BLOGに書き溜めたレビュー
Luca TurilliのKing Of The Twilight
Rhapsodyのギタリスト、ルカ・トゥリッリが99年にリリースしたソロ第1弾。
ボーカリストはDionysusのオラフ・ヘイヤー。
イントロからアルバムに入るのや、2曲目は必ずスピード・チューンなことや、壮大でクラシカルな作品に仕立て上げている点やら、すべてにおいてRhapsodyのようだ。
そういや、プロデュースもサシャ・ピート&ミロ。
Rhapsodyのソングライティングのほとんどを担うルカとサシャ&ミコでは、Rhapsodyと違う作品を作れというのが無理だというものだ。
本作はセカンドのシンフォニー・オブ・エンチャンテッド・ランズとサードのドーン・オブ・ヴィクトリーの間に製作されているので、Rhapsodyの初期によく見られる、トラッド的なサウンドが聴かれる。
が、クワイアやオーケストレーションを豊富に取り入れ、そこに力強さを混ぜている。よりヘヴィーなRockになっている。
しかも、Lord Of The Winter Snowのようにシンプルな曲さえあり、かえって聴きやすいかも知れない。
とはいえ、ルカのソロだから普通にシンプルはあり得ない。
オラフ・ヘイヤーは上手なボーカリストだ。
バラードのPrincess Aurora(オーロラ姫?)では、女性のような声を出し、匂い立つような気品がある。歌をしっかり勉強してきた人なのだろう。
ヘヴィーなナンバーだと、しっかりと力強い。
ファビオ・リローネほどの叙情性はないが、感情移入は同程度だし、高音にも強いので安心して聴ける。
おもしろいのは、サシャ・ピートがベース、ミロがキーボードを弾いていることだ。
専門はミュージシャンだから何てことないのだが、Rhapsodyのアルバムを手がけているうちに、ルカと意気投合してアルバムを作ったようにどうも思えてしまう。
大曲はラストの1曲のみに抑え、あとはコンパクトにまとめられている。
メロディック・ハードにトラッド志向を持たせたい人にどうぞ。
Space OdysseyのEmbrance Of Galaxy
スウェーデンの鍵盤魔人、リチャード・アンダーソンが中心のSpace OdysseyのファーストアルバムがEmbrace The Galaxyだ。
彼は同郷のイングウェイ・マルムスティーンを崇拝している。
インギーがギターで弾くところをキーボードで弾いてしまうのだ。
が、Embrace The Galaxyはインギーを超えたと言ってもいい、とてつもなく素晴らしいアルバムだ。
それは、ワザリング・ハイツやアストラル・ドアーズにも在籍しているボーカルスト、パトリック・ヨハンソンの歌の素晴らしさが一役買っている。
高音がロニー・ジェイムズ・ディオなのだ。
力強くよく伸びる。もちろんガッツがあり、迫力もある。
ロニーのような歌い方ができるボーカリストなんてそうそういない。
バラードはやさしく包み込むようで、歌い分けができる。
ちなみに、リチャードのTime Requiemの来日公演の幕が上がる前は、ずっと1曲目のDespaie And Painが流れていた。Dioの曲かと思ってしまいましたぁ。
ギターのマグナス・ニルソンはかなりテクニカルだ。
ネオクラシカルど真ん中の、メロディアスな早弾きをする。
自由奔放にさまざまな表情を見せるので聴き飽きない。
これらの楽曲のコンポーザーがリチャード・アンダーソンなのである。
よくパクリストと言われるが、インギーやシンフォニーXのいい面を取り入れてより高度な楽曲に仕立て上げていると考えれば、悪評なんて気にならない。
静と動の使い分けにうっとりする。
もちろん、キーボードソロは多いが、Time Requiemと違ってマグナスとバトルを繰り広げるように交互に弾いているので、スリリングである。
とにかくテクニカルで、変リズム多用だが、メロディラインがきちんとあるし、パトリックの声質もあって、この手のサウンドにしてはキャッチーである。
後半にあるスローなインストルメンタルナンバーが美しく、内容凝縮で買って損はない。絶対にない。
クラシックも聴けるHM/HR好きには、強力オススメ!!
