2002年8月
8月1日(木)
近くのローソンのお姉さんが鳥かごを持ってきた。中にはスズメの子供がはいっていたよ。生後3週間ぐらいらしい。巣から落ちたところを助けてあげたんだ。「スズちゃん」と呼んでいたな。興味はあったけどショックを与えてはいけないとおもい、ワタシは出ていかなかったよ。「夜は一緒に寝るのよ」。嬉しそうに話していたな。Yもたまには店に泊まればいいのに。ワタシが添い寝してあげるのにな。

2日(金)
あれっ、ワタシが愛用していた小さな金庫の場所に大きな金庫がデンと置かれてるよ。小さな金庫はその上にいってしまったな。そして大きな金庫の前に、これで我慢してくれといわんばかりに、布をかけたダンボール箱が置いてある。まったくしょうがないな。でも乗ってみると、これはこれで、なかなか居心地がよかったよ。夕方すごい大雨とカミナリが来た。これで少しは涼しくなってくれればいいな。

3日(土)
夏祭りが近いのかな。隣りの稲荷神社が塀の修理をしていたよ。朝からガタゴト、ドンドンうるさかったな。でもワタシの体調は良かったよ。朝、昼、夕と玄関マットの所でゆっくりくつろげたからな。やはり休みの日はノンビリしていいな。

4日(日)
ワタシには左目と耳の真ん中ぐらいに、ちょっと大きめのイボがあるんだ。午前中そのイボが痒くて、前脚の爪でかいていたら破れてしまったよ。血が少し出てきたが、ワタシの唾液で撫でたからまあ大丈夫だろう。歳をとると本当に色々なものが身体中にでてくるな。今日は少し涼しかったから気分は良かったよ。なんだこの音は? ゴロゴロゴロのカミナリさんか。まったくうるさいな。でも恐いな。気持ち悪いよ。

5日(月)
やっとクーラーが直った。もう故障しないで欲しいな。母にイボを見てもらったよ。「あとは自分の唾液を傷跡にすり込めば大丈夫よ」。なるほど。つづいてK代が「でも自然治癒力はすごいわね」。そんなおおげさなことではないと思うけどな。

6日(火)
外はすごい暑さみたいだな。店に入ってくる人はみな、暑い暑いを連発していたから。野良たちはどうしているかな。日陰でジッと夜になるのを待っているのだろうか。なにしろ熱風がトグロを巻いているのだからな。そんな心配をしながらも、午後はグースカ、グースカしていたらしい。ワタシのイビキが一服の清涼剤になればいいな。

7日(水)
最近お昼のオカズに恵まれていないよ。今日も母やらYやらK代やらに、食べたいニャー、食べたいニャーと呼びかけてみたが反応がなかったな。この季節、昼に刺し身など食べないからな。その代わり、Yに洗面台まで上げてもらって、洗面器の水をたっぷり飲んだよ。熱中症、脱水症に注意しないといけないからね。秋までは遠いな。

8日(木)
ワタシの粘り勝ちだな。お昼にYからシャケご飯をもらったよ。シャケをご飯にまぜただけの簡単なものだが、嬉しかったな。ワタシは別に贅沢を言っているわけではないんだ。カンヅメ以外のものをほんの数口欲しいだけなんだよ。頼みますよ。イボの傷跡は完治したな。やはりワタシの唾液はすごいんだ。

9日(金)
いいことは続くものだな。お昼にK代が焼きアジをくれたんだ。腎臓が悪くなる前は毎日のように食べていたんだよ。大好物だったんだ。懐かしさとおいしさで、胸とお腹が一杯になった。辛いカンヅメ生活だが、頑張ればいいこともあるんだな。

10日(土)
なんかおかしいな。朝のカンヅメが終わってからYがワタシのカゴを用意していたよ。なんだ、Yに連れられて動物病院へ。おかしいな、検査はこのあいだしたばかりだし。ホテル? Yが泊まるのか? やがてYはワタシを置いて帰ってしまったよ。あれっ、ワタシが泊まるのか? やだな、うるさいし、神経が休まらないよ。なんだ、なんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

11日(日)  ・・・・・・・・・・・・・・・・・。あーあ、ストレスがたまるな。カンヅメも力まかせに口に入れるし。やっと午後四時過ぎにYが迎えに来てくれたよ。ワタシはニャーニャー鳴き続けたよ。嬉しいのか悲しいのか良くわからなかったな。店に帰って、オシッコをして水を飲んでYに撫でられてやっと少し落ち着いたよ。でもK代が来て、カンヅメの中身を口に入れた時には、おもわず唸ってしまったな。病院でのことを思い出してしまったんだ。しばらくは落ち着かないな。もう病院には泊まりたくないよ。

