手を加えないことに努力した島  

 

 無人島とは、兵庫県青年の島、兵庫県飾磨郡家島町松島のことです。

 「無人島」この言葉には、子どものころ、胸をわくわくさせながら読みふけったロビンソンクルーソーなど、若者の冒険心をたぎらせる響きを持っています。

 昭和46年当時、社会は高度の経済成長の過程において、様々な矛盾が指摘されていました。三無主義という言葉が流行するなど、文明の利便さに流されていた世の中にあって、若者たちが夢を描き、自分たちの持つ力を思い切り試す機会を得られなくなっていました。そんな中で、「青年の夢と理想を実現し、無限の可能性を追求する場を、青年自らの手で建設してゆく」という趣旨をもって、昭和46年に創設されたのが青年の島です。

 青年の島は、構想段階から多くの青年が参加しました。構想にかかわった青年たちの意見は多様で、例えば「豪華なホテルを建てたい」というものから、「今の自然をそのまま残し、人間は入るべきでない」という極論にまで分かれ、何回も会合を童ね、時には夜を徹しての意見がたたかわざれました。

 そうした積み重ねを経て、青年たちの大多数の意見を集約し、「自然の前に人間が謙虚に生き、自然と人間が調和、共存する」という青年の島の基本理念が生まれました。

 この理念にもとづき、島では安全に生活できるための最小限必要な整備にとどめるとともに、青年自らの手で建設することを基本としながら、まず、昭和48年にトイレが完成し、避難場所として丸太小屋、カプセルハウスなどが順次青年たちの汗で整備され、一般の利用者にも供されるようになりました。

 また、島の運営については、青年の自主性を尊重しながら、島での生活を楽しみお互いの友憶を深め、自らの島を建設することに喜びを見出せるような運営をめざしてきました。

 以来20有余年、離れ小島において、自然を大切にしながら、自らの可能性に挑戦し、自分たちの手で自分たちの思うままの空間を創り出そうと清動を続けています。

 

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