私の2003年のベストアルバムなのさっ。
JourneyのGenerations
アメリカン・ハード・プログレを長年に渡り引っ張ってきたベテランバンドが8月に出した新作。
9作目になるのだろうか。
80年前後に「Escape」と「Frontiers」で大ヒットを飛ばした。
向かうところ敵なしだった。
学生だった私はライブを見にいったものだ。
あれから25年も経つとは。
けれど、Journeyのサウンドは何ら変わらない。
ボーカルがスティーブ・ペリーからスティーブ・オウジェリーに変わったという大変化はあったにもかかわらずだ。
歌メロを主体とした、キャッチーで親しみやすいメロディー、ニール・ショーンの泣きがかったギター、ジョナサン・ケインの流麗なピアノ。
懐かしさに胸が掻きむしられそうだ。もう娘がその頃の私の年代になってしまったというのに。。
哀愁を帯びたバラードが秀逸で、若かりし頃の記憶が浮かんでは消えていく。
流れるようなギターが健在なのがうれしい。
洗練された美しさと泥臭さの両方を兼ね揃えている。
どう聴いてもアメリカのバンドだ。
ヘヴィネスは薄れているが、その分センスが良くなっている。
粒揃いの全14曲。じっくり深く聴くのもいいし、ゆったり聴いて心地良くなるのもいい。
スティーブ・オウジェリーは、前作は栗田貫一がルパンの声優をこなしたように、どうしても代役の域に留まっていたが、今作は堂々たるものだ。
自分が中心であることをはっきりを主張している。
「Knocking That You Love Me」の力強さは往年のスティーブ・ペリーに負けていない。
他のメンバーのボーカルもそれぞれに味わいがあるが、“風邪をひいたスティーブ”“起き抜けで不調なスティーブ”のように思えてしまって(スマン)見劣り(聴き劣り?)を感じてしまうのだ。
何でこんなにスティーブ以外の歌を増やしたかな??
そうか!!デビュー30周年だっ!!!
次回来日したらゼヒゼヒ見に行きたいな♪
Royal HuntのPaper Blood
05年6月発表のRoyal HuntのPaper Bloodを聴いてみた。
ジョン・ウェストが喉頭ガンから復帰した作品という。
そういや、ちょいとパワー不足か。
メロディ・メイカーとして非凡なものを感じる。スケールが大きいのだ。
必要以上に重低音がなく、キーボードによって音の広がりを作り出していて、かわらずのRoyal Huntワールドを繰り広げている。
前作のEyeWitnessよりもプログレがかって私は好きだ。
キーボードのアンドレ・アンダーソンのソロが多いように思う。
クラシックからの影響を随所に盛り込み、作風に奥行きをもたらしている。特に3曲目のMemory Laneだ。格調と気品がある。
ギターもキーボードに比べると控え目ながらも、軽快にリフを弾いている。
Sk983でのギターソロは早弾きで明るめで素晴らしい。その後のアンドレのキーボードソロに食われはするが、ただならぬギタリストなのがわかる。
ちょっとこぎれいにまとまりすぎている感がしないでもない。
すべてが想定内なのだ。
期待は裏切らないが、もうちょっとワクをはみ出してほしいというのは欲目だろうか。
点をつけるとすれば、86点。 -->
ZonoのZonologyU
ZenoのZenologyUは、Zenoの未発表曲を収録したアルバムだ。
Zenoは1985〜1989と活動していた。
そんなこともあって、サウンドは80年代のハードロックやPOPからの影響が窺える。
シンセ音多用で、アメリカン・ロックにあるような、爽やかなコーラスワーク。
楽曲がとてもいい。コンパクトでいてよく練られている。
サビになると一段とテンションが上がり、感動的である。
ボーカルが高音でパワフルだ。
たとえると、スターシップのミッキー・トーマス。
Zenoのギターは、それほどは全面的には出ていない。楽曲の良さを引き出すために、ギターソロは短く、早弾きはしない。
が、メロディラインがきれいなので、それでいいという説得力がある。
ウリ・ロートの弟なら、さぞかしテクニカルなギターを弾くかと思ったが、素直にバンドの一員として落ち着いているようだ。
ギタリストとして優れているが、それ以上に優れたコンポーザーである。
アレンジの仕方に80年代という時代を感じさせるが、楽曲が素晴らしいので、時代を超越した絶対的な存在感がある。
各世代に幅広く聴いてもらいたい作品だ。
-->