Alkatrazz VS. Joe Lynn Turner
         
   2007.5.31 渋谷On Air East



ミニRainbowにワクワク

どす黒い雨雲が立ち込める中、行ってきました!!
私にとっては、1980年以来のグラハム・ボネットと、昨年のTribute To Rainbow以来のジョー・リンだ。(Rainbowなら1981年以来)

私の整理番号は500番台だったが、Bさんのおかげで、手すりの前をGET!!
これって、スタンディング3時間の長丁場ではありがたい。疲労度が全然違う。
(画像クリックで大きくなります)
まずはAlkatrazz

7時きっかりにAlcatrazz登場。
シンフォニックなサウンドが広がる。会場はもうテンションが上がっている。
なんだ、なんだ?何の曲だ?と思ったら、Rainbowの“Eyes Of The World”が流れてきた。
この曲からなのね。Alkatrazz時代と変わらないらしいが、こっちはそんなの知らないから新鮮だ。
って、Rainbow時代もそうだっけ。

グラハムは、全然太ってないぞ!サングラスも、レイバンのクラシック・モデルのように、ナス型で変わらない。
白いパンツ
に白いシャツ。背中にプリントが入っている。
顔がちょっと老けたのは仕方ないな。
額が広くなったのも仕方ないな。
白髪と見紛うほどの、プラチナブロンドだった。う〜ん、きっとプラチナブロンドね。

歌が始まった。
おお〜っ、すごい、全盛期と全然変わらない!!
低音から高音まで、声を張り上げるところは、強力に張り上げ、まったくストレスを感じさせない。
違うといえば、額に青筋立てるのが、首にも筋を立てるようになったことくらいだ。
そんなグラハムに、ほとんどの人が腕を振り上げ、体を揺らす。私だってやっちゃうよ!
グラハムは歌いながら、右へ左へとふ〜らふら。腕も締まっていないと思っていたら、「今日病院へ行ったよ〜、飲みすぎちゃって」みたいなことを言っていた。
力が抜けた。まるで酔っ払いのオヤジじゃん。グラハムってあんなキャラだったっけ??
曲目を、下を向きながら言うので、『何か書いてあるのか?』といぶかっていたら、カンペならぬ、カンニング・ノート(青い表紙)を拾って見せてくれた。
歌詞が貼り付けてあるのだ。
開き直って、そんなモンを見せていいのか??

グラハムのボケキャラ

そのカンペノート、グラハムを非常に助けていた。
グラハムが、忽然と姿を消したとびっくりすると、しゃがんでカンペノートを見ながら歌っていたのだ。
演奏の合間にチェックもしていた。
それでも、ちゃんと最後まで歌えるんだから、たいしたもんだ。

グラハムのボケキャラは、メンバー紹介の時にも本領発揮だ。
ギタリストのHowie Simonを紹介する時、うっかり度忘れしたフリをし、背中に書いてないかと見たり、パンツに書いてないかと、パンツを覗こうとしたり。。
かつてはジェームズ・ディーンに似ていたはずだったのに、今じゃボケ老人を嬉々として演じている。
そういや、白いシャツを脱いで、上半身白いTシャツ姿になったけど、無地だったから、『肌着とステテコ姿』に見えたぞっ!!

Alkatrazzのメンバーは

ギターのHowie Simonは、リッチーとインギーの曲を弾かなくてはならなくて大変だったと思うが、何とかこなしていた。
インギーの早弾きに負けずにちゃんと追っていたので、調べたら、ジェフ・スコット・ソートと仕事してたのね。こちら
だけど、相手が悪かったと思うわ。いくら完全コピーしたとしても、オリジナルがインギーだと音色のクリアさが違う。
それに、コピーが精一杯だったみたいで、演奏を楽しむ余裕がなかったように思う。
にしても、一生懸命に弾き、コーラスも担当してと、大活躍だった。
ドラムスのGlen Sobelは、演奏中にスティックを回したりと、余裕で叩いていた。
アルカトラスのリズムだと簡単だと言わんばかりだ。
こちらも調べてみると、クリス・インペリテリと仕事をしていた。そっかぁ、インギーと傾向が似ているからいいのかな。
ベースのTim Luceは。。どういった人物なんでしょ?不明だが、グラハムからの耳打ちを一番受けていて、仲が良さそうだった。

