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※06.4.5追記:現行の600万画素機はどのメーカーもSONYの同じCCDを用いているが、実質2828×2000画素しかない(実質画素数)。キヤノンの800万画素機(実質3303×2336)とは実質解像度でも1辺約15%、面積比で約35%違う。現時点で特に600万画素機を選択する理由は乏しい。また意外なことに、APS-CサイズのCCDがほぼハーフサイズであり(正確にはもう少し小さい)、焦点距離がフルサイズの実質1.5倍ないし1.6倍に相当するという話も知られていない場合がある。広角側は17mmか18mmが、フルサイズの27mm相当だ(キットレンズの広角側はそうなっている)。ニコンはDX、キャノンはEF-S、シグマはDC、タムロンはDiというブランドが、APSサイズ一眼レフ専用レンズになっている。デジタル対応レンズという表記が不安を誘うのか、最近は従来のレンズにもアナログ対応・デジタル対応を併記する場合がある。確かにデジタルでは、レンズの基準が一つ二つ厳しくなる。
#それにしても、クールピックス5000から遠くへ来たもんだ。
※06.3.25追記:昨今では一眼レフデジカメが普及してきたので、コンパクトカメラの立場が侵食されつつある。2/3型の新型は皆無になり、1/1.8型も衰退傾向にある。現時点で気になるカメラは下記。1/2.5型は売れ線カメラだが、画質志向ではない。
メーカー | 機種 | 焦点距離(相当) | 最大画素 | 備考 | 参考価格 | 発売時期 |
---|---|---|---|---|---|---|
ニコン | P4 | 36−126mm | 800万(3264×2448) | 手ぶれ補正 | 3.7 | 2006.3.10 |
富士フィルム | FinePix F30 | 36−108mm | 610万(2848×2136) | 高感度 | 4.1 | 2006.5 |
ところで、ブローニーカメラに匹敵するデジカメ(リーズナブルな価格帯で)は出現したろうか。2005年には、どうやら出現したようだ。それはキヤノンEOS 5D(実質32.9万円)である(しかし価格的には限界を越えているかも)。これは4×5に匹敵する節がある。キヤノンの800万画素機やニコンの1000万画素機も、高性能レンズとRAW撮影などで、ブローニーカメラに匹敵すると思うが、未検証。
※05.1.15追記:デジカメの松竹梅は、松が一眼レフ、竹が上等なコンパクトデジカメ、梅がそこそこのデジカメだ(と勝手に分類してみる:marginBlog参照)。もちろん、それぞれ境界は微妙で、2/3型を竹とすれば、1/1.8型は竹か梅か微妙だ(上手くすれば竹の内だ)。1/1.8型には解像度だけいえば、500万と700万が市場に存在する。それぞれそれなりだが、そんなに悪くもないし、性能はカメラ次第だ(レンズ次第?)。ちょっとした古文書撮影だって、高解像度の方がいいに決まっている。キヤノンなら、コンピュータからUSB接続でレリーズ&キャプチャしやすい。なおこのセグメントで400g以上はヘビーだし、7万円以上のカメラは高すぎると思う(予算があるなら2/3型に)。性能を詳しく調べたい方は、例によってdpreviewをどうぞ。
メーカー | 機種 | 焦点距離(相当) | 最大画素 | 備考 | 参考価格 | 発売時期 |
---|---|---|---|---|---|---|
キヤノン | Powershot G6 | 35―140mm | 700万 | 7.1 | 2004.9 | |
キヤノン | Powershot S70 | 28―100mm | 700万 | 広角 | 5.3 | 2004.9 |
キヤノン | Powershot S60 | 28―100mm | 500万 | 広角 | 4.7 | 2004.6 |
キヤノン | IXY DIGITAL 500 | 36―108mm | 500万 | 3.1 | 2004.2 | |
オリンパス | CAMEDIA C-5060 | 27―110mm | 500万 | 広角 | 7.7 | 2003.11 |
富士写真フィルム | FinePix F810 | 32.5―130mm | 1200万 | 3.7 | 2004.8 | |
富士写真フィルム | FinePix E550 | 32.5―130mm | 1200万 | ボディ違い | 4.1 | 2004.9 |
