BLOGに書き溜めたレビュー その3





DivinefireのHero

スウェーデンのメロディック・ハード、divinefireのセカンド。
デビューアルバムから1年も経たずしての新作だ。
サウンドの崇高さと勢いがバージョン・アップしている。

おお〜っ、のっけからやってくれました。大仰な壮大さ。最初の1音から「中世のバトル」の舞台に突き出されたようです。Rhapsodyと同じ。
クワイアでこってりと装飾され、スピード感溢れるリズム隊と、共に地獄まで落ちましょうぜ。

単なるメロスピに留まらず、シンセによるオーケストレーションで大げさなほど深みを感じさせる。
クドくもなっているが、私には心地いい。

中心人物のJani Stefanovicはソングライティングはもちろん、ドラムス、ギター、キーボード、プログラミングを手がける。多彩だ。
NarniaのボーカリストChristian Rivelとのコラボレイト。
サウンドは静も取り入れ、ギターソロもふんだんにあって豪華だ。早弾きも見事。
Christianの歌はかなりうまい。力を抜いた高音は女性っぽく、Rhapsodyのファビオ・リローネを思わせる。

ただ、余りにもスピード・チューンばかりなのが残念。たまには変化球を投げてこいや!
とはいえ、高水準だ。
こってり系がお好きなら買って損はない。







ACTのLast Epic

スウェーデンのメロディック・ハード、A.C.Tの3作目。
メロディック・ハードでもあり、POPでもあり、プログレがかってもいる。

JellyfishのSpilt Milkを思わせる。
ビートルズやELOの流れを汲みながら、Dream Theaterに通じるテクニカルさが存在しているのだ。
声が高く甘く軽いし、歌メロがPOPで耳なじみがいい。
ポルノグラフィティのボーカルをもうちょっと軽くした感じかな。
懐かしさも感じられ、大変心地よく聴ける。

が、A.C.Tに騙されてはいけない!
ギターはしっかりと早弾きできるし、曲の構成だって多彩で変リズムになっている。
次から次へと繰り出されるきらめく音に身を浸し、じっくりと聴ける深さも持ち合わせているのだ。

が、ことA.C.Tに限っては、むずかしさを持ち出す前に、流れる透明感溢れる心地良いメロディに聴き入ってしまっていいと思う。
かなり癒されるよ♪







Nocturnal RitesのGrand Illusion

スウェーデンのメロディック・パワー・メタルのNocturnal Ritesの7作目。
緊張感と表現力が増して素晴らしい。

このアルバムを買うのは、実は躊躇していた。
というのは、前々作の2002年発表のShadowlandがあまり好みでなかったからだ。
メロディはともかく、リフばっかりでギターソロがないように思えた。
分厚い単調なサウンドに飽きてしまっていたのだ。

それが今作では、分厚さが薄れ、楽器の持つ音のひとつひとつが浮き彫りにされ、ピュアに研ぎ澄まされていた。

ボン・ジョビのようなJonny Lindkvistのボーカルは迫力がある。あくまでもハード・ロック路線を突っ走るのがいい。
ほど良い荘厳さと、印象的な歌メロ。
各パートにスポットライトを当てている作品作りは正解!!
Nils Norbergのクラシカルなギターフレーズは強力だ。
メロディ自体にも、単調にならずに変化をつけているのがいい。

それでいて、6曲目のCuts Like A Knifeのような、芝居がかったKamelotのような大仰な曲もあり(イェンス・ヨハンソン他がゲスト)次に何が飛び出すか楽しみだ。
(Black Haloもイェンスがキーボードだったから、似るのかも)

あっ、Cuts Like A Knifeって、ブライアン・アダムスにもあったよね♪







RusmusのHide From The Sun

一聴した瞬間、Rusmusだとわかる。
哀愁漂うボーカルと、ミドルテンポの作品、フックの多い曲作りは売れた前作Dead Lettersそのまんまだ。

フィンランドのThe Rusmusはメロディック・ハードではなく、単なるハードロックという位置付けだろう。
ドラムスやベースは軽め、重低音のリフはないが、場面転換の多彩さや曲調の変化の多さはメロディック・ハードに劣らない。
メタルメタルしていない分、聴く人を選ばない。

5曲目のLast Generationは、Lauri Ylonenはスティングの声にも似て、スティングが好きな人は魅了されるだろう。
8曲目のSail Awayは、アコギの前奏に乗って切ない叫びが響く。
最近では珍しく、聴いた瞬間好きになった曲だ。サビのコード進行がKamelotのDon't You Cryに似ているせいだろうか?
シンフォニックな間奏がさらに余韻を持たせ、泣きたくなる。

メロディック・ハードのこってりさが続くと、The Rusmusの軽さが心に沁みる。
決して神経を逆なでせず、しっとりと覆うように満たしてくれる。
また、哀愁があるのとミドルテンポなのは共通しているのに、はっとするフレーズを散りばめているため、飽きさせない。アコギの演出もいいね。

心を真更にするのに最適だ。







Rainbowのファースト

Rainbowのファーストは、Ritchie Blackmore's Rainbowが正式名だろう。
だけど、ファーストとしか呼べない。
セカンドのRisingは本館に書いたので、今夜はファーストにしとこう。

リッチー大先生がDeep Purpleを脱退して75年に結成。
同じ中世に興味を持つロニーとどうしても組みたかったのだ。
ロニーはエネルギッシュだが、「そんなにいいか?」程度。
セカンドでの大躍進を考えると、まだくすぶっている。オーラもない。
コージー加入前なので、ドラムスがしょぼい。悲しいほどだ。

が、そんなものは関係ない。
聴いた当初は、Purpleの華やかさに比して“暗さ”ばかり感じられたが、Blackmore's nightを経た今聴いてみると、2曲目のSelf Portrait、Snake Charmerのギターソロはリッチーの趣味のど真ん中だと言える。(実際ブラナイはこのSelf Portraitをライブで歌っている)
リッチーが自分の道を切り開く原点となっている。

The Temple Of The Kingの早弾きでないギターソロ、アコギとの融合、歌メロの叙情感は、ブラナイ以外では聴けないものだ。
当時は風変わりな曲だと思ったが、今ではファーストのハイライトだと思っている。
エレキギターとアコギの二つのギターソロで、リッチーのギタリストとしての感性と才能を余すことなく伝えている。
音と音との間・空間が絶品だ。音の滑らかさにうっとりする。
これはもう、感じてもらうしかないだろう。

その後、Rainbowは売れ線を捜し求めてコマーシャルになっていったことを考えると、ファーストこそがリッチーのやりたかったことと言える。
そして、リスナーとリッチーの求めるものが見事に一体化したのがセカンドなのだ!!

ストラトキャスターをお城に模したジャケは、30cmのLPサイズで見なければならない。
ロマンティックさと遊び心、リッチーの野望など、さまざまなものが感じられて吸い込まれるようだったと記憶している。
(友人からの借り物だったので、手元にはない。ふぇ〜〜ん!!)







HelloweenのKeeper Of The Seven Keys - The Legacy

邦題は「守護神伝-新章-」

似たようなタイトルばっかりで、あまり区別がつきましぇ〜〜ん。
今までカボチャは3枚しか聴いてないので、流れ等は置いといて。。

Helloweenは、メロディック・ハードの基礎を作ったとされている。
ジャーメン・メタルらしく、ツインギターだ。
元気なスピード・チューンが多いと思っていたが、“新章”は陰の要素もある。

1曲目の『The King For A 1000 Years』は大作で13:54ある。
起伏に富み、陰と陽が見事に表現され、大作ならではの冗長さは感じさせない。
2曲目の『The Invisible Man』はGerstner作で、Helloweenの持つキャッチーさと親しみやすさが表現されている。

WaikathとGerstnerのツインギターは強力で、リフといい、ギターソロといい、堂に入っている。風格がある。
メロディ重視ではなく、テクニック重視でもない。バランス重視ってところか。
リヴァーヴ感のあるギターとマイルドなギターの対比が楽しい。

アンディ・デリスのボーカルは、シャウトもきれいに出ており、安定感がある。
声がファズがかっているので好みではないが。。

守護神伝“新章”という割に、以前の作品からの影響はさほど感じられない。
だからこそ“新章”なのだろうか。
勢いを保ちながらも、変化を持たせ、作品の質を高めている。
私は10分を超える2曲の大作が好きだったりする。
プログレがかっていて、変化に富んでいるよん♪

ただ、Come Aliveの一節が“マイアヒ〜、マイアハ〜”に聴こえてくるのをどうにかしてくれぇぇ〜〜!!






Renaissanceの四季

オリジナルタイトルは『A Song For All Seasons』
プログレにクラシックをふんだんに取り入れた、ルネッサンスの6作目である。
正確には9作目だが、私はアニー・ハズラムが加入してからのルネッサンスだけ聴くので、6作目だよ〜〜ん♪

秋―収穫の時―になると、とにかくルネッサンスが聴きたくなる。
(以前HeartのLittle Queenにも書いたが、ルネッサンスも然り)
それも、スローな場面はアニーの声が隅々まで聴こえるようにボリュームを上げたくなる。
アニーの声は可憐で妖艶できらめきがあって、問答無用でいい!!
アニーの声に浸れる幸せ。至福の時。
長いこと、ずっとずっとアニーの声が好きだったなと、学生時代を思い出し、涙する。
自分が変わっても、アニーの声が私を励ますのは変わらない。

『四季』は、よりクラシックがかっていて、以前はあまり好きではなかったが、シンフォロックをたっぷり聴くようになった今は、より自然に聴ける。
ジョン・タウトのピアノが減って、シンセによるオーケストレーションが増えたが、作品に厚みと奥行きが出てむしろ現代調だと思う。
アニーの声じゃないからとすっ飛ばしていたジョン・キャンプの「She Is Love」もしっとりとしたいい作品だったのね。実にムーディーだ。

『四季』で特筆する点は、小作品が充実していることだ。
めざめ(Opening Out)、北の輝き(Northern Lights)はルネッサンスに初めて触れる人に自信を持っておススメできる。
アニーの声の美しさと伸び、曲の展開、キャッチーさ、コンパクトさ、どれを取っても素晴らしい。
もちろん、これはアニーの声だけでなく、バックの安定した演奏があるからだ。

叙情的でフォークロア調な部分、ピアノやアコギの時空を越えた響きが薄れたのが残念ではあるが、ゴージャスになっている。
その後のアメリカン・ハードプログレの隆興を思うと、ずっとこの路線で行けば生き残ったかも。。と惜しまれてならない。