「シンクロナイズする地球生命」



これらの作品はすべて未発表の作品です。
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(しがらみ短歌クラブ事務局)




とめどなき仮想宇宙と知りつつもシンクロするは地球生命

一瞬のこの生命を輝かせ夜空の星になれるものかな

燃え盛り自ら光る星よりも照らされ輝く月になりたし

仮想的ネットスペースに棲息す君と結ぶは光ファイバー

あどけない好奇心を胸に秘め膨張宇宙に飛び乗りしわれ

不条理の社会にありて孤を保ち真理に向かいてたじろぎもせず

不条理のこの世の中に安住し科学に生きることの空しさ

街の灯もいつしか神戸に戻り来て西の空には冴ゆる月あり

冴ゆる月一人飛び乗る終電車生命ささげる真理はあるか

静かなる研究室に一人居り脳の迷路を駆け巡るかな

一人居てこの静けさにうち震え君のメールに救われるかな

ふた冊のNOTEを持ちていでにけり表紙に書ける「歌と知」「理と技」

君は知る心の中のその奥の涙を燃やす内燃機関

ただ一人机に向かいて歌を詠む窓の外には冬薔薇

窓の外恋人を待つ若き女ほろ苦き一杯のカプチーノ

われもまた霊長目ヒト科ナリ突然変異繰り返すらむ

金曜日地車囃子が鳴り響く鳶職人もわれと踊らむ

一筋の湯気も消えゆき茶筅舞う新しき年すでに動きぬ

厳冬の澄んだ空気に包まれて時の流れに茶を点てる

清みきった心を持ちて茶を点てる君の姿を初釜に見ゆ

高層の鉄骨ビルに棲息す山葵の花に風と留まる

ふとふれる手の温もりにおどろきて我を忘れむ新しき恋

君の目に引きつけられし我が魂すべての鍵を開けよと命ず

バニラ売る不意に触れたる乙女の手ぬくもり恐れ白髪ぬくわれ

恋愛論。白き十字架脳幹に突き刺すほどに人を愛せよ

「この気持ち変わらないわ」と告げる君別れの夜に寒椿咲く

わがままで自己中心でセルフィッシュそれでもなぜか好きって本当?

めまいする甘い香りに包まれて聖バレンチヌスは殉教するらむ

狂いたる我が妄言を全身で受けとめて立つ君が愛しく

白蓮の白き花びら狂い咲き中で果てたる夢に汗ばむ

吾に残るやさしき心取りいだす君に映るは南極ペンギン

虚偽のなき君の唇に吸い込まれ我が魂は解毒されるや

出会いなど風のごとくと思えどもあなたの胸にしばし安らぐ

指を触れ語り尽くすもうめられぬ二人の間の恋の位相は

慢性の淋しがり病共有す恋人未満のただのともだち

霧の中バスに乗り込む君送るダスビダーニャ タヴァーリシチ

美しき月がごとし君なれど照らす光は我より消え行く

悲しみも切なさもみな忘れよと心の黒板さっとひと消し

春の陽に心の扉明け放ち胸いっぱいの深呼吸ひとつ

露一つ流れ落ちたる紫陽花の傍らに佇む君の幻

何一つ優しき言葉かけもせず我が身を守りて友とは何か

空を見る虚ろな目よりひとしずく流れ落ちるは紫陽花の露

あの時と打ち寄せる波は変わらねど時が消し去る砂の風景

大根を洗う母の手アカギレの「ハールヨコイ」のあの子はどこへ

へその緒を切られし日よりさ迷える母の子宮は温かきかな

ふるさととふるさとにいる母思い下り電車に飛び乗りき

「最高の妻」と暮らす「潔白な男」がなぜに死に急ぐかな

今日もまたリングに上るプロレスラー最後の敵は一片のキャンサー

今日もまた道を辿りて巣に帰る傷癒せねば明日は屍

乾きたる大地に水を与えねばあの葦もまたただの枯草







ひろしへのメ-ル