘。本場の味をお楽しみください』って、うーん。

さていきなりで申し訳ありませんがクイズです。
問題:北海道の、ある地域には暴走族が多いらしい。
さてどこでしょう?
(いきなりすぎないか?:管理者)

答:しゃこたん半島(車高短)
なんちって、失礼しやした。漢字では積丹と書きます。雲丹(うに)みたい。
(いきなりの上におもしろくない!!:管理者)

さ、導入のクイズも否応なしに、ばっちり決まったところで今回はミスメイドの話し。
(決まったんかい?:管理者)

ミスメイドといってもメイドさんの格好をしたミス(女性)ではありません。
好きだけどね。
(あんたはどんな格好でも好きだろ:管理者)

映画で「メイド・イン・マンハッタン」というのがくるらしいが、これはホテルのメイドさんのラブストーリーのようです。
作り間違いという意味です。マジックの分野でこのミス・メイドものがあります。

有名なところではミス・メイド・フラッグ。その現象は、紙を筒状にして3枚のシルク―赤白青を入れますが、術者はうっかり青のシルクを落としてしまいます。でも気づかず筒を吹くと、星条旗らしきものが飛びでてきますが、広げると星の部分がありません。
(ここで観客は大受け:筆者)
(へー。みたことないな〜。あ、そうか、シルクマジック下手だったもんね。:管理者)
(いやー、お褒めにあずかり、照れますなあ…:筆者)

ふたたび青シルクと不完全な旗を筒に入れて吹くと、完全な星条旗になるというもの。原案はシルクの達人ハロルド・ライス。

イリュージョンではミスメイド・ガールというのもあります。女性を立ったまま箱にいれ、四分割します。それをばらばらにします。観客はあんな小さい箱4つになんで切れちゃうんだろうと思うわけです。
また箱を積んでもとにもどそうとするのですが、手違いで順番を間違えます。下から足首と脛の部分、顔、胸、一番上が股の部分です。
マジシャンがそのままそれぞれの窓を開けると、まさにばらばらのそのままの姿が見えます。笑いと不思議の融合したうまいイリュージョンです。アメリカの老舗会社オーエンのオリジナルでもう50年位前からあるようです。

「あ、間違えちゃった」と思わせて実はこうだよというのもマジックの基本演出のひとつです。あんまり真実味があると観客が本当に心配してしまうから、この場合はお茶目で下手な演技の方がいいでしょう。

以前外国のコンテストでマジシャンが演技中、鳩が死んでステージに落ちてしまったことがありました。合図でカーテンが急にしまりました。
しかし、再びカーテンがあくと、落胆していたマジシャンがやおらステージに落ちた鳩の骸を手に取って、魔法をかけると羽ばたきだしたのです!
場内はどよめきました。
しかし、これってありですかねえ?

審査員の間でも問題になり、入賞はなりませんでした。
「ウケりゃいいってもんじゃないねーだろ!」という意見で一致しました。
(もちろん江戸弁で言ったわけではありません。英語、フランス語、ドイツ語での討議ですから…:筆者)
(あったりめーだべ:管理者)
(なんだその中途半端なつっこみ:筆者)
(うるせー!:管理者)

やはり失敗はコメディの要素がなければダメなようです。

さてこのミス・メイドは別の言葉で言えば「できそこない」というわけです。写真のジャケットもよく見るとできそこないです。

胸のポケットの位置がずれてるし、横のポケットのフラップもずれてる。
写真ではわからないけどポケットの端も縫っていない。つまりそれがデザインになっているわけです。これって結構、奥が深い話しで、できそこないだけどそれが特徴になっていれば、輝いているということです。

ポストイットだって、できそこないの接着力の弱い接着剤ができてしまい、それならば貼ってはがせるメモということを思いついたわけです。
(ほんとか?てきとーなこと言ってない?:管理者)
(たまにはほんとのこといいます:筆者)

ノーベル化学賞の田中さんだってミスから受賞したようなものです。
問題は顔がミスメイドの場合はどうなのか。顔が端正でないのはある意味ミスメイドですが、特徴がある顔といえるから印象に残ります。覚えられやすいというのは、犯罪者以外、どんな仕事でも有効でしょう。

では生き方ができそこないというのはどうでしょう。
私のような演芸人は結構できそこないで社会生活もままならない人物です。

でもそれがいい意味での特徴になれば、すばらしい才能ともいえるわけです。ミスを生かすも殺すも、本人の考え次第。
ミスを恐れずに生きるのが、やはりいいかもしれませんね。
(でも、それがハタ迷惑の場合もある:筆者)
(え、それって私のこと? あらそうかしら…:管理者)

ミスといえば、言い間違いもあります。
先日飲み屋で、焼酎のグレープフルーツ割りを頼んだら、酔っぱらいが「あ、グレープフルーツはいいね。なんかの成分が肝臓を分解するらしいよ…ひっく」

うーん、肝臓は分解されないだろ…。酔っぱらいはいい加減だ。

(その酔っぱらいって、あんたじゃないのか?:管理者)
(失礼な!そこまで、ボケちゃいねえぞ!……たぶん:筆者)