結構リハーサルを本国で入念に行ったと見えて、HowieとTimによるコーラスはばっちしだった。
サウンドのバランスも申し分なし。
“Eyes Of The World”以降は、アルカトラスからの曲が続いたが、終盤とアンコールは“All Night Long”“Since You Been Gone”“Lost In Hollywood”と、Rainbowの曲ばかり続いて、観客席はおおいに盛り上がった。
いいね〜、ゴキゲンだ。ギターソロはインギーバージョンで、早弾きになってる。
ドンエイリーのキーボードソロは、後ろから何となく聴こえてきたのがご愛嬌。誰も演奏してはいない。打ち込みとは思えないんだけど。。

ボーカリストさえいれば

こうして聴いていると、ボーカリストさえ元気だったら、変わらぬ昔のサウンドの復元ができるんだなと思った。
ギタリストは、楽器が音を出しているので、他の誰かでも何とか代用できる。
でも、ボーカリストだけはどうやっても無理だ。
2007年の今日という日に、元Rainbowの2人のボーカリストの素晴らしい歌声を聴いて、感動に耽っていた。
1980年から27年もの時を隔てて、なおも聴ける力強い歌声。
私は最高のパワーをもらったと思った。
同時に、フレディ・マーキュリーの無念さに気付き、今ここで聴いてるのは幸せなんだと噛み締めた。

   
   Alkatrazz セットリスト
Eyes Of The World
Too Young To Die Too Drunk To Live
God Blessed Video
Stand In Line
Big Foot
Night Games
Jet To Jet
Sons And Lovers
Kree Nakoorie〜Hiroshima Mon Amour〜Kree Nakoorie
Will You Be Home Tonight
Desert Song
Island In The Sun
All Night Long

Since You Been Gone
Lost In Hollywood
Joe Lynn Turner

思いがけずパワフルなグラハムのボーカルに、早くも『来て良かった〜』と満足していた。
次のジョーに移る前に、ドラムセットが交換された。1バスから2バスへ。藤本健一氏はテクニカルなドラマーなのかと、期待は高まる。

それほど待たずに、ジョーが登場した。
会場はAlkatrazz以上の声援だ。ジョー、人気あるなぁ。
1曲目はジョーの最新アルバム「Second Hand Life」から“Your Love Is Life”。ライブの序章のように、すんなりとした導入だ。
安定感があって、穏やかに歌っている。ジョーもまた、よく声が出ていた。
やっぱり、Rainbowからの曲が人気があった。
“Death Alley Driver”“I Surrender”では大盛り上がり!
けれど、この辺で違和感を感じた。
バックの演奏があまりわからないのだ。音がかき消されているのか、ズレているのか、ジョーの声とマッチしないのか、はたまた根本的な問題で演奏がヘタなのか不明だが、演奏が楽しめなかった。
「大丈夫なんだろうか??」と不安が胸に広がった。
第一、ジョーの高音も不安定だった。

が、そんな不安も“Stroke Of Midnight”で氷解。ソロからの曲はバランスが良くて、アルバム通りだった。キーボードだってよく聴こえる!
音のバランスは重要だと思い知らされた。
まぁ、私はギターとボーカルさえ音が大きければ大丈夫。っていうか、ソロからの曲はジョーがちゃんと歌っていたというか。。
観客に歌わせるパートが多すぎるとつまらないものね!!
あと、コーラスがあったら、ジョーが歌わなくてもきちっとサポートできたと思う。
マフィアバンド、一考を頼む!!
そうすれば、ジョーの豊かに響く中音域が、さらに強力になり、高音も好き勝手に歌えるだろう。

