センチメンタル☆フィーリング


 あれは、中学生のとき。
 私は、彼に出会った。
 遠い街から、この広島に来た君と。
 であったのは夏の、ある日のこと。
 夏休みが終ったら、私の学校に転校してくると、笑顔で言った君。
 けれど、結局夏が終る前に私の前を去ってしまった、幻の転校生の君。
 天文学的確率で、偶然がいくつも重なり合って起きたその出会い。
 奇跡?それとも運命?
 そんな出会いが、当然のように私の中に君への興味を生んだ。
 そして、興味は好意に変わり、やがて、私は君に恋をした。
 それが恋であったと気付いたのは、君が去った後のことだったけれど、
 でもずっと前から、どこかで気付いていた。
 君の笑顔を見つめたとき、胸の鼓動が、君に聞こえそうなくらい高鳴った。
 それが、恋。
 でも、そんなのはらしくないと、私は懸命に否定し続けた。
 だから、この想いを君に告げることができなかった。




 君が去っていってしまってから気付いた想いは、ずっとずっと変わらなかった。
 昨日、今日、明日と、時が過ぎていっても。
 君と出会ったあの日から、ずっと感じていた想い。
 君が教えてくれた不思議な気持ち。
 何もかも感じられるような、そんな感覚の中で、君だけを感じることができない。
 ただ、君にいて欲しい、そばにいたい。
 そんな気持ちをずっと、抱えて生きてきた。
 いつかきっと会えると、再会と、そしてあの時の素直な気持ちだけを信じて。




 そして、高校卒業を控えたその年、君は私に会いに来てくれた。
 それからの日々は、本当に楽しかった。
 蒸し暑かった夏のあの夜も。
 そして冷たい夜風に吹かれた、あの冬の夕暮れも。
 君がそばにいてくれれば、寒さを忘れることができた。
 灯りはじめた街の灯を見つめながら、君と出会って変わることが出来た私が、君と再会して、また変わっていっている、そんな気持ちを感じることが出来た。
 そして、あの思い出の夜。
 いつか見たあの流星雨を、もう一度見たいといった私に、君はわざわざ付き合ってくれた。
 でも、雲は晴れていたけれど、なぜか空に移る星たちは少なくて、
 やっぱり、だめなのかと思ったその時、でも奇跡は起こったんだ。
 君がいてくれたから、もう一度あの流星雨が見れた、私はそう信じてる。
 そして、その星空の下で、私は感じたんだ。
 君と同じ道を歩いていけるって。
 君を、愛していけるって。
 でも・・・
 でも・・・・・・・・・・
































 「あ、あの、ねえ、優。優さん?ちょっと、聞いてる?」
 「なんだい?」
 まだあどけない少年の面影を残した青年のそんな問いに、七瀬優は笑顔で答えた。
 「あ、あの、スピーチしてくれたのは、嬉しいんだけど、さあ。・・・結婚式の祝辞に、それはないんじゃないかと・・・」
 「そうかな?」
 「そ、そうかな、じゃなくって・・・」
 明らかに困った顔で、青年、今日の主役の一人である新郎は、そう言った。
 もっとも、困り切った彼とは対照的に、もう一方の主役である彼の新妻は、落ち着き払った表情で苦笑いを浮かべていたが。
 が、この笑みの裏側が、どうなっているかは・・・彼女だけが知っている。




 「・・・七瀬さんも、とぼけた顔して結構えげつないことするわねえ。」
 「こりゃ、新婚初夜がいきなり修羅場やな。」
 まるっきり他人事のような表情で、そう呟いた遠藤晶と森井夏穂の言葉がやけに印象的な、ある晴れた日の結婚式での出来事、でした。
 




あとがき

ジェイ:さてここで問題です、新郎は主人公君、では新婦はいったい誰だったんでしょう?
ほのか:確率は九分の一、ね。
夏穂:いやあ、三分の一やろ。
妙子:ちょっと、なんでいきなり三分の一になるのよ。
晶:だって、作者が作者だもの。綾崎若菜、山本るりか、星野明日香、この三人の誰か以外にあるわけないじゃない。
ほのか:不公平ねえ、相変わらず。
千恵:それにしても、いったいなんなんだいこの話は。
真奈美:この優さんのモノローグって・・・なんか元ネタそのまんま、ですもんねえ。
美由紀:え?元ネタがあるんですか?
えみる:あるもなにもそのまんまなんだりゅん。
ジェイ:いやだってさあ、なんかこの歌、すごく優のイメージに合うような気がしたもんで・・・
美由紀:あ、元ネタは歌なんですね。
晶:しかもセンチとは別の某超有名ギャルゲーの主題歌。
夏穂:東鳩はあかんで東鳩は。
ジェイ:いやあ、まあ、その・・・ねえ。
美由紀:東鳩って・・・おかしメーカーの東鳩、ですよねえ???
ジェイ:・・・ぼけるねえ、君も。




若菜:とそういう話はおいといて・・・あの、これって奈酢美さんのページの40000HIT記念、だったと思ったんですけど。
ジェイ:あー、そうそう、それ言うの忘れてた。40000HITおめでとうです。
明日香:なんかおざなりねえ。
るりか:で、さあ、確か奈酢美さんって妙子ちゃん属性じゃなかったでしたっけ?
ジェイ:うん、そう。
優:で、なんで私なの? るりか:そうそう。
若菜:妙子さんの出番・・・ないですよねえ?
ジェイ:いやだって・・・別にHIT記念を意識してたわけじゃなくって・・・この話を書いたちょうどその時に奈酢美さんとこが40000行ったから・・・ちょうどいいかなぁ、とか思って。
るりか:だからって、ねえ。
ジェイ:まあでもほら、新婦役を特定してないわけだし、ね。奈酢美さんは奈酢美さんで新婦役が妙ちゃんのつもりで受け取ってくれれば。
若菜:読み手側の自由にとってもらえれば、ってことですね。
明日香:ま、実際のところは私ら三人のうちの誰か、なんだろうけど。
優:でも・・・そうすると私たちたちの立場、は?
ジェイ:う、そ、それは・・・
若菜:やっぱり、不公平を生まないためにも特定しておいたほうがいいんじゃないんですか?私だと。
明日香・るりか:なんで若菜さんなのよ!








ご意見ご感想は下記まで

komatsu@yk.netlaputa.ne.jp

J’s Archeのジェイさんから、40000HIT記念にSSをいただきました。
ほんとにありがとうございます。 m(_^_)m

このスピーチは笑・・・・えないなぁ
ということで、妙ちゃんがこわいぞって、妙ちゃんだよね>お相手

まさか、
『Sentimental Graffiti 弐』の後日談とかいう落ちはなしね。

というわけで、ジェイさん、今後ともヨロシク。


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