朝日新聞社殿


1999年6月29日朝刊、青鉛筆の記事には、誤報が含まれています。

●報告書がCD-ROMになったのは、西台後藤田が初めてではありません。すでに去年か
ら出ています。
 東京都に限ると、以下のようになります。
  1998.3 岡本前耕地遺跡    PDF版 HTML版
  1999.3 日影山・東山道武蔵路 PDF版 HTML版
  1999.3 西台後藤田遺跡    PDF版
 いずれもPDFをメインとしますが、前二者はHTMLで本文が読めるようになっていま
す。

 また、福岡県太宰府市、群馬県安中市に、報告書PDFを収録してはいないけれども、
表データや写真等をCD-ROM化した例が先行して存在しています。今年度になると、そ
うした例は、神奈川県平塚市、千葉県市原市のように、さらに増えてきています(こ
れらには、いずれも報告書のPDF版は収録されていませんが)。これら以外の例は、
私は把握しておりません。

 PDF(Portable Document Format)の特徴について簡単に述べれば、DTP(DeskTop
PublishingないしDigiTal Prepress)を貫徹し、完成度の高いDTPファイルが出来上
がれば、後は簡単な変換作業で、PDFが作れることです。PDFは、紙への印刷物を、そ
のまま電子化したようなフォーマットで、電子時代に相応しいハイパーテキストとし
ての機能も、十分に備えています。PDFへの変換/編集には、Adobe Acrobatが必要な
アプリケーションです。
 
●印刷版の制作は、始めから予定されていたもので、急遽行われたものではないはず
です。編集担当者(調査員)としては、印刷版はいらない、という気持ちがあったの
かもしれませんが、現実にそのようなやり方(CD版のみにしてしまう)が認められる
状況ではありません。このことは、関係者なら皆心得ていることです。

●現状では印刷版とCD版が、内容も制作費用もだぶってしまうようですが、実際には、
印刷版の頁数を減らして、減った分の費用の一部をCDに回していたりします。減らし
ているのは、主に表データの頁です(印刷版図版頁の白黒写真を、CDではカラー写真
にしたりもします−これも立派な電子版の有効活用です)。現状では、紙の印刷物と
の機能分担という側面もあるわけで、そうした総合的な費用軽減の工夫をしているこ
とを、理解して下さい。決して、単なる二重投資をしているわけではありません。

●文書や図版をCD-ROMから起して版下にする、というようなことは、現状では、技術
的にも編集のタイミング的にも、ありえません。まずDTPを作成し、それを版下にし
たり、PDFにしたりすることになります。PDF→版下ではなく、DTP→版下、およびDTP
→PDFです。
 PDFそのものが、印刷のプラットフォームとして使われるためには、いくつかクリ
アすべき課題がありますし、元々のDTPファイルの出来の良さも、要求されます。将
来的には、PDF→印刷のプロセスも現実的になっていくはずです。

1999年6月30日
署名


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