ソニー | DSC-V3 | 34―36mm | 700万 | 5.8 | 2004.11 | |
ソニー | DSC-P150 | 38―114mm | 700万 | 4.0 | 2004.11 |
ちなみにオリンパスとソニーに後継機(700万画素機)発表済。
※05.1.7追記:キヤノン20DのようなAPS-Cサイズ一眼レフは縦横比1.5(3:2)だから、800万画素は3504×2336になる。600万画素一眼レフは多少違いはあるが、キヤノン(Kiss)は3072×2048、ニコン(D70)は3008×2000だ。フォーサーズ(4/3型)は縦横比1.333(4:3)だから、オリンパスE-300の800万画素は3264x2448であり、これはコンパクトカメラ(2/3型)の800万画素も同様だ。ちなみに1/1.8型700万画素は3072×2304だ。さて、遺跡関係では35mmの縦横比1.5は少しもてあますのが通例である。正直、1.5と1.333の中間くらいがちょうど良い気がする。大体、用紙の縦横比が約1.414だ。カメラの方も規格だから仕方ないので、左右をトリミングするか、上下をトリミングすることになる。その目で画素をトリミング済で比較してみる(縦横比1.414にしてみる)。もちろん、実効解像度や画像品位は他の要因が絡むので、これほど単純ではない。
一眼レフの1200万画素 | 4027×2848 | 34.1×24.1cm(300dpi) | 56.8×40.1cm(180dpi) |
一眼レフの800万画素 | 3303×2336 | 28.0×19.8cm(300dpi) | 46.6×32.9cm(180dpi) |
4/3型ないし2/3型の800万画素 | 3264×2308 | 27.6×19.5cm(300dpi) | 46.0×32.5cm(180dpi) |
1/1.8型700万画素 | 3072×2172 | 26.0×18.4cm(300dpi) | 43.3×30.6cm(180dpi) |
一眼レフの600万画素 | 2828×2000 | 23.9×16.9cm(300dpi) | 39.9×28.2cm(180dpi) |
※04.9.28追記:2/3型800万画素クラスが充実してきた。安くなった、ペンタックスやオリンパスの新型一眼レフも気になるが、一眼は使い手を選ぶ。レンズ一体型は、やはりレンズ交換作業が無いのが業務用としては安心要素(オリンパスの一眼にはダスト対策があるけど)。
メーカー | 機種 | 焦点距離(相当) | 備考 | 参考価格 | 発売時期 |
---|---|---|---|---|---|
ニコン | COOLPIX 8400 | 24―85mm | 広角 | 9.2 | 2004.10.1 |
オリンパス | CAMEDIA C-8080 | 28―140mm | 8.9 | 2004.3.19 | |
コニカミノルタ | DiMAGE A200 | 28―200mm | 手ブレ補正 | 8.5 | 2004.11中 |
ニコン | COOLPIX 8800 | 35―350mm | 手ブレ補正 | 10.2 | 2004.11中 |
※04.5.3追記:廉価デジタル一眼レフと2/3型800万画素機が揃ってきた。解像度自体はほぼ拮抗する(から悩ましい…もちろん感度・ラチチュード・ノイズでは前者が勝つけど…デジタル一眼レフの性能はレンズにも左右される)。正直、デジタル一眼レフの解像度に一番影響するのはローパスフィルタの特性ではないかと思う(だからフィルタをはずしたコダックが良いのだ…新型は感度160になったし)。2/3型では、オリンパスかキヤノンか。一眼レフでは、速写性ではD70が優位。
※03.12.24追記:現在、コンパクトタイプの選択肢として推奨できるのは、オリンパスC-5060、キャノンG5、ニコン5700ないし5400だろう。5400以外はRAWを備えている。5700以外は1/1.8型だが、感度が低い事を除けば、性能は充分なものだろう。いずれも8万円程度で、これ以上の予算があればKiss デジタルを選択した方がよい。パナソニックのFZ10は400万画素、420mm相当のズームで、手ぶれ補正もあるので、使用条件によっては興味深いカメラである。
※03.9.17追記/03.9.21修正:一眼レフのスペック比較。なお解像度はdpreviewのレビューから。600万画素が一眼レフの標準であり、Kiss デジタルの性能はスタンダードなものである。S2ProはCCDハニカムによって、実際に普通の600万画素クラス機を凌駕する性能を持っている(特にRAWは評判)。DCS 14nは最高性能は高いが、事実上感度80での使用に限定されるようだ。
