「で、どういった御関係、なのかしら?」
 言われて僕はハッとして振り向いた。
 そこには当然、るりか、すなわち僕の恋人が立っていた。
 頭から二本の角が生えているような気がしたのは、きっと気のせいではないだろう。
 「あ、いや、その、これは・・・」
 言い訳を使用として僕はるりかの方を振り向いた。
 「詳しいことは後にした方が、いいかな?」
 見ると騒ぎの音に気付いてか、おそらくは明日香のファンと思われる者たちが、こちらの方に気付いていた。
 「とりあえず、逃げよう!」
 僕はるりかと明日香の手を取ると、走り出した。



Sentimental Midnight
第四章




 「あ、あのー」
 一緒に走っていた明日香のマネージャーが不意に話し掛けてくる。
 あまり運動が得意そうなタイプには見えず、既に行きも絶え絶えである。
 「え、なに?」
 走りながら明日香が聞き返す。
 こちらは全力で走っているにも関わらず、息一つ乱れていない。
 「夏穂といい勝負かも・・・」
 思わずそんなことを思ってみる。
 が、頭の中で考えていたつもりであったのだが、どうも知らず知らずのうちに声に出ていたようで、
 「夏穂って、誰?」
 るりかが怖い顔でこっちを睨んでいた。
 うーん、大ピンチかも。
 「いや、だから、です、ねえ。」
 こちらとはまた違った意味でピンチのマネージャーが、途切れ途切れにそう言う。
 「だからなに!」
 「ここ、どこ、何です?」
 「「「え?」」」
 言われて僕たちは立ち止まった。
 夢中で走っているうちにどうやら変なところに出てしまったらしい。
 ちなみにファンの人たちの姿はとっくに見えない。
 「そう言えば、ここ、どこなんだろう?」
 確か、地下鉄の駅に入って・・・でなるべく人通りのないほうへないほうへと走って・・・
 とりあえず東京の地下のどこか、には違いないのだが・・・
 あたりには人気は感じられない。
 そう言えば東京の地下には開発途中で放棄されたような場所がある、って言うのを聞いたことがあるなあ。
 なんにしてもどことなく不気味な場所であった。
 「へえー、東京の地下ってこういうところがあるんだ。」
 感心したような、そんな口調で周りを見渡するりか。
 「あのねえ、そんな場合じゃないでしょうに。」
 「あ、そうだった。・・・で、どういう御関係?ついでに夏穂さんて誰?」
 やぶ蛇だった・・・





 「・・・というわけでさ、明日香も夏穂も昔の知り合いなんだよ。」
 「ふーん。」
 一応、これまでのいきさつを包み隠さず話したのだが、まだるりかはいまいち納得していないようであった。
 「ただの同級生だってば。」
 「ただの同級生、ねえ。」
 ちなみにこのただの同級生、という言葉に、実は後ろで明日香が険しい表情を見せていたことに、"僕は"気付いていなかった。
 「向こうは、そうは思ってないみたいだけどね。」
 そう言うるりかの視線は、明日香の方を見ていた。
 その明日香もまた、るりかの方を見ている。
 視線が交錯し、火花が飛び散っているように見えたのは・・・気のせいだよな、うん、気のせい。
 そうやって僕は自分を納得させた。
 一触即発の状態がしばらく続き、明日香が何やらるりかに言おうとした、その時。
 「なに!?」
 妙な気配を感じてるりかが叫んだ。
 その声に振り向いた僕が見たものは。
 「なんだ、あれ。」
 そこには、見たこともない触手の化け物が、姿を現していた。





 「な、なんなのよあれ〜!」
 突如現れたその生き物(?)の異様な姿に、明日香が悲鳴を上げて僕の腕に抱き付く。
 あからさまにむっとした表情を見せたるりかが、もう片方の腕にしっかりと捕まる。
 こんな時まで、変に冷静だな、と感じたが、そのるりかがの腕は、小刻みに震えていた。
 エイリアンか何かの映画に出てきそうなその生き物は、ゆっくりと僕らのほうへと近づいてきた。
 「あああー。」
 マネージャーはその場にうずくまって震えているだけ。
 僕は、戦おうにもこの状態では両手が使えない。
 まさか彼女たちを振り払うわけにも行かないし・・・
 さて、どうするか、と思案をはじめた、その時。
 バシュ、という音と共に、その生き物が大きくのけぞる。
 続いて二発、三発。
 確実に弾は化け物を捉え、やがて、化け物はぴくりとも動かなくなった。
 そして、
 「よし、かたずいた。って、何でこんなとこに人がいるのよ。」
 そういって姿を現したのは、一人の女性であった。
 そして、もう一人。
 「所詮、"できそこない"ね。」
 動かなくなった化け物を見下ろす一人の少女。
 赤毛のその少女を、僕は確かに、どこかで見たことがあった。
 「七瀬・・・優?」
 呟いた僕の瞳を、優は静かに見つめ返した。



第五章へ続く



あとがき

夏穂:なんかどんどんキャラクターが増えてきて、これで収拾がつくんかね?
優:さあ?
明日香:しょうがないわよねえ、元々12人もキャラクターがいるんだし。
るりか:あ、でも、収拾がつかなくなりそうだから何人かは名前だけしか登場しないって噂もあるわよ。
夏穂:へえー、ってあたしのことじゃないわよね?それ。
るりか:さあー?案外そうかもね。
夏穂:あたしに出番をよこせー!
明日香:それじゃまるで惣流アスカだって。



アスカ:って、何でいきなりアタシの名前がでてくんのよ!
ジェイ:いやまあねえ、出番が少なくって叫ぶのはアスカの十八番だし。
マナ:うんうん。
レイ:そうね。どうせこれにもアスカの出番はないんだろうし。
アスカ:アンタらだってないでしょーが!
ジェイ:いやあ、そんなことはないよ。名前ぐらいは出てくんじゃない?少なくともアスカは。
マナ:そうなんですか?
ジェイ:だって、最後に出てきた謎の女の人、キョウコさんだし。
マナ:キョウコさんというと・・・葵今日子?
アスカ:うちのママよ!









新世紀エヴァンゲリオンは(c)GAINAX の作品です。


J’s Archeのジェイさんの、
センチ&エヴァ連載シリーズの第4話公開です。

しょっぱなから修羅場突入です。
しかもやぶ蛇つつきまくってるし>主人公

そしてついに登場、七瀬優にキョウコさん....

次回も修羅場はつづきそう?!

続きを速く読みたい方はジェイさんへ感想の
メールを。


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