Billy Joel
2006.11.30 東京ドーム
【セットリスト】
1. 怒れる若者/Angry Young Man
*album『ニューヨーク物語/Turnstiles』('76)
2. マイ・ライフ/My Life
*album『ニューヨーク52番街/52nd Street』('78)
3. マイアミ2017/Miami 2017
*album『ニューヨーク物語/Turnstiles』('76)
4. オネスティ/Honesty
*album『ニューヨーク52番街/52nd Street』('78)
5. エンターテイナー/The Entertainer
*album『ストリートライフ・セレナーデ/Streetlife Serenade』('74)
6. ザンジバル/Zanzibar
*album『ニューヨーク52番街/52nd Street』('78)
7. ニューヨークの想い/New York State Of Mind
*album『ニューヨーク物語/Turnstiles』('76)
8. アレンタウン/Allentown
*album『ナイロン・カーテン/The Nylon Curtain』('82)
9. ドント・アスク・ミー・ホワイ/Don't Ask Me Why
*album『グラス・ハウス/Glass Houses』('80)
10. ストレンジャー/The Stranger
*album『ストレンジャー/The Stranger』('77)
11. 素顔のままで/Just The Way You Are
*album『ストレンジャー/The Stranger』('77)
12. ムーヴィン・アウト/Movin' Out
*album『ストレンジャー/The Stranger』('77)
13. イノセント・マン/An Innocent Man
*album『イノセント・マン/An Innocent Man』('83)
14. キーピン・ザ・フェイス/Keeping The Faith
*album『イノセント・マン/An Innocent Man』('83)
15. シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン/She's Always A Woman
*album『ストレンジャー/The Stranger』('77)
16. 愛はイクストリーム/I Got To Extremes
*album『ストーム・フロント/Storm Front』('89)
17. ザ・リヴァー・オブ・ドリームス/The River Of Dreams
*album『リヴァー・オブ・ドリームス/River of Dreams』('93)
18. 地獄のハイウェイ/Highway To Hell
*album『地獄のハイウェイ/Highway To Hell』('79) AC/DC
19. ハートにファイア/We Didn't Start The Fire
*album『ストーム・フロント/Storm Front』('89)
20. ビッグ・ショット/Big Shot
*album『ニューヨーク52番街/52nd Street』('78)
21. ロックンロールが最高さ/It's Still Rock & Roll To Me
*album『グラス・ハウス/Glass Houses』('80)
22. ガラスのニューヨーク/You May Be Right
*album『グラス・ハウス/Glass Houses』('80)
- - - - - encore 1 - - - - -
23. イタリアン・レストランで/Scenes From An Italian Restaurant
*album『ストレンジャー/The Stranger』('77)
- - - - - encore 2 - - - - -
24. ピアノ・マン/Piano Man
*album『ピアノ・マン/Piano Man』('73)
会場&客層
20数年ぶりのビリー・ジョエル。
私のテリトリーではないけど、彼の歌声の素晴らしさに引き寄せられて、見に行ってきた。
ライブでパワーアップする声の魅力が、今回も聴けるか??
会場は、東京ドーム、それもアリーナだった。(Bさん、ありがと♪)
アリーナって、下が人工芝なので、ふわふわなのね♪
でも、5連のパイプ椅子は、規定よりも小さいかと思える狭さだったので、優雅さとは相反して多少肩が凝った。
だって、電車の座席よりも狭いんだよぉ!
が、そんなちっちゃな不満は、ビリーの登場と共に消え去った。
会場には、いつの間にか現れたピアノと共に、ビリーの姿が。
力強くキーを叩きつけ、「Prelude/Angry Young Man」が始まった。
会場にウォーという歓声が上がり、早速総立ちになった。
おいおい、ビリーでも立つんかい??
そう若くもないファン層が、ここぞとばかりに張り切る!まだ先は長いが、見えなきゃ仕方ない、付き合った。
で、この総立ち状態は、バラードで座ると思いきや、アンコールまで続いたのであった。
ハード・ロックのライブよりがんばっちゃったと思うわ。
ビリーは
ビリーは声がよく出ていた。1949年5月9日生まれなので、57歳だ。団塊の世代〜。
高音の張りや低音の広がりはそのままだ。
顔は、俊輔の所属するセルティックの主将である“ニール・レノン”をふけさせ、あごひげをつけたような感じ。
レノンが怒って眉を吊り上げ、額に青筋を立てているのが、ビリーの歌ってる表情とそっくりなのだ。
曲によっては、キーを下げていたものの、ほとんどの曲は昔そのままに歌っていた。このパワーはどこから来るのか??
