FIFAクラブW杯 準決勝
     浦和レッズダイヤモンド VS A.C.ミラン


                12月13日(木) 日産スタジアム

A.C.ミランの真剣勝負が生で見られる!!
こんなチャンスは2度とないかも知れない。
そこで、18000円の大枚をはたいて行ってきました、横国(正式には日産スタジアムですかね)。
本当は決勝が良かったんですけど、さすがに売り切れてました。。(涙) 料金は30000円とはいえ、トヨタカップの流れですからね。プレミアムチケットは間違いないでしょう。


ミランの相手は、浦和レッズ。
レッズが相手となって、テレビで大量に宣伝された結果、チケットを購入した頃と比べて、話題性が格段に上がった。
それまで興味がなかった人も、「あれを見にいくんだぁ、いいなぁ」と。
私に言えた義理はないけど、日本人はマスコミに踊らされてるなぁと痛感した。にわかちゃんがうじゃうじゃ。

当日は、お昼過ぎに雨が上がり、風がなく、心配された初冬の寒さが和らいでラッキーだった。
新横浜に降り立つと、レッズの旗をバッグに入れたサポーターが、我が物顔で闊歩していた。気合がひしひし。
途中では、ミランのレプリカやTシャツを売る露天がたくさんあった。眺めている人がたくさんいた。
が、KAKA’ばっかり。ピルロやインザーギはどこへ行った??

ドリブルするセードルフ。アンチェロッティ監督の姿も見える。

1時間前に到着したというのに、オフィシャルブックを買ったり、グッズを買ったり、ビールを買ったり、練習を眺めたりしているうちに、時間はあっという間に過ぎた。
スタンドは赤1色だ。
と言っても、ミランも赤のユニフォームで、1/4くらいはミランのレプリカを着ていた。
ミラニスタは結構いるのだ。なんせ、あの“ミラン”ですよ〜、格が違う。
ただ、ミランを応援する人は個人レベルなので、ミランのいいプレーには拍手をしたり、歓声を上げたりする程度なので、終始応援歌を歌い、踊り、ブーイングをするレッズサポの集団パワーと比べると、どうしても見劣りした。
アウエーの本来ならミラン側の応援席を堂々と陣取り、両側で時間差で同じ応援をするさまは、相当な迫力があった。

   ピルロだぁ〜。カッコいいっ!!

   カカには大声援。

スタメンの発表が始まった。
ミランのGKジダからだ。あろうことか、ミランの選手に対し、レッズサポからブーイングが起こった。
相手