BLOGに書き溜めたレビュー その2
HeartのLittle Queen
美人姉妹の誉れ高いアンとナンシー率いるHeartが、1976年にリリースしたセカンドアルバム。
1曲目のバラクーダが有名で、私もこの曲で彼女たちを知った。
秋の特に収穫期になると聴きたくなる。
ジャケットの、中世時期の森に住みながら移動する民族を模したメンバーが、アメリカの収穫祭とかぶるのかも知れない。
それと、Love Alive、Sylvan Song、Dream Of Archerの、アコースティック・ギターを使った民俗音楽のようなサウンドが、フェアを思わせる。
上記の3曲を初めて聴いた時、なぜか懐かしいような、胸をかきむしられる思いがした。原体験にあるのかも知れない。
美しくて静かなアコギサウンドがあるかと思うと、アップテンポでZeppelinの影響をもろに受けたメタル・ナンバーがある。
この静と動のバランスが非常に良く、その後の私の音楽志向を決定づけた。
幻想的で儚げでパワフルである。
曲にバラつきがあるが、アコギナンバーは素晴らしい。
アンのボーカルは、体と同じでパワフルなんだけどその後に比べるとまだ細い。
ボーナストラックの「天国への階段」(ライブ)は、プラントに勝るとも劣らないシャウトするハイトーンヴォイスが聴ける。ちょっと入れ込み過ぎだが。
Last TribeのThe Uncrowned
スウェーデンのメロディック・ハード、Last Tribeのサード・アルバム。
ギタリストは、スウェーデンでは人気バンドであるミッドナイト・サンのマグナス・カールソン。
ミッドナイト・サンでは、ネオクラシカルもするが、総じてPOPで親しみやすい曲を作っている。
が、このLast Tribeでは、メロディー重視のメタルサウンドをやっている。
曲がキャッチーで乗りやすく、ギターソロもたっぷりとっていて、とにかく聴きやすい。
リフのカッコ良さや、ボーカリストがサビを歌う場面にかぶせてギターが軽くハモってくるのなんか、ゾクゾクする。
テクニカルなのに、これ見よがしに弾くのではない。リスナーを置いてきぼりにしないので、非常に心地よく聴ける。
メロディラインがまず最初にあり、哀愁や泣きがところどころに混じる。
サウンドもバラエティに富み、フックもあるので、1曲1曲が印象に残る。
ボーカルの声質は、パブロクルーズみたい。(わかりにくい説明だ)
できればもっと澄んだ声質がいいが、これでもいい。
哀愁がありながら、意外にもカラッとしている。
メヴィメタが苦手な人が入門編として入るには最適だろう。
点数をつけるとしたら、96点。
SentencedのThe Funeral Album
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの7作目。
そしてこれがラストアルバムである。
彼らは今絶頂期にある。その絶頂期に解散するのが彼らの美学だそうだ。
ラストアルバムという理由で、葬儀アルバムというタイトルにした。
メンバーも撮影にあたり、葬儀の格好をして、棺を担いだ。
サウンドは、ヘヴィーなのだが、それほど音を密にしないので軽さもある。
歌メロがはっきりしているし、哀愁ギターが広がってメロディアスだ。
ボーカルが野太い声で、ちょっと残念。細い声ならお気に入りになろう。
とはいえ、スピードに頼らず、サウンドだけで勝負した楽曲志向は素晴らしい。
静寂や荒野を思わせるもの悲しさは美しい。
アルペジオとマイナー調のギターソロが胸に染み渡る。
高度な作品を生み出してきたSentencedの解散が惜しまれてならない。