Dream Theater

                     2008.1.15(火) 日本武道館


セットリスト

1. Constant Motion
2. Never Enough
3. Surrounded (extended)
4. The Dark Eternal Night
Keyboard Solo
6. Lines In The Sand
7. Forsaken
8. The Ministry Of Lost Souls
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9. In The Presence Of Enemies
10. Home
11. Misunderstood
12. Take The Time
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13. Shmedley Wilcox:
I.Trial Of Tears
II. Finally Free
III. Learning To Live
IV. In The Name Of God
V. Octavarium (Razor's Edge)

6年ぶりのDream Theater。
今回は、どのような変貌をしたかと、期待半分、不安それ以上で出かけてみた。武道館は、もう20年以上ぶりだろう。
変わらぬ古ぼけた外観と威容。やっぱり私にとっては、ここが一番雰囲気のある会場なのだ。
2階席の前から3列目。よく見えるけど遠いなぁ〜。
おまけに両隣が若い女性だ。HMのライブに出かけて、こんなの初めて。
さすが幅広いファンを持つDream Theaterだ。

会場内に入ると、ステージには天井から黒い布が垂れ下がっていた。
玄人受けしそうな暗いメタルの曲がずっと流れていた。
1曲、Rushの『Snakes&Arrows』から“The Main Monkey Business”が爽やかに流れたのは感動したなぁ。

と、音量が大きくなり、不安感を掻き立てるようなクラシックの曲になった。
見ると、黒い布の前にあった赤いライトは、実は左のジャケにあるような信号機だったのだ。
今は黄色が点灯してる。

クラシックの音楽が終わると、黒い布が取り外され、信号機に青が灯った。
いよいよ始まる!!
ステージの後方にはスクリーンがある。
そこに、かつてのジャケの写真とサウンドがダイジェストで映し出された。今回が15周年記念だってことを強く感じさせる。
それらが終わると、ボクシングでも使われるこれからを期待させる有名なクラシック曲(すみません、あとでチェックします)が始まり、いよいよメンバーの登場だ。

1曲目は、『Systematic Chaos』から“Constant Mothion”。
もっとノリのいい曲でガーッと来るかと思ったけど、静かなノリで来た。
2階席だからか、ノリが悪い。観客も声を出したり腕を振ったりしてるものの、アリーナの様子を窺ってからなので、遅いって。
加えて、両隣の女性は二人とも単独で見てるので、おとなし目だ。
しょ〜がないなぁ、今日は私は回りに合わせることなく、自分のノリに素直になろう!!

Systematic ChaosもOctavariumも、あまり聴き込んでないから、ノレないぞ!
それに、ジェームズ・ラブリエは、最初の挨拶はしたものの、MCが極端に少ないし、会場との掛け合いもないから、観客は置いてきぼりみたいだったぞ!
演奏能力は確かに高度だ。だけど、今日はライブだから、わかりやすさをアピールしても良かったのでは?
長ったらしい演奏に、贅沢な不満を感じた。演奏を半分の長さにすれば良かったのに。同じリフの繰り返しじゃないか?
おそらく観客の大半は同じことを感じただろう。

それでも、3曲目の『Images&Words』からの“Surrounded”は素晴らしかった。
紫や青の幻想的な照明の中、フックの多いキャッチーなメロディが、シンフォニックな演奏と溶け合っていた。
ジョン・ペトルーシは、ゆったりしたスローでメローなギターにも良さがある。はっきりとした輪郭のギターサウンドに酔いしれた。
うん大丈夫だ、この曲があれば、今日は満足して帰れる。

4曲目の“The Dark Eternal Night”は、マイク・ポートノイの重低音のドラミングが強力だった。
なんとトリプルバスドラ!!曲によってバスドラを使い分けていたのだろう。
立ち上がって叩いたり、力いっぱい振り下ろしたり、これでもかというほどパワフルだった。
スクリーンには、Dream Theaterのメンバーのデフォルト化された映像が映し出された。
戦車に乗り、街中を通り過ぎ、荒野に辿り着くと、そこには2本足で立つ巨大な狼が待っていた。。っていうストーリーだ。
狼の印象は、「三ひきやぎのがらがらどん」みたいな感じかな。 コレ 左はジョーダン・ルーデス
操り人形にされた別のDream Theaterのメンバーも登場し、狼をやっつけようとしていた。
やっつける道具は、各自の楽器なんだよね〜。ギターから光線を、ベースから音圧を、ドラムスから疾風を飛ばし、狼にダメージを与え続けていた。
最後に倒す場面を見た時は、バカバカしいながらも、ちょっぴり感動したのよね、これが。

ストーリーのある画像は、これだけだった。
あとは、ギターソロやキーボードソロを映したり、ジャケのカバーを映したり、メディア・プレーヤーのように、抽象的なぐるぐる回る絵を映したりだった。

ジョーダン・ルーデスのキーボードソロは、肩から掛けるタイプのキーボードを持ってステージ中央で弾いていた。
すっかり白くなった山羊ヒゲで、猫背気味だったが、相変わらずのクネクネした指使いで、ひとつもミスがなかったようだった。

“Forsaken”は比較的コンパクトにまとめられてて良かった。
“The Ministry Of Lost Souls”は、プログレに徹していた。
意外とメロディアスで、音の変化もあり、聴きやすかった。
ここで、1部が終わり、10分の休憩に入った。


2部は、『Systematic Chaos』のオープニングナンバー“In The Presence Of Enemies”から始まった。
スクリーンには、中ジャケ写真が映し出された。
左の、ミサイルを運ぶ蟻たちもあった。
これも、ライブでは長すぎるように感じた。途中までは最高にカッコいいナンバーなんだけどなぁ。インプロは半分でいいよ。演奏がうまいのはわかったからさ。。

が、次の『Metropolis Pt.2』からの“Home”で、気持ちが再び戻ってきた。
石焼き芋を思わせる、遠くからの雑音のような声に、いったい何?と思ったが(失礼^^;)すぐに気がついた。
間奏は、最初に高速ギターソロ、キーボードソロ、ギターとキーボードのユニゾンプレーに繋がっていった。
この日、何回目のユニゾンプレーだろう。まったく乱れることはなく、ただただ聴いて驚嘆し、その見事さにひれ伏すだけだった。
人を圧倒するサウンドとは、このことを指すのだろう。

『Six Degrees Of Inner Turbulance』からの“Misunderstood”は、優しく穏やかに包み込んでくれる、大好きな曲だ。
ジェームズのボーカルは、難解さをキャッチーに変換してくれる唯一の手段。
♪〜What can I do〜は、当然歌ってみた。
そして、『Images&Words』から“Take The Time”。
腕を振り上げ、♪Take The Time〜の合唱は基本です。(笑)
この曲が一番ライブ的にノレた。
たとえ、隣りの女性が座っていようと、黙っていようと、腕を振らなくても、ノッたもん勝ち!だから、待ってたよ、この時間を。
やっぱりいい曲だなぁ。曲に変化があって、キャッチーだ。フックもある。
出だしの歌は、軽い口笛まではジェームズがいなくて、誰が歌ってるのかと思ってたら、マイク・ポートノイが歌ってた。
回転する横向きのマイクスタンドを回してもらい、歌が終わるとさっさと後ろに向けて回転させていたのに笑えた。

で、曲が終わると、ジェームズが“Thank you good night!”と叫び、各自が手を挙げたら、そそくさと引っ込んでしまった。
あれ、揃っての挨拶はしないの?仲が悪いんかい??


アンコールは、今までの集大成のメドレーだった。
メドレーと言うには、1曲ずつが長いので、おなかいっぱいだ。
“Finally Free”が聴けたのは良かった。

そして、今度こそちゃんとメンバーが肩を組んで挨拶をし、マイクが感謝の言葉を述べ、ライブは終わった。
時間にして、3時間。
3時間の割には短く感じたけど、疲れた〜〜。


全体的に、ジェームズ・ラブリエの声は、よく出ていたと思う。
最後までトーンを落とすことなく、しっかり歌いきった。
歌の比重が少ないから、喉に無理がかからないのだろう。

ジョーダン・ルーデスのキーボードは、ScoreのDVDにあったのと同じ。
楽譜が次々と切り替わりながら出てくるディスプレイを顔の前に置き、超絶演奏をする。
ソロでは、後ろの黒と赤の鍵盤が書かれた、フラットな鍵盤のキーボードを引っ掻くように弾いていた。

ジョン・ペトルーシは、髪が伸びていた。
プレーに派手さがなく、職人然として淡々と弾きまくる。その正確無比な演奏には圧倒されるが、ときめくものがない。残念だ。
近くからだったら、目線や腕の振りでちょっとはカッコ良く思えるのかも知れないが、おっちゃん臭かったなぁ〜。

ジョン・ミュング(マイヤング)のベースは、さらに淡々としていた。
ずっと同じ姿勢を保ちながら、指は速いし正確。常に痙攣してるように動きまくっていた。

マイク・ポートノイのドラムスは、とにかくパワフルでテクニカル。
もしも彼のドラミングがもっとソフトだったら、Dream Theaterはプログレになっちゃうと思った。
たとえペトルーシの重低音のリフがあっても。
途中、スティックをペトルーシに向かって高い弧を描いて放り投げたのがおちゃめだった。

服装は、この拾ってきた画像と同様、黒づくめだった。
ジェームズは一部は白いTシャツを着ていたけどね。
服装と同じように、サウンドは暗く、一本調子に聴こえたのが残念だった。
Flower Kingsのように、天に昇るような幸せな気分になれる曲があれば良かったのに。
強いて言えば、“Misunderstood ”の冒頭部分だが、それだけじゃ足りない。
リズムも単調だったな。いっそのこと、メロディック・パワー・メタルのような疾走曲があっても良かったんじゃ?ほら、“Under A Glass Moon”があるじゃな〜い。

といっても、照明はタイミングが最高だったし、効果的だった。
音響も、武道館というのに2階席でも音が割れず、クルーの能力が高かったように思う。
メンバー以外の一体感を、強く感じたライブだった。