機種 | 撮像面サイズ | 対角線長 | 有効画素 | 最大記録画素 | 縦横比 | 解像度H/V | 実勢価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
E-1 (フォーサーズ) | 17×13 | 21.4 | 500万画素 | 2560×1920 | 1.33 | 1400/1250 | 21 |
Kiss デジタル | 22.7×15.1 | 27.26 | 3088×2056 | 3072×2048 | 1.5 | 1600/1450 | 11 |
S2 Pro | 23.0×15.5 | 27.7 | 617万画素 | 4256×2848 | 1.49 | 1800/1700 | 18 |
EOS 1Ds | 35.8×23.8 | 42.98 | 4082×2718 | 4064×2704 | 1.5 | 2400/2000 | 86 |
DCS 14n | 36×24 | 43.27 | 4536×3024 | 4500×3000 | 1.5 | 2500/2300 | 60 |
※03.9.5追記:CANONからEOS Kissデジタル(9月20日発売)が登場した(*ist Dに匹敵する軽量)。専用レンズは低価格に過ぎて色収差が見受けられるが、CANONには高画質レンズが揃っている。2/3型ではミノルタ(A1)とソニー(F828)から新型カメラが発表されているが、価格的にKissデジタルとの競争力に欠ける。※03.9.9追記:但し、A1には手ぶれ補正があるし、F828には第4の感色層がある(しかも800万画素)。※03.9.17追記:E-1は防滴性、CCDほこり除去機能、シャッター耐久性等の特徴がある。*ist Dはファインダー倍率が高い点が有利である。
※03.6.24追記…03.6.29修正:クールピックス5000が5400に交代してしまった。1/1.8インチ型500万画素機は、画質上の問題も残るけれど(そんなに問題があるわけではないが)、何より常用感度が50になってしまうのが痛い。500万画素機にはやはり2/3インチ型が望ましい。現状では4機種しか残っていないが、一つあげるとすればクールピックス5700だろう。4/3インチ型(通称、フォーサーズ)もアナウンスされたが、最初のE-1(10月発売)は価格的にAPSサイズ機と変わらないし(実は、撮像面サイズも殆ど違わないのだが)、重量も変わらない。レンズを含めて同じ価格帯ならAPSサイズ機が欲しくなるし、E-1より軽い機種だってあるのだ(*ist Dは510g)。なお、コンパクトタイプでは1/1.8インチ型400万画素の高級機が、バランスが良いようである。
※01.9.22追記:ニコンのクールピックス5000(2001年11〜12月頃発売)は、本体360gで高性能な500万画素機である。このカメラの登場をもって、本格的な遺跡現場デジタルカメラ時代が来るものと期待したい(中判〜大判カメラの需要は除く)。ちなみに、フィルムカメラを残す場合でも、年度を越さないうちにスキャンしてデジタル化しておくべきである(通常はフォトCDを勧める)。後になってからでは、予算上も対応できないだろう。遺跡のデジタル化は、かつてトータルステーションの活用から進んだが、今日ではデジタルカメラが推進力になるのかもしれない。
▽▽以下、旧稿▽▽
●遺跡の現場に必要な写真システムを再考する。大事なのは、以下の3点だろう。(00.10.17)
現場用カメラといえば、筆者の周辺では1990年代中頃は、35mm一眼レフ2台(性能がまともになってからは、オートフォーカスに移行)、6×7一眼レフ1台としていた(注1)。コンパクトカメラにネガカラーを詰めて、調査員のメモ用カメラにしていたこともある。また小型ストロボや露出計も用意した。
35mm一眼レフ用のフィルムは、白黒がT-MAX100(注2)、カラーがフジフィルムのプロ用ISO感度100のポジ(リバーサル)を用いていた。いずれも感度100である(注3)(林間など特殊な状況の現場では、ISO200を用いたこともある)。感度100だと、よほど明るく条件の良い時以外は、三脚が必須である(注4)。6×7はポジ(ISO100)のみである。まとめると、以下のようになる。
従来型カメラセット | |||
