横田<miskij>萬や


教育関係者たちへ


「2001年のサラリーマン」畑山 博 著

もう絶版となっているが、私がこれを図書館で借りて読んだのは20年近くも前になる。華やかさを想像させる題名とは裏腹に、結構ブラックな近未来がリアルに描写されている。能書きはこのくらいにして、教育関係者に読んでいただきたい章がある。

「小学3年生」(あるいは「小学4年生」か?)

私の記憶から簡単に要約してみる。

−小学高学年で既に凶悪犯罪を起こすようになり、
ついに小学校の教室を舞台に小学3年生数人が同級生を人質に乱暴を働き、
大人にしか使わない催涙弾を使うかどうかでもめる刑事たちの苦悩が描かれ、
犯人らの親との連絡が全くとれないのに意を決して突入を決定する−

20年も前だったら、こんなことは起こりえないだろうとたかをくくっていたのではあるまいか。そして、現実はしだいに虚構に肉薄しつつある。
アメリカでは高校生が銃を教室内で乱射したりする。

web pageやマスコミ等ではこの予言ともいえる小説についてほとんど触れていないほか、サーチエンジンでもヒットしてこないため、あえてこうして記しておく。

私の考えでは、個室化され、密室になっている校長室そのものを廃止し、職員室で用を済ますようにしてはどうかと提言する。奈良県の十津川にある廃校を再利用した教育資料館によれば、昭和初期の3教室だけの小学校では、教室と校長室を仕切るのがたった一枚の引き戸だったという。

教室で騒ぐ悪童がいれば、ガラリと戸が開き、恫喝の声とともに襟首をつかんで校長室に引きずり込み、戸を閉め、正座をさせ、威厳を持ちつつ教育的指導を行ったのだろう。そういう風景を想像するのは私だけではあるまい。

1998.Feb.18記す


畑山 博  逝去

2001年の暑かった夏の終わりとともに、9月2日、死去された。66歳。
どのような思いで2001年より先に去っていったのだろうか、どうか安らかに。

RTS
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