12日(月)
そうか、YとK代は遊びに行っていたんだな。それでワタシを動物病院にあずけたのか。まあ二人にはいろいろ世話になっているから、一晩ぐらいは我慢しなければいけなかったんだな。でもたまらないよ。犬の吠え声やネコの唸り声が、そこいらじゅうから聞こえくるんだよ。今日になってようやくくつろげたな。あれっ、皆ないないな。もしかしてお盆の休みに入ったのかな。いいな。

13日(火)
やっと病院の後遺症から抜け出したみたいだな。朝、昼、夕と玄関マットの所でゴロゴロ寝転がって気持ちよく過ごしたよ。お客さんも来ないし、うるさい電話の音もしないし、静かな休みだな。でも、カンヅメ生活に休みはないんだな。

14日(水)
静かだな。一日三回、シャッターが開いて、YとK代が入ってくるだけだよ。そういえば、母にもここ四、五日会っていないな。ちょっと刺激がないといえば、贅沢かな? でも毛づくろいなどの仕事はだいぶはかどったな。まあいいか。

15日(木)
そういえば、最近、胃液やカンヅメの中身を吐いていないな。ということは、この暑さの中、身体の調子はわりといいんだな。でも去年は夏の終わりに体調を崩してしまったから、用心にこしたことはないな。皆ながいなくて、はじめのうちはせいせいしていたが、こう休みが続くとなんだか寂しいよ。この休み、いつまで続くのかな。

16日(金)
お昼に母が店に来たよ。YとK代以外の顔を見るのは久し振りだな。玄関から店の奥までトコトコと母の後をついていったよ。何かおいしいものをくれるかな? 期待していたが残念ながら収穫はなかった。でも、母に名前を呼ばれて、頭を少し撫でてもらったら、なぜか心が落ち着いたよ。やはり家族はいいな。

17日(土)
Yが植木鉢たちを外に出して、陽の光の下、水をあげていたな。植木鉢たちにはワタシもお世話になっているからな。調子が悪い時など葉っぱを少し頂戴しているんだ。やはり緑は気分を癒してくれるよ。あれっ、なんか風が強くなってきたな。また台風が来るのかな。やだな。

18日(日)
台風が近づいているせいか、雨が降ったり止んだりの涼しい日だな。玄関のマットでくつろいでいると、ときおりセミのもの悲しい鳴き声が聞こえたよ。夕方のカンヅメの時、K代がワタシの鼻チョウチンを見て笑っていたな。ワタシだって鼻水くらいは出すよ。セミの鳴き声と鼻チョウチン、なぜか秋の気配を感じるな。

19日(月)
昨日の夜遅くシャッターが開いたのでYかと思ったら社長のMが入ってきたよ。ワタシの姿が見えないので大きな声でワタシの名前を呼んでいたな。しかたなくニャーと出てあげたけど、まったく夜遅く迷惑だな。やはり今日から皆な仕事だ。久し振りに母はワタシを抱いて昼寝をしたよ。風雨の強い台風が来たが、ワタシの心は温かだった。そうだ、またクーラーが故障したよ。今度は玄関近くにある方だ。まったくイヤになるな。

20日(火)
台風の余波かな、強い風が一日中吹いていたな。ガタゴト、うるさいし気味悪かったよ。昼のカンヅメは苦しかったな。一口目の時にお客さんが数人続けて入ってきたので、あとは‘わんこそば’のリズムになってしまったよ。えい、それ、えい、それ、休む間もなく食べ続けたんだ。でも、午後ゆっくりとヒナタボッコができたんだよ。ちょっと暑かったけど、気持ちよかったな。早く食欲とヒナタボッコの秋が来ないかな。

21日(水)
あれっ、なんだよ。検査のため動物病院へ。先客は犬が三匹。様子をうかがっていると一匹は糖尿病らしいな。ワタシの後に来たネコは腎臓を一つ摘出したそうだ。皆な大変だな。ワタシはまだまだ恵まれているのかな。それにしても今日はだいぶ待たされたな。そのせいか爪を切る段階で唸ってしまったよ。採血は暴れたので脚から。数値はまあまあだった。体重は3,8kg。この時期、100gの減少はまあヨシとしないとな。店に帰ったらクーラーが直っていたな。あーあ、疲れた。母からシャケを少しもらって後は爆睡だったよ。

