TOTO Japan Tour 2006  

5/8(月)   国際フォーラムA


ウドー提供のセットリスト こちら



今日はBさんのおかげで、前から11列目のど真ん中という、素晴らしい席で見られた。
感謝の気持ちでいっぱいだ。

舞台には、TOTOのジャケの“TOTO”の文字を取った薄いスクリーンが、幕のように垂れ下がっていた。
オレンジと黄色のまだらで燃えるようだ。
年齢層は、例によって高め。
男性ファンだけでなく、女性ファンもいる。ひとりっきりの女性も多い。

会場内に、新作『Falling In Between』の1曲目、タイトルナンバーである“Falling In Between”のような曲が流れ、会場が次第に暗くなってきた。
もうじきだなと思っていると、不意にドラムスとピアノによるイントロの鋭い出だしが始まった。
と同時に、スクリーンがひらっと落ちてきた。
「ウォ〜〜〜ッ!!」
会場内は大興奮だ。メンバーが姿を現した。

正面に、グレー系の縞のシャツを着たスティーブ・ルカサー(ルーク)がいる。左に、ネイビーのシャツのボビー・キンボール。
その後ろは新加入のKey.白っぽいシャツのグレッグ・フィリンゲインズ。
さらに左には、ブロンドの長い髪が美しい、ツアーメンバーにサイドギター&ボーカルのトニー・スピナー。12弦のアコギもこなす。
右には、マイク・ポーカロ、その後ろが赤いTシャツにジーンズのサイモン・フィリプスだ。
だけど、デビッド・ペイチがいない。。。(悲)

背後には、直径2mくらいの丸い映像スクリーン2つが左右にあり、真ん中は目の形をした3mくらいの映像スクリーンがあった。
プレイしているメンバーを映し出す。
映像スクリーンの周りに、照明が15個ずつついていて、カラフルな色で演出していた。
(ひとつ電球が切れていたゾ!真ん中の映像スクリーンの右下)

ボビー・キンボールは結構な年齢だと思われるが、しっかりした音程で声を張り上げる。
往年のTOTOらしい“Falling In Between”で、すっかり時代は遡った。
続くは“King Of The World”私が新作の中でも好きな曲だ。ドライブ感がある。
これは、最初をグレッグが歌い、曲調が変わるとルークが歌い、サビをボビーが歌う。
その受け渡しが見事だ。
びっくりしたのが、サイモン・フィリップスのドラミング。
彼の名は、77年のジューダスの「背信の門」で初めて知った。
ヘヴィ・メタからプログレやフュージョンまでこなしてしまう幅の広さが魅力的だ。 
参加作品は こちら(2003年のものなので、デレク・シュレニアンのソロは含まれてません)

今日見てびっくりしたのは、あまりにもジェフ・ポーカロのスタイルに酷似していたことだ。
強い音を出すとき、ジェフはよく両手でスネア類を叩いていたが、サイモンはまさにそれをしていた。
音質といい、リズムといい、実にそのものだ。
彼が、ジェフ・ポーカロをリスペクトしており、彼のスタイルを踏襲することで自らのプレイを楽しんでいることが、用意に想像できた。
サイモンをしてリスペクトさせるとは。ジェフは偉大なるドラマーだったんだなぁ。

そういえば、学生時代にバイトしていた時、バンドでパーカッションをやっている人がいた。
彼に誰のドラミングが一番うまいか聞いたら、『ジェフ・ポーカロだ』と答えたのだった。
『あれっ、そうなの?軽く叩いているじゃない?』『軽く叩いているけど、テクニックはすごい』
それ以来、ジェフのドラミングを注意深く聴くようになったのだ。
そんな思い入れがあって、サイモンだけどジェフのドラムスを聴いて、すごく感動して涙が出た。


話が脱線してしまった。
MCは、ルークが担当していた。英語で話した後、急に声を低くしてダミ声で「ありがとうごぜぇ〜ます」と言う。
それだけでウケる。
ひどいのなんか、どこで教わったのか、「スケベですかぁ?」ああ、イメージが。。^^;

Make Believe”〜“Hold The Line”のメドレーは、「Do you have good times? I'll play some sold songs・・・」との紹介から始まった。
ボビーとボビーの上をいく高音でハモったトミーの声が美しい。ツアーメンバーなのがもったいない。
Hold The Lineでは大合唱だ。

Stop Loving You ”から“I Will Remember ”は、メンバーが中央から左に集まり、こじんまりした編成で座りながらの演奏だ。
サイモンのドラムセットは、バスドラ入れてもわずかに5つ。
アコギ持って、アコースティックバージョンだ。(あまりアコースティックらしくなかったけど)
Stop Loving You”は、キーが高いのでトニーが歌った。リチャード・マークスのような甘い声で、彼はなかなかうまい。
I’ll Be Over You ”でのルークの歌声に惚れ惚れする。ダミ声は使わないでくれて良かった。
♪〜I'll be over you〜 で会場に向けられたマイクにみんなで声を合わせた。
ピアノソロでは、グレッグが“通りゃんせ”を弾いてウケた。ブラナイの“”しょ、しょ、しょじょじ”といい勝負だ。
グレッグのピアノソロは、7割がクラシックで3割がジャズって感じだった。クラシックなのに洒落ている。
そして、メローさは少なく、速めのタッチと力強さとマイナー感を表現していた。
最後、“Simple Life”の一節を弾いて終わった。

さぁ普通バージョンに戻って、“Rosanna”だ。
だけど、なんかヘンだぞ。元気な曲のはずなのに、マイナー調なのだ。ボビーも合ってるのかはずしてるのかわからない歌い方だ。
どうしちゃったんだ、ロザーナ。。。
心配したら、急にメジャーコードになり、最初からRosannaが始まった。やっぱりこうじゃなくちゃ!
続く“Let It Go”はCDの方がいい。おとなしすぎるのだ。

Endless”“Isolation”は、ファギー・フレドリクセンの参加の5枚目のアルバム『Isolation』から。
ボビーにはキーが高すぎてキツそう。図らずもファギーの力量を思い知ることになった。
今にして思うと、“Endless”は名曲だった。


ヘヴィーめの知らない曲が続いた。
ルークはここでギターソロを聴かせてくれた。無機質なギターソロがなぜかエディ・バン・ヘイレン風に聴こえてくる。
メロディよりもテクニック重視だ。早弾きもいいけど、ヴィヴラートを利かせたメロディアスなのも聴かせてぇ〜〜!!
使ってるギターは、黒いもの(右の写真)と、赤いカニのはさみみたいなのと、アコギの3台。
ロゴにBと読める。どうやらBurnsというメーカーのだと思われる。
マイクもベースソロだ。彼は5弦ベース。プログラムに載ってたNight Breezeというのだろう。
(左の写真)

ギターソロが終わると、グレッグが右手を挙げ、ハイドラの終盤のフレーズを繰り返し弾きだした。
やっぱり古い曲には反応してしまう。ハイドラならなおさらだ。
そして、ドラムソロも始まった。
サイモンはダブル・バスドラを鳴らしながら、丁寧に叩き続ける。パワフルではないが、的確で確実だ。
派手さはないかもしれないし、マイク・ポートノイのようなテクニカルさもないけど、十分テクニカル。
これだけきれいに叩けて59歳とは驚きだ。

I Won’t Hold You Back”は、「This song for beautiful Japanese girl」ってことだった。
ルークは私の正面。おまけに、私の前の人や前の前の人は、バラードってことで座ってしまった。
やたっ、ルークはまさに私に向かって歌っている!そうか、そうか、私のために。。(私も歌ってましたが。。)
うっとりしながら、聴き惚れていた。ただ、決定的な間違いが。。そうです、私はGirlじゃなかったのだぁ。
それに、歌ってるのはオジさんだった。(((((((((;^▽^)
ルークのギターはいつにも増して、余韻と甘さがあって、素敵。

ボビーの苦しそうな“Girl Goodbye”で一旦おしまい。
歌の間じゅう、TOTOのアルバムに描かれていたマーク(12種類)が点滅していた。
そういや、サイモンのバスドラにもそのうちの2種類が描かれていたっけ。
(向かって左のバスドラには右から5コめの画像、右のバスドラには右から2コめの画像)




アンコールは、普通の曲って感じ。
ちょっと意外。グッバイ・エリノアなんかいいんだけどなぁ〜。

そして2回目のアンコールでは、ついに“Africa”が。
やっぱりこの曲でラストかぁ。
23年前もそうだった。
デビッド・ペイジの箇所をグレッグが忠実に歌う。デビッドもスティーブ・ポーカロもいなかったけど、キーボードはグレッグが完璧にこなしていた。
代わったメンバー。変わらない音楽性。
いまや、オリジナル・メンバーでずっと続けてきたのは、ルークだけだけど、80年代TOTOをリスペクトしている限り、TOTOはTOTOであり続ける。
80年代をひとつの財産とし、それを食い潰すことなく、過去の遺産だけで食いつなぐわけでもなく、TOTOは自然体だった。
これからも、肩に力が入ることなく、TOTOらしい洒落た音楽を続けていくだろう。
ショウは終わり、爽快感に包まれ、ちょっとの寂しさを覚えたものの、
彼らはきっと近い将来また来日するとの確証を持って、満足感の中会場を後にした。