Renaissance 2010   

                                       2010.8.21(土) 川崎クラブ・チッタ
Setlist

1. Prologue
2. Carpet Of The Sun
3. Midas Man
4. Running Hard
5. Black Flame
6. Things I Don't Understand
7. Ocean Gypsy
8. The Mystic and The Muse
9. Mother Russia

-------- Encore ---------

10. Ashes Are Burning
 



 

9年ぶりの来日。
前回が最初で最後の来日だと思っていたので、これは神様がくれたプレゼントだと思っていた。
アニーの声質が変わったり、音程が不安定になるなどの衰えはあるけど、そこはアニー。歌ってくれればそれでいい。

会場に詰めかける観客は、圧倒的に50歳以上の男性が多い。
7割はそうだっただろう。

会場が暗転し、拍手の中1曲目が始まった。
Prologueだ!!

アニーは、それを独特の澄んでよく響く高音のスキャットで歌い始めた。
「わぁ、ブレがない。往年のアニーさんだ!」
衰えなんてまるでなく、堂々たる歌声で第一声を始めた瞬間から、私の目はうるみ、これまでのさまざまな思いが頭を巡った。
それは、私がアニーの声に一聴き惚れした35年前のこと。
ルネッサンスがいたから、プログレも聴くようになったこと。
ネットを始めた時に、ルネッサンスにアクセスしたおかげで、再び音楽を聴くようになったこと。
ルネッサンスを通じて、いろんな人とお知り合いになれたこと。
ルネッサンスというバンドの隆盛や衰退、アニーの病気を乗り越えてから今に至るまで。。

 
 
 
 音楽というのは不思議だ、聴いているのは今現在なのに、その曲を聴いていた頃が一瞬でプレイバックされ、その頃と同じ気持ちになれる。
もう、アニーの声があればいい。
アニーの歌声が生で聴ける幸せ。
ああ、生きてて良かった!!

私と同じような気持ちで聴いた人は、決して少なくないだろう。
体に熱いものがこみ上げ、目頭を押さえていた人をちらほらと見かけた。
そしてその感動は、いつまでも止まることがなかった。



感想は、これに尽きる。
あとは、思いつくままに書いてみる。

アニーの声は、高音部は昔のまま。
中低音部はちょっと太くなっていたが、これはこれで存在感があると言えるからいいとする。
2階から見ていた人によると、この日は裸足でなく、ラメ入りのストッキングを履いていたそう。

Black Flameは、私の好きな曲。
ルネッサンスは、オーケストレーションを使ったクラシカルなアレンジが多いが、私はフォーク・ロアなアコースティック・ギター使用のこの手の可憐な曲が好き。
特にサビは、琴線を刺激しまくりで、どうしようもなく懐かしさに覆われて胸が締め付けられる。

ベースのDavid J. Keyesは、ベースの演奏だけでなく、ボーカルもJhon Campに似ていてびっくり。
よくぞあそこまで似た声の人を連れてきたものだ。

Ocean Gypsyの中間部の天にも昇るようなスキャットは、格調高く清潔感もあって、そのまま昇天してもいいと思った。
歌が終わった時に、ゴブレットで水を飲んでいたのを見て、うれしくなった。

新曲のThe Mystic and The Museは、曲のミステリアスな妖しさ、暗さが意外にもアニーに合っていた。
声はよく出ていたし、音程はしっかりしていたし、パワーはあったし、バックとの連携も完璧。
また聴いてみたい。

Member:

Annie Haslam (vo)
Michael Dunford (g,,vo)
Rave Tesar (Piano)
David J. Keyes (b,vo)
Tom Brislin (key,vo)
Frank Pagano (dr,vo)
Mother Russiaの、最後のアニーの最後のフレーズの“Mother Russia he cries for you”の、切なそうな消え入りそうな声に感動。
心を込めた切なさが、魂の熱唱が、ダイレクトに伝わってきた。

Ashes Are Burningの、体をくゆらせながら、全身でスキャットを歌う場面は、アニーならでは。
よくあそこまで高音が歌えるものだ。いつ聴いても感動する。


63歳とは思えない、アニーの艶のある歌声と高音の突き抜け、安定感。
本当に素晴らしかった。
いまだにライブのことを思い返すと、涙がこぼれてしまう。