天皇杯決勝   清水エスパルス VS セレッソ大阪

               2002年1月1日(火)  国立競技場   4万6728人


今年の対戦相手は清水エスパルス対セレッソ大阪。
エスパルスは、毎年優勝できる実力がありながら、最後の勝負どころで脆さを露呈するというか、運にも見放されてここのところ優勝から遠ざかっている。昨年は鹿島アントラーズとの決勝で、アントラーズの悪どい攻め(@フリーキックの際、相手が壁を作り始めたスキをついてすぐにキックし、得点した。A清水エスパルスの選手が倒れていたためにオフサイドにならないという利点(?)を生かし、普通なら外に蹴り出すところをホイッスルがなかったのをいいことにプレーを続行して得点した。これは審判の是非が問われる。)にやられてしまったので、今年こそは勝たせてあげたい。ファウルの少なさはリーグ1というクリーンなチームだけれど、勝ちを譲るほどクリーン(人がいい)ではないだろう。ガッツを見せてやれ〜〜!
一方セレッソは、Jリーグの前期・後期共に精彩を欠き、ダントツの最下位でJ2落ちしてしまった。でもこのままじゃイカンだろう!セレッソ!! まだ桜の時期には早いが、ここでひと花咲かせておくのだぁ〜〜!!J1だった意地を見せてほしいぞっっ!!

今年はバックスタンドのほぼ中央だった。グラウンドがよく見渡せる。
国歌斉唱は氷川きよし!!
羽織袴がよく似合う。彼の名前がアナウンスされると、会場がうわぁ〜〜と沸いた。さすが旬の人間はオーラが違う!!
しっかしこのきよしクン、いきなり音をはずしてしまったのだぁ〜〜。“お〜い、メロディーが違うぞ〜!”とオジさんのヤジが飛ぶ。けれどさすがのオーラの持ち主きよしクン、その後すっかり持ち直して、伸ばすところは伸ばすという、周りとの合唱がちっとも合わないことに全く気を留めず、すっかりごーいんぐまいうぇーで自分の世界に浸りきり、、見事に完璧に情感や魂を込め、、余韻を残して歌いきりました。
いやぁ〜、彼の伸ばす部分の声は美しいですわ。うっとりしてしまいましたわ。しかも力いっぱい歌いきって、その後の音程もしっかりしていて、わが国歌がこんなにいいものだと思いませんでした。
ああ、いけないいけない、音楽のことだとつい書いてしまう。今日はサッカーだってのに。^^;


【前半】
というわけで、決勝戦です。
今日の注目選手は二人います。
エスパルスでは三都主(アレックス)で、セレッソではモリシ(森嶋)です。
三都主は、ボールを持った時の動きが速いし、パワーと技がある。一瞬の速さをこの目で確かめたいのです。
モリシは、なんといっても機動力。どこに出没するかわからない、神出鬼没の動きを見たい。テレビではわからないけれど、スタジアムならモリシだけを追えば、私でもわかるでしょう。
(写真は攻めるエスパルス)

さぁ、試合が始まりました。サッカーのキックオフは、いつでもいつの間にか始まっています。この日もそうでした。
立ち上がりはセレッソが優勢で、何度もエスパゴール前まで行きました。けれどいかんせん決定力がない。いい所まで行っておきながら、フィニッシュがふかしたりミートしなかったりするのです。お〜い、モリシ、今日は不調の日なのかい?
ボールはモリシに繋がるのですが、マークがキツいのか、最後で外してしまうシーンばかりです。そっか、この決定力のなさでJ2へ落ちたのかぁ〜。。。って、納得している場合じゃない〜〜。^^;
でも、試合は終始セレッソが押しているし、このまま進めばセレッソが勝つのではというペースです。なんでこんなにボールが繋がるのにJ2へ行かにゃ〜ならんのだぁ〜?知っている選手は3人くらいなのですが、よく組織されています。ただ、こんなに動き回っていて、最後まで体力が持つのだろうか?>特にモリシ

両チームの特徴は、セレッソが短いパスでつなぐ南米型です。エスパルスは、短いパスもするけれど、パスが繋がらないと前線からバックにいったん戻し、そこからハイボールを蹴り込んで行くやや欧米型です。フォワードにバロンという長身選手がいるのでできる戦法です。

それにしても、キーとなる選手がいるチームはすごいです。相手のマークに会って潰されるのを懸念したのか、最初のうちは三都主は消えていました。けれど、ゴール前ななめ左でボールを持つと、3人のマークに会いながらフェイントで巧みにかわし、最後はゴール左上のスミにシュート!
ゴーーーール!!
試合開始20分のことです。
ゴール前、キーパーと反対側にDFがきちんとついていたのですが、振り上げた足のそのまた上、いわば足の届かない所にシュートしたのです。なんて素晴らしいコース!!一瞬の速さといったらありません。
これによって、セレッソのサポーターは鳴りを潜め、おとなしくなってしまいました。がぜん盛り上がるエスパ応援席!!

その後のボールの支配は圧倒的にエスパルスになりました。
沢登のちょこまか動きがさえています。彼は、普通の人よりも歩幅が狭いのか、やけに重心が低く足の運びが速いのです。私はちょこまかクンと命名しました。(^^) その沢登は、司令塔の位置から右へ走りこむことが多かったのです。そしてそこから左の三都主へサイドチェンジすると何度もチャンスが生まれました。
(写真はフリーキックを蹴りに行く三都主)

エスパルスは、バロンのクロスバー直撃という、惜しいチャンスがあったりしましたが、追加点を奪うことなく、前半を終えました。セレッソにとっては、1点で抑えたので、まぁまぁだったんではないでしょうか。


【後半】
後半が始まりました。後半もエスパペースです。
セレッソはDFラインでボールに食いついて奪うものの、その後のパスの精度が依然として低く、前線に出す前にパスカットされてしまうのです。セレッソみたいにコースを読んだり食らいついてカットされるのではなく、エスパルスの選手のところに出してしまうといった、明らかなパスミスです。
試合は膠着状態でしたが、1点を加えている分、どー考えてもエスパルス有利です。
セレッソにも決定的な場面があるのですが、相変わらずの決定力不足です。

後半14分、ここでセレッソ西村監督が勝負をかけてきました。大久保と岡山の2枚替えです。大久保は昨年3冠を達成した国見高校を引っ張ってきたバリバリ期待のルーキーです。岡山は、昨年までマリノスに在籍し、FWとDFをこなしていました。めっちゃ陽気な選手で、マリノス優勝の時には主役になっていました。
なんだかわかんないけれど、名前のわかる選手達が入ってきたぞぉ〜〜!よぉ〜し、いけそうだっ!!
岡山は長身の選手です。確か182cm。セレッソはその岡山の頭をターゲットにしだしました。足元に転がすボールではなく、ややハイボールにし、岡山がヘッドでボールを落としたところに大久保やモリシが走りこんでつなぐのです。
この効果はてきめんで、前線でボールをキープできるようになってきました。
(写真は、FKを蹴る三都主。文面とは何も関係がありません。^^;)

が、点を取ったのはエスパルスです。
68分、ちょこまかクンがコーナーキックを右から蹴りこみました。ボールはゴールから逃げるような緩やかなカーブを描いていき、それに森岡キャプテンが走りこんでヘッドにジャストミートで捕らえ、そのままゴール左に突き刺さりました。
ゴォォォォォ〜〜ル!!
ダメを押す2点目です。
この時点で残り22分。これで勝負あったかに思えました。

が、ここで終わらなかったのだぁ。脅威のセレッソ桜軍団!のせるとコワい!
2点目を入れられた時こそは意気消沈してもうダメかと思いましたが、79分、原からのボールを岡山がヘッドでつなぎ、最後にパッと現れたモリシがシュート!!
ゴォォォォ〜〜〜〜〜〜〜ルッ!!
おおっ、やったじゃん、セレッソ!!前半から何度も見せている、細かく繋いで戦法が、5度目くらいにしてようやくゴール右にボールが吸い込まれたのです。
こうなると、すっかりセレッソペースです。セレッソはどこに元気が隠れていたのかと思えるくらい走る走る。特にモリシはまだまだトップスピードでボールをもらいにきます。自分でキックしたあとに、相手の裏に出るようにすばやく走りこむのです。エスパのDFはこのモリシの動きに攪乱されています。
攻撃の起点は左DFの鈴木。ここからロングボールをクロスにあげ、岡山に供給します。

そうこうして、左から尹晶煥(ユン・ジョン・ファン)がきれいにシュートし、それをGK黒河が右手ではじきました。が、ボールはラインを割っていない。それに大久保が追いつきましたが、エスパにとっては不運なことに、転がっている黒河の手に蹴つまづいて倒れてしまいました。故意ではないけれど、ファウルと取られてもしょーがないタイミング。さぁ判定はどうなるか?
みんなの期待どおり、判定はファウル。よってPK!!
観客席では、“ここは尹晶煥でしょ。”“尹晶煥だな。”と口々にしゃべっている。そーなのか。
かくして周りの予想通りに尹晶煥がキッカー!観客の期待を一身に集め、期待通りに彼はきっちりと左スミにPKを決めました。(89分)
ゴォォォォ〜〜〜〜ル!!
おお〜〜っ、スゴイぞっ!!こんな土壇場に来て、なんてラッキーなんだ。いや、勝負強いんだ。
私はめっちゃ感動してうるうるしてしまいました。
ああっ、うれしい。内容の濃い素晴らしい試合なのに、まだまだ楽しめる。
がんばれ〜、セレッソ!そのまま逆転しちゃえ!!ここまで追いついたのに、負けるんじゃないのよ!
観客席はエスパサポーター以外はセレッソびいきです。最後の最後にきているのに、まるで試合開始直後のように気合が入って動きがとにかくいいっ!その魂の入ったプレーに感動しないワケありません。
が、時間は迫ります。ここで後半終了。


延長前半】
延長戦は、ハーフタイムのように時間を取ることなく、すぐに始まります。
その間、やる気まんまんなのはもちろんセレッソ側。ぱっと円陣を組みます。ホイッスルが鳴ってからもさらに円陣を組みます。気合入っているなぁ〜。私は勝たせてあげたいよっ、キミ達に。
反対にエスパルスは、ああ〜っ、延長戦かよ〜。やだなぁ〜、あのまま逃げ切れていたらなぁ〜。。というのが見え見え。だらりんこんと動いています。大丈夫なのか??
そうは言ってもそこはプロ。試合が始まっちゃえば、そんなこと関係ありません。目の前にぶらさがっている勝利にどちらが辿り着くことができるか。オトコの意地がぶつかり合います。
後半にはまったく影を潜めていたバロンがボールを持ちます。戸田もいいフォローをしています。エスパの動きが盛り返してきました。後半の流れではありません。
試合はエスパルスが優勢に進めています。でもセレッソも負けていません。
が、試合に決着をつけたのは、やはり三都主だったのです。延長前半7分、三都主がボールを持ち込んでバロンへアシスト、それをバロンがシュートし、キーパーがはじいたボールを押し込んだのです。
ゴォォ〜ル!
割とあっけない幕切れ。
勝利はやっぱりエスパルスかぁ。。。セレッソは残念だったわぁ。。

でも今日の試合はめっちゃおもしろかった!セレッソの思わぬ頑張りが、試合を締めたと思います。
試合をあきらめずに、ガッツとチームプレーで進ませれば、このようないい試合ができるのを再確認できました。
ああ〜、ホントにおもしろかったわぁ〜。選手のひとりひとりが、労力を惜しまずにプレーすれば、このような観客が大喜びする試合ができるのよ!Jリーグの観客動員数が減少したとかしないとか言っているけれど、こういう試合を繰り返していれば、必ず観客が増えてくるはずだっ!!今後もこのような内容のある試合を望みたい。

折りしも2002年W杯開催の年の初ゲーム!!
こりゃ、今年は幸先がいいわぁ〜♪



      清水エスパルス  2−0  セレッソ大阪
      20分 三都主                     79分 森嶋
        68分 森岡                       89分 尹晶煥
        97分 バロン