ギターの梶山章氏の聴かせどころは次の“Blood Red Sky”にあった。
MCでジョー曰く、トルコ版ロミオとジュリエットの詩らしい。
イントロでのオリジナリティ溢れるひっかく演奏は最高!もしもリッチーがライブで演奏していたら、こう弾いたかも。。
彼自身、リッチーを敬愛しているのを隠すことなく、決めポーズで右手を斜めに高く上げたり、ギターの押弦を手を上から下から変幻自在に繰っていた。
梶山氏は実に楽しそうにギターを弾く。
手先が素早くきびきびと正確に動く。それでいて、片手で演奏しながら、もう片方の手は『ノれ、ノれ』と、観客を煽る。
シールド付きのギターでありながら、ベースの長谷川敦氏のところへ行って、肩に手を回して(無理やり)仲良く演奏だ。
ジョーがMCの時にコワいくらいシリアス顔だったりしたので、余計梶山氏の笑顔が良かった。
さすがにこの曲では余裕がなかったのかシリアスな顔だったな。実際、シリアスな顔よりも笑った方がカッコいいから、ずっと笑っていてほしい。
あと、もっとギターの音量を大きくしてほしい。

後半は勢いだぁ〜!!

後半は、サウンド面が解決したのか、勢いが出てきた。
この中で秀逸だったのが“Can't Let You Go”だ。
ジョーが「Rainbowの中で好きな曲だ。」と紹介した。けど、名前が、永川トシオなのだがジョーの紹介だと「トシヨリが。。」と聞こえてしまったのだぁ〜!!いいのか?トシオ!!
そのトシオのパイプオルガンを思わせるキーボードソロは幽玄で、時間が止まったような高貴さがあって素晴らしかった。
『Tribute To Rainbow』の時のパイプオルガンはもちろん素晴らしかった。本当に感動的ないい曲だ。

最後の曲は、ご存知Rainbow登場の時に使ってた“Over The Rainbow”で始まり、“Spotlight Kid”へ続いた。
いいね〜、このつながり方!Rainbowファンにはたまらないよっ!!
次の“Long Live Rock 'N' Roll”でも聴かせてくれたけど、梶山氏のギターは、スタジオ盤と違って、アドリブがあるので臨場感が凄い!
早弾きもするし、印象的なフレーズも弾く。
きっと何かのライブのを採用しているんだろうけど、完全に彼のものにしていた。
ジョーの歌を聴かなきゃと思うんだけど、やっぱり私はギタリスト好きなのよね。なんだかんだ言って、ジョーよりも梶山氏のギタープレイにばっかり目を奪われていた。

アンコールは

アンコールは“Long Live Rock 'N' Roll”だった。
ここで、ジョーが観客席と掛け合いをやってみせた。
ジョーがこの日はひねりを加えたのか、微妙な音程で歌っていた。
けれど、観客席は“正規?”の音程で歌い返す。ここがおもしろかった。
Rainbowは、このコミュニケーション・ソングと言うべき曲まであって、あらためてスーパーバンドだと実感した。

ライブは、この日のボーカリスト二人でも満足させてくれる。
だけど、存在感というか、確固としたリーダーシップを取る、何をやってもすべてオッケーな“彼”がいないことには、Rainbowにはなり得ないのだ。
どうあがいた所で、ミニRainbowになってしまう。
少しの寂しさを感じはしたが、27年もの時を越えて、なおかつパワフルな歌声を聴かせてもらったことに、すごく感動した。
メンバー構成は違っても、楽曲の持つ輝きは失われていないのだ。
Rainbow仲間は、リッチー・チルドレンなのだ。

来日したら、また行くつもりだ。(多分2時間ぶっ通しは無理だから、ジョイントだろう)
次こそは、是非とも2人で同じステージに立って、一緒に歌ってほしい。
中音域がジョー、高音域グラハム、サビがコーラスの“Kill The King”が聴きたいから。

        Joe Lynn Turnerセットリスト
Your Love Is Life
Devil's Door
Death Alley Driver
I Surrender
Street Of Dreams
One Day Away
Stroke Of Midnight
Blood Red Sky
Power
Can't Let You Go
Can't Happen Here
Over The Rainbow〜Spotlight Kid

Long Live Rock 'N' Roll