■電子文書のガイドライン 03.1.8

報告書の構造

 報告書の構造をレイアウトから考えてみる。報告書の頁には類型がある。以下の5類である。

1類:普通文
文章の属性に関わらず、普通のテキスト主体のページである。HnやP等、通常のHTMLで記述できる。
2類:羅列図
特徴としては、1)個々の図の大きさが一定していない。2)数字やキャプションなどが付随することもある。サムネイル画面に近く、その一覧性が要である。特に遺物では、統一縮尺で、相対的な大きさが一覧性の元で分かりやすい。実際には、レイアウト済みの合成画像が扱いやすい。場合によっては、要素図を並べ、要素図=サムネイルから元図へリンクしてもよい。
3類:情報図
関連する情報を集成した図である。2類以上に要素の関連性が高く、要素間の位置関係も重要である。そのため、図は一体化して作成される。ラスター化図を、そのまま表示すればよい。
4類:観察表
遺物観察表は一般に極めて複雑で膨大な表が掲載される。あまりにも巨大な表の場合はページを分割した方がいいかもしれない。横幅を1頁に収めるためにセル内に改行が入ることもある。なるべくなら正規化表にしたいが、多すぎるコラム数の対策は、やはり改行(複数行)が良いかもしれない。 主要なデータには、Excel(4.0ワークシートが望ましい)あるいはcsvやtsv(テキスト)を収録することが望ましいが、ブラウズされたtableをExcelにコピーするだけで表データとして取込みできるので、プリミティブなデータの重要性は減っている。何らかの機能実現のためにはFileMakerのランタイムという可能性もあるが、JavaScript の方が軽いかもしれない。表中から図や写真へのリンクもいいだろう。
5類:写真頁
写真図版をまとめたものは、通常の写真データベースと殆ど変わらない。遺構写真はサイズの一定性が高いが、遺物写真は2類と同様、縮尺統一でサイズはまちまちであるが、これも合成画像が扱いやすい。関連情報へのハイパーリンクは、図は画像への直リンクでもよい。場合によってはキャプション(観察表の1レコードに相当)が必要かもしれない。

 報告書の構造を意味から考えるのではなく、レイアウトの観点からすると、以上の5類型をカバーすれば済む。いずれにせよ既存のHTMLで記述できる。メタデータは、ファイルに与えればよい。

 ワード単位のメタデータ(意味)は、まず「報告書抄録」が対応すべきだろう。報告書抄録をルートとし、ドリルダウンで個々の遺物にたどり着けるようにするのもいいかもしれない。個々の遺物は2類相当の羅列図で配列されているが、これを個々に完全にカード化する可能性もある。

解像度

 図の表示は、画面上で、印刷紙面での大きさの1.2〜1.5倍くらいが望ましい。15インチ液晶XGAは85dpi(正しくはppi)、Windowsの初期値は96ppiである(17インチ液晶SXGAの解像度にあたる)。20.8インチで2048×1536の液晶は120ppi、15インチでUXGA(1600×1200)は133ppiである。将来のディスプレイは200ppiを越えるという話もあるが、現状では120〜133ppiが適していると思われる。15インチXGA85ppiの1.5倍は約128ppiになる。

 実際、紙面で本文10ポイントを、1.8倍程度に拡大して閲覧すると見やすいが(ディスプレイ上で18ポイントになる)、紙面はWYSIWYG的に言うと72dpi(初期のMacの解像度)、その1.8倍の約130dpi程度が閲覧時の望ましい解像度になる。実際、その程度の解像度のスキャン画像は閲覧に適している。

 A4判での図版サイズが16.4×24.4cmと仮定すると、133dpiで859×1277ピクセル、72dpiで465×692ピクセル(いずれもアンチエイリアスの都合上、階調画像)。前者はSXGA、後者はXGAのディスプレイで概ね一覧できる。実際にはSXGAをターゲットにした画像を用意し、JavaScriptでダイナミックに画像サイズを半分にできるようにしておけば、やりやすい。

 元図(org)は600dpiでいいだろう(但しカラードキュテック60は線画解像度1200dpi相当になっているのが悩ましい…階調画像は600dpiで各ピクセル256階調、これでも頁15円)。


■電子文書のガイドライン