22日(木)
すがすがしい乾いた空気が気持ちいいな。昼寝には絶好の日和だよ。お昼に皆なが何を食べていたか全然気にならなかったな。それほど深い眠りの旅に出ていたんだよ。夕方一度オシッコに起きて、Yに洗面台まで上げてもらってたっぷり水を飲んで、再び眠りの旅にイソイソと出掛けたからな。旅の終わりに待っていたのは、やはりカンヅメだったけど。あーあ、スッキリした。

23日(金)
びっくりしたな。朝、Yにナデナデしてもらって玄関のマットでくつろいでいたら、巨大なN君が入ってきたんだ。四月以来だな。Yと出掛けていった。朝と昼のカンヅメはYの代わりをA子さんと母がしてくれたが、リズムが微妙にあわなかったな。夕方、Yが帰ってきた。ホットしたよ。
24日(土)
やはり夏の終わりは鬼門だな。季節の変わり目だしな。朝カンヅメの途中で、食べたものをそのまま吐いてしまったよ。YとK代は少しびっくりしていたな。でもワタシの一日は人間の四日になるんだ。だから一日で体調が急変することもあるんだよ。脚の運びもヨタヨタするし、夏の疲れかな。そうだな、きっと。

25日(日)
やっとお昼頃に玄関マットの辺りに陽が差し込むようになったな。少し暑かったけれど存分にヒナタボッコを楽しんだよ。でも、やはり昨日から体調がかんばしくないな。どこがどうおかしいか、よくわからないがな。なんとなく、調子がでないな。

26日(月)
やはり元気がでないな。体調が悪いせいなのか、歳のせいなのか良くわからないが。お昼に皆なが食事をしていても起きなかったし。夕方のカンヅメの時にはいろんなお客さんが来て、気が散ってしまってグッタリしていたよ。それを見ていたのかな。夜、Yが来てくれたよ。うれしかった。心配かけてゴメンよ。まだまだ大丈夫だよ。

27日(火)
お昼に母からトリの空揚げを少しもらって、やっとチョッピリ元気が回復したかな。午後にはすごいイビキで寝ていたらしい。寝るのも体力がいるから、グースカ寝ていたのならもう大丈夫かな。でも暑さがぶり返してきたから、油断は禁物だな。夕方、ワタシのイビキよりすごい音で雨が降ってきたよ。これで少しは涼しくなるかな。

28日(水)
昼のカンヅメが終わってヤレヤレと玄関マットの所にいたら、突然入ってきた社長のMに抱かれて母のヒザまで連れていかれたんだ。参るなぁー。仕事を終えてゆっくり焼きアジを食べながら、今度はヒラメを食べたいなと思っている時、また仕事が入ったようなものだよ。でもイヤな顔は見せずに母のヒザからおりるタイミングをはかっていたよ。そのうち母は気持ちよさそうに寝てしまったんだ。誰にもイヤな思いをさせずにワタシはゆっくり母のヒザから降りたんだな。この暑い中いろいろと気を遣っているんだよ。

29日(木)
やはり残暑は厳しいよー。でもお昼にはYとK代からシャケご飯をもらったからな。お昼に食事をねだれるぐらいなら、まだそう悪くなってはいないよ。そういえばお祭りの提灯の話をしていたな。そうか、お祭りが近いのか。いいな。ワタシも一度でいいから浴衣を着て盆踊りの輪に入りたいな。おいしいものがいっぱいあるんだろうな。

30日(金)
お昼のカンヅメの時、配達の人がワタシをジット見ていたな。そっと近づいてきてワタシの頭と顎を二、三回撫でたよ。あぁ、この人は本当に動物が好きなんだな。なんとなくわかるよ。子ネコだったらまだ可愛いけど、ワタシみたいに年寄りで病気もちのネコはなかなか撫でてくれないんだよ。暑いけど頑張って配達してくださいね。ほんのチョッピリ若返った気分だな。

31日(土)
今日の昼寝は最高だったな。玄関マットの所で、ヒナタボッコをしながら、ときおりYに撫でられながらノンビリとした至福の時を過ごしたよ。八月の終わりにこんな時を持てて幸せだな。あの自転車の停まる音を聞かなければもっといいんだけど、カンヅメは仕事だからしかたないか。さあ、食欲の秋の出番だな。