BLOGに書き溜めたレビュー その3
Nocturnal RitesのGrand Illusion
スウェーデンのメロディック・パワー・メタルのNocturnal Ritesの7作目。
緊張感と表現力が増して素晴らしい。
このアルバムを買うのは、実は躊躇していた。
というのは、前々作の2002年発表のShadowlandがあまり好みでなかったからだ。
メロディはともかく、リフばっかりでギターソロがないように思えた。
分厚い単調なサウンドに飽きてしまっていたのだ。
それが今作では、分厚さが薄れ、楽器の持つ音のひとつひとつが浮き彫りにされ、ピュアに研ぎ澄まされていた。
ボン・ジョビのようなJonny Lindkvistのボーカルは迫力がある。あくまでもハード・ロック路線を突っ走るのがいい。
ほど良い荘厳さと、印象的な歌メロ。
各パートにスポットライトを当てている作品作りは正解!!
Nils Norbergのクラシカルなギターフレーズは強力だ。
メロディ自体にも、単調にならずに変化をつけているのがいい。
それでいて、6曲目のCuts Like A Knifeのような、芝居がかったKamelotのような大仰な曲もあり(イェンス・ヨハンソン他がゲスト)次に何が飛び出すか楽しみだ。
(Black Haloもイェンスがキーボードだったから、似るのかも)
あっ、Cuts Like A Knifeって、ブライアン・アダムスにもあったよね♪
RusmusのHide From The Sun
一聴した瞬間、Rusmusだとわかる。
哀愁漂うボーカルと、ミドルテンポの作品、フックの多い曲作りは売れた前作Dead Lettersそのまんまだ。
フィンランドのThe Rusmusはメロディック・ハードではなく、単なるハードロックという位置付けだろう。
ドラムスやベースは軽め、重低音のリフはないが、場面転換の多彩さや曲調の変化の多さはメロディック・ハードに劣らない。
メタルメタルしていない分、聴く人を選ばない。
5曲目のLast Generationは、Lauri Ylonenはスティングの声にも似て、スティングが好きな人は魅了されるだろう。
8曲目のSail Awayは、アコギの前奏に乗って切ない叫びが響く。
最近では珍しく、聴いた瞬間好きになった曲だ。サビのコード進行がKamelotのDon't You Cryに似ているせいだろうか?
シンフォニックな間奏がさらに余韻を持たせ、泣きたくなる。
メロディック・ハードのこってりさが続くと、The Rusmusの軽さが心に沁みる。
決して神経を逆なでせず、しっとりと覆うように満たしてくれる。
また、哀愁があるのとミドルテンポなのは共通しているのに、はっとするフレーズを散りばめているため、飽きさせない。アコギの演出もいいね。
心を真更にするのに最適だ。
Rainbowのファースト
Rainbowのファーストは、Ritchie Blackmore's Rainbowが正式名だろう。
だけど、ファーストとしか呼べない。
セカンドのRisingは本館に書いたので、今夜はファーストにしとこう。
リッチー大先生がDeep Purpleを脱退して75年に結成。
同じ中世に興味を持つロニーとどうしても組みたかったのだ。
ロニーはエネルギッシュだが、「そんなにいいか?」程度。
セカンドでの大躍進を考えると、まだくすぶっている。オーラもない。
コージー加入前なので、ドラムスがしょぼい。悲しいほどだ。
が、そんなものは関係ない。
聴いた当初は、Purpleの華やかさに比して“暗さ”ばかり感じられたが、Blackmore's nightを経た今聴いてみると、2曲目のSelf Portrait、Snake Charmerのギターソロはリッチーの趣味のど真ん中だと言える。(実際ブラナイはこのSelf Portraitをライブで歌っている)
リッチーが自分の道を切り開く原点となっている。
The Temple Of The Kingの早弾きでないギターソロ、アコギとの融合、歌メロの叙情感は、ブラナイ以外では聴けないものだ。
当時は風変わりな曲だと思ったが、今ではファーストのハイライトだと思っている。
エレキギターとアコギの二つのギターソロで、リッチーのギタリストとしての感性と才能を余すことなく伝えている。
音と音との間・空間が絶品だ。音の滑らかさにうっとりする。
これはもう、感じてもらうしかないだろう。
その後、Rainbowは売れ線を捜し求めてコマーシャルになっていったことを考えると、ファーストこそがリッチーのやりたかったことと言える。
そして、リスナーとリッチーの求めるものが見事に一体化したのがセカンドなのだ!!
ストラトキャスターをお城に模したジャケは、30cmのLPサイズで見なければならない。
ロマンティックさと遊び心、リッチーの野望など、さまざまなものが感じられて吸い込まれるようだったと記憶している。
(友人からの借り物だったので、手元にはない。ふぇ〜〜ん!!)