種別 | 機材 | フィルム | レンズ |
小型カメラ | 35mm一眼レフ(AF) | T-MAX100 | 標準系ズーム |
プロビア100F | |||
中判カメラ | 6×7一眼レフ | プロビア100F | 広角、及び標準 |
中判カメラはカラー図版頁を想定しているので、それに相応しいカットの撮影に限られる。大判カメラの使用は、特殊な場合に限られると思う(注5)。メモ用カメラは多様なので、後述する(手軽に使えることが条件だろう)。
白黒フィルムが主流だったのは、印刷が白黒主体だったこと、(自家現像によって)良好な写真版下が作成できること(濃度やコントラスト等)、引伸し倍率が自由にできて遺物の縮尺を合わせやすいことが理由だった。また、ネガカラーが本流にならなかったのは、印刷適性の悪さからである(白黒印刷の版下には白黒プリントが適しているし、カラー印刷の原版にはポジが適している)。
しかしデジタル処理の時代になって、事情は変わってしまった。暗室作業は、明室作業に転換していった。どうせ写真をデジタル化(フォトCD等)するなら、いまさら白黒でもないから、カラーということになる。カラー写真を印刷原稿用に白黒化することも、デジタル処理なら容易である。コントラストは多少調整する必要があるが、大した問題ではない。問題は解像度の方である。一般に感度が同じなら、解像度は、白黒、ネガカラー、ポジの順になる。従って、ネガカラーを原版に用いるのが有利ということになる。ネガカラーは、ラチチュード(露出の寛容度あるいは階調性)が広いという利点もある。
ただし、デジタル原稿を印刷会社が受け取るかどうかの問題、カラー図版の場合の色品位の問題がある。デジタル処理でカラー印刷が上手くいくまで(慣熟するまで)は、そのままでカラー版下として入稿可能なポジを優先した方がいいかもしれない。解像度的にも、差は僅少である。
割切っていけるなら、35mm一眼レフにISO100のネガカラーで、万能と称することも可能になった。これだとスライドが作れない(注6)との声が聞こえてきそうだが、それならラッシュ仕上げをすすめる(ポジのスリーブ仕上げと同じことになる)。上映用には、これで充分である(必要なコマだけマウントする必要があるが)。また、デジタル処理でスライドを作成すれば、文字も自由に入れられて具合がよい(スライド作成は、1枚500円程度から)。今後は、コンピュータ直結の上映設備も普通になっていくだろうから、スライドの必要性自体が失われつつある。
スライドは、写真が見やすい、チェックしやすい、という利点があるが、それもデジタル化で解消する問題だろう。
実は、カメラ2台で重複撮影するのは、故障や事故に備えた保険という意味もある。その意味なら、ネガカラーとポジの2本立てが良い。いずれにしても、白黒フィルム撮影の意義は、既に失われたと考える(そもそも、カラーの情報量は、考古学上も有効)。
そういうと、保存性が問われるかもしれない。カラーフィルムの耐久性は、あまり高く見積ることはできない。しかし、その意味ならデジタル化に勝るものはない(カラーフィルムを三色分解して、3枚の白黒フィルムとして保存する手もあるが、一般的ではない)。
90年代末葉になって、急速にデジタルカメラが進歩してきた。撮像面の大きさによって、大きく2大別できる(スキャナタイプ、3ショットカメラ(注7)、及びローエンドクラスは除く)。
解像度的には200万〜600万画素の範囲になるが、性能は主に撮像面の大きさに依存する。問題は、図版用に使えるレベルかどうかだが、サブインチクラスでも300万画素以上なら(注8)、ライカ判のISO400くらいのレベルには達しているのではないか。
建設工事記録写真に関わる建設省基準は80万画素以上だから、意外と敷居は低い。筆者の考える基準は1920×1280ピクセルである(300dpiで横16.25cm、350dpiで横13.93cmの印刷が可能)。サブインチクラスでも300万画素クラスなら凌駕しているが、実際これを高品位にクリアするのは、かなり難しいと思われる。1頁8枚組のレイアウトなら、960×640ピクセルでよい(これで横8.1cmの印刷が可能)。960×640でも、高品位にするためには、単板カメラだと元画像は倍程度の解像度が必要だから、200万画素クラス以上ということになる。
デジタルカメラの性能や価格は、現時点でも導入に値するレベルに達しており、サブインチクラスであっても(1頁2枚組の図版用は苦しいとしても)、1頁8枚組なら問題ない。オーバーインチクラスなら、1頁2枚組も可能だろう(多少苦しい点もあるが、それは35mmフィルムでも同様である)。つまりオーバーインチクラスなら、35mm一眼レフの代替が可能と思われる。