ピアノは、それこそ衰えを見せず、軽やかに力強く奏でていた。
上:当然Billy Joel、下:セルティックのNeil Lennon主将
黒のTシャツに黒のブレザー、ジーンズ。
気取りのない格好だ。
中央奥で踊りながらパーカッションを繰るCrystal Talieferoに魅せられた。
躍動感が違うよ!彼女は黒人独特のリズムを持っていた。
2曲目の「My Life」では、2人のホーンセクションが彩を添えていた。
イントロで「さくら」を弾き、日本のファンへのサービス精神が満点だ。
ヒットチャートに上った曲を中心に知ってるので、中には知らない曲もあった。
が、それをはねつけるような圧倒的な存在感と、変わらぬ歌声で魅了した。
AORちっくな「Zanzibar」が素敵だった。
丸っこいトランペットの疾走感とジャジーなリズムが、この時期にふさわしい秋の深まりを感じさせた。
が、もっと魅力的だったのが、「ニューヨークの想い」だ。
ビリーのライブ会場は、巨大スクリーンが左右に扇型に配置されていた。そして、コンピュータ制御された照明だ。
これが、曲に合わせて赤く青く、白く、時に橙となって、タイミング良く照らされる。
「ニューヨークの想い」では、歌の合間で、本照明を落として楽器の間の照明を青く照らし、客席に投影した。
これがまるでジャズバーにいるかのような大人の雰囲気を醸し出したのだった。
イントロのビリーのムーディーなピアノからしてやられてしまったので、パーカッションのクリスタルまでもが参加したトリプルホーンセクションで、めろめろになっていた。
厚みを増したサウンドは、極上の音楽空間を創り出していたのだった。
この日、一番の出来だと思った。
迷惑な酔っ払い
次は、大好きな「アレンタウン」だったが、後ろの4人組の酔っ払いの声が次第に大きくなって、集中できなくなってきた。
連れが、何度も振返っても効果ナシ。
そりゃぁ〜、英語の歌よりも日本語の方が脳にアピールする。聞きたくなくても頭に入り込む。
もぉ〜、頭来るなぁ〜、私語は慎むのが、ライブのマナーってもんじゃないのか??
第一、ライブなんて見てないじゃないか!
初めのうちは、外人がいればこんなもんと我慢していた。
ボイスで聴き直してみると(おいおい^^;)、相当に声が入っていた。
「素顔のままで」のような、聴かせるバラードでも相変わらず大声でしゃべりまくっていたので、私も後ろを振り返って顔を睨み、それでも効果がなかったから、ついにカップルの男の手を叩いてこちらを見るようにし、「しぃ〜」と口元に手をやった。
カップルの女が、「あ〜、しぃ〜ですよね」と能天気に答えた。
少しは静かになったが、イライラ感は3曲取れなかったのだ。ど〜してくれる??
おめぇ〜らの戯言聞くために、高いお金払ってドームにやってきたんじゃねぇっ!!!!!
あっ、失礼しました。
イノセントマンは
私が20数年前のビリーのライブで一番感動したのは、イノセントマンのサビの高音部分の声だった。
「Ah-ah〜、Innosent man・・・」の、Ah-ah〜ではなく、次のinnosent man の部分である。
CDよりも力強く、はっきりと、どこから声出している?と思えるくらいの大きい声だった。
今日はどうかなと期待していたが。。。。やっぱり月日の経過が横たわっているのね。
健闘していたけど、CD通りの声で、パワーは感じられなかった。ライブならではの声だったのね、あれは。。
良き思い出にしておきます。
後半はロック・バージョン
後半は、ビリーはピアノを離れ、エレキギターを持ってステージを自由に行き来していた。
後期のアルバムからの選曲だったからだ。
ピアノから離れてロック化した後期の楽曲は、残念ながら私にはあまりアピールしなかったのよね〜。
ミディアムテンポのごく普通のハード・ロックで、平凡に思えてしまったのだ。
メロディアスな楽曲主義でもなく、泣きのギターがあるわけでもない。
もともと叙情性のあるソングライティングをしていたのに、音と音の間の空間を、ギターで塗りこめて平坦にしてしまった。
ピアノの持つ、ぴんと張りつめた緊張感が好きなだけに、本当に残念だった。
叙情性を持たせながら、Rockのパワーを感じさせる曲は山ほどあるんだから、ビリーもその路線を狙えば良かったのに。
中途半端にRockしてて、物足りなかった。Rockをするビリーが見たいんじゃないのだ。
なお、ビリーのいなくなった後のピアノには、後期Rainbowに在籍した、Dave Rosenthalが鎮座していた。
彼は、主にオーケストレーションを担当してたが、主がいないとなれば、フロントにも出てくるのだ。
そうそう、ビリーのピアノは回転式で、右の観客からも左の観客からも顔が見られるようになっていたのだ。
ここにもサービス精神が感じられる。
途中、ローディの歌(AC/DCの地獄のハイウェイ)がなぜか入っていた。
入れる必要があったのだろうか??
当日になって知ったのだが、上にちょこっと書いたように、キーボードにDave Rosenthal、ドラムスにChuck Burgiと、元Rainbowの面々がビリーをサポートしていた。
何だか感激。
リッチーの残した遺産が、思わぬ場所で活躍してたとは。
やってる音楽は違えど、音楽という大きなひとくくりなので、関連が出てくるんだなぁ。
彼らは、しっかりと高い演奏力で、ビリーの楽曲を再現していた。
アンコール
1回目のアンコールが終わり、メンバー達が次々と引き上げる中、ビリーだけが残り、引っ込む振りをしたり、残ったりを繰り返し、観客の気を引き、楽しませてくれた。
そうだよ、あの曲をまだやってないもん。
最後はもちろん「ピアノマン」だ。
キーが下がり目だったけど、私はそんなに優秀なファンじゃないから、これでオッケー!
それでも高音は苦しそうだったけど、力を振り絞って歌い切った!!
最後はビリーらしい曲で締めくくったと思う。
初期〜中期の曲こそがビリーの魅力に溢れている。
2時間もの間、プロ中のプロとして楽しませてくれた。
舞台装置も、照明も、サウンドの質も、もちろんステージングも最高だった。
ライブの模様は、4月にスカパーのフジ702(確か)で流れるそうだ。
これは要チェックである!!!