99.5.28公開…00.7.25修正

「オンラインジャーナル編集出版システム」について

 国立情報学研究所(旧 文部省学術情報センター、大学共同利用機関)において、学会(学協会)機関誌の総合的電子化を目指したプロジェクトが進められています。オンラインジャーナルの名の通り、インターネットの活用が主眼ですが、印刷媒体やオンラインでの有料講読(但し認証のみ予定)なども視野に入れています。
 

「オンラインジャーナルプロジェクト」
−オンラインジャーナル編集・出版システム開発・構築事業−
プロジェクトホーム
プロジェクトの概要・システム運用の考え方

 執筆・投稿・査読・編集・校正・サーバ運用から講読・閲覧・情報交換まで、つまり情報の生産〜流通〜再生産まで、「文献」のライフサイクルの全局面を支援しようという、野心的な計画です。実際の運用や実装は、この「サービス」を採用する各学会の都合に合わせて、柔軟に調整できるようになっています。実際の配信はPDFかHTMLを予定しているようです。

 現在のコンピュータ技術的には、当然の内容ばかりです。どこにも無理がありません。どこに新味があるのかもよく分かりませんが、あるいはXMLでしょうか(学術論文用XML/DTDが策定されます)。すごいのは、この種の計画が実行されること自体です。

 最近行われた説明会には、多くの学会が出席していますが、日本考古学協会の名はありませんでした。ただ、『日本考古学年報50』の序言に書かれた、コンピュータによる情報供給の道、という文言が気になります。あるいは、このプロジェクトの存在を意識されているのかもしれません。それにこの計画は、1999年度中に、急速に実験と実用化を目指しています。

 ちなみにプラットフォームとしては、Windows系とSolaris(UNIX)が強く意識されており、Macの名がないのが気になります。文書の原本のデータ形式についても、どうも腰が座ってないところがあります(XMLベースなら良いのですが...)。またDTPを現実に行うつもりであれば、日本語カーニングが上手くないと、相手にされません。

 どうも役所の外郭団体の戦略に乗せられるようで、気になるのですが、ともあれ注目に値するプロジェクトです。

 なお、科学技術振興事業団が開発中の「引用リンク作成支援システム」も関連してくるのですが、これについては公開情報が見当たりませんでした。EndNoteみたいなものでしょうか...


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