現状のデジタルカメラは、確かに過渡期かもしれないが、その趨勢は明らかである(注9)。
遺跡調査における写真の最終的な利用形態は意外と限られている。
最も主流だった報告書白黒写真図版も、PDF上ではカラー化するから(印刷は白黒であっても)、印刷原稿として有効なカラー画像が得られればよい。その原版は、35mmポジでもいいし、オーバーインチクラスやサブインチクラスのデジカメでもいいだろう。ただし、全面的なデジタル処理への移行は、カラーマネジメントの達成が前提になる。
貸し出しや上映については、いずれもデジタルデータに移行していくだろう。
問題は、高品位な印刷や大伸しに耐える画像である。6×7や4×5に匹敵するデジタルカメラは、あまりにも高価すぎる。当面は何らかの中判カメラを用意した方がよいだろう。
メモ写真については、次節で述べる。
メモ/スナップ用の写真機材を考えるとすれば、以下のいずれのフォーマットでも構わないだろう。
調査員による常時携帯が望ましいから、小型で、できれば防水型が望ましい。APSは感度100のネガカラー(事実上、フジフィルム nexia F)だと、35mmフィルムと遜色なくなる。APSは、フィルムスキャナにかけても、オートローディング可能だから、手軽である(35mmフィルムの大量スキャンは面倒なので、どうしてもフォトCD等の外注を選択したくなる)。デジカメだと、フィルム代や現像代がいらなくなるから、やはり具合がよい。
サブインチクラスのデジタルカメラしか用意できない場合は、35mm一眼レフを1台残す。なおメモカメラは、サブ的な使用でよいと思う(遺構撮影は小型カメラの項の機材に任せ、メモカメラが全ての撮影を網羅する必要はない)。
近未来型カメラセット1 | |||
種別 | 機材 | フィルム | レンズ |
メモカメラ | 前節参照 | 前節参照 | 不問 |
小型カメラ | サブインチクラスのデジカメ | 不要 | 2〜3倍ズーム |
35mm一眼レフ(AF) | プロビア100F | 標準系ズーム | |
中判カメラ | 645一眼レフ | プロビア100F | 広角、及び標準 |
近未来型カメラセット2 | |||
種別 | 機材 | フィルム | レンズ |
メモカメラ | サブインチクラスの小型デジカメ | 不要 | 不問 |
小型カメラ | オーバーインチクラスのデジカメ | 不要 | 標準系ズーム |
中判カメラ | 645一眼レフ | プロビア100F | 広角、及び標準 |
近未来型カメラセット3 | |||
種別 | 機材 | フィルム | レンズ |
メモカメラ | サブインチクラスの小型デジカメ | 不要 | 不問 |
小型カメラ | オーバーインチクラスのデジカメ | 不要 | 標準系ズーム |
中判カメラ | 上記でまかなう(それだけの性能がある場合…600万画素以上) |
無論、デジタルカメラを使用する場合は、現場にコンピュータは必須だし、バックアップ体制も充分に考慮しておく必要がある(複数のハードディスク、ネットワークサーバ、CD-R等)。
最終的な保存形態としては、HTML版の画像データベースを、制作しておく必要がある(建設省基準のようなXML版もありうる)。
デジタルカメラは、実は、原理的に深刻な問題を抱えている(それをわきまえていれば、必ずしも深刻な問題とはいえないが)。そもそもデジタル化された写真はピクセル(画素)の集合であるが、ピクセルは、いわば画像の原子に相当し、実際に意味ある絵柄の最小構成要素は、どうしても複数のピクセルの集合ということになる(いわば画像の分子…あくまで比喩的表現)。最小の1点であっても、1ピクセルで表現されることはなく、数ピクセルにわたる画像になってしまう。絵柄の境界が滑らかに表示されるためには、少なくとも2〜3ピクセル以上の漸移ゾーンが生じてしまう。これはPDFなどでアンチイリアスのかかったフォント表示と同じで、理論的限界の話である。
なおデジタル写真の(原理的な)曖昧さは、印刷版下用のデータにシャープネス(アンシャープマスク)をかけることで、実質的な対策とすることができる(シャープネスは、入稿直前のデータにかけるべきである)。保管用や作業中のデータを拡大表示しても、甘い絵に見えがちであるが、そう判断するのは拙速である。通常のカラー写真印刷なら、350ppi→175lpi(175線)になる(しかもシャープネス込み)。最終的な鑑賞形態が問題であり、それは生のデジタル写真をピクセル等倍や200%倍率で観察することではない。ただしデジタルカメラの場合、レンズの性能差は、フィルム以上にシビアであるから、その点は注意した方がいい(画像が甘く見えたなら、もしかしたらレンズが原因かもしれない)。
また単板カラーカメラの場合、一般に撮像面上の隣接する4ピクセルは、原色タイプならGRGB(緑赤緑青)であり、ここから一般に4ピクセルそれぞれのRGB画像を生成するようになっている(補色タイプだと感度も解像度も有利だが、その話はここでは省略)。つまり本来、4ピクセルで、せいぜい1ピクセル分程度のカラー画像の情報量しかないはずなのだが、4ピクセル分の情報を作ってしまうのが一般的である。この段階で情報量が数倍に水増しされていることになる(正確な見積もりではありません)。演算のアルゴリズムには、色々工夫がこらされており、アルゴリズムによる優劣もあるのかもしれない(演算時間は問題になる…だからこそ、カメラ内では処理せず、RAWデータとして、あくまでPC側の後処理に任せるスタンスもある…コダックの一眼レフシリーズ等)。高級デジカメ(正確にはカメラバッグ)の中には、フィルター(RGB)を変えて3ショット連続して撮影し、それを合成することで、撮像素子の性能の限界を極めようとするものがある(民生用カメラを白黒モードにし、フィルターをかけて実験してみたら面白いかもしれない)。
またCCDには、原理的に避けられない複合的なノイズがある。回路上の信号読み出しにかかわるノイズ(リードノイズ)、光電効果に必然的な電荷のゆらぎであるショットノイズを除くと、特に問題なのは、主に以下の2点にまとめられるだろう(ノイズの成因は複合的だし、色々な文献を参照しても分類に窮するところがあり、表現は難しいが、あえて端的にまとめる)。 →異様に詳しい参考リソース
こうしたノイズは露光時間が長い場合に、より目立つようになるし、また絵柄の中で暗い部分に目立ちやすい(SN比が問題なのだから、シグナル=明るい部分の方がノイズの相対比は下がる)。熱ノイズは深刻な問題で、天文写真の分野ではCCDの(かなり極端な)冷却は常識となっている。高級デジカメ(正確にはカメラバッグ…300万円台)にも、ペルチエ冷却装置の付いたものが存在する。CCDの熱対策は、常に課題だろう(液晶つけっぱなしは、多分影響があるだろう…カメラの中に熱源はなるべく置きたくない...)。ランダムノイズの低減を図るため、複数のショットを重ねるシステムも多い(民生用カメラでも存在する)。発生パターンの一定した、固定ノイズの低減のため、いわゆるフラットフレームとダークフレームを撮影したりする(かつては天文分野に限られる手法だったが、最近は民生用デジカメでも普及してきた[修正:01.10.14])。
また特に民生用CCDは、あまりにも高密度化したことで、電荷のゆらぎばかりでなく、光のゆらぎも問題になってきている(既にレンズの性能上の限界が話題になっている)。高密度であるということも、ノイズの原因なのである。業務用一眼レフデジタルと民生用デジカメの素子密度は、3倍くらい差があり(面積比ではその二乗)、その余裕がノイズの差につながる(民生用でも工夫が凝らされているので、必ずしもサイズ程に画質が悪いわけではない)。
以上述べたような事情から(実際にはもっと複雑なはずだし、本稿はあえて単純化した部分もあり、理論的にどれだけ正確かは保証できないが)、デジタルカメラの画質には、難しい問題がつきまとう。それをカバーするのは、一にCCDの画素の大きさ、二に解像度である。解像度の余裕が、画質上の問題点を目立たなくさせてくれる。それはイコール、容量の余裕も必要ということである。本格的にデジタルカメラを活用すると、1日で数GBに膨らむかもしれないし、その画像処理のワークスペースを考えると、その数倍の容量は必要になるだろう。
無論、実際には画像品位のターゲットを決定しておくべきである。例えば、印刷の仕様に沿ったレベルをミニマムにする等、仕様を限定すべきである。フィルム写真でも同様だが、画質は(総合的な)コストと比例関係にある。コストは無制限では無いので、ターゲットゾーンは、これからますます問題になっていくだろう。35mm判ISO100ポジ相当ばかりでなく、中判・大判カメラに相当するデジタル画像の水準も、いずれ問題になるだろう。
WebsiteTop>技術情報>写真仕様再考 …00.10.17…00.10.19…01.2.9…01.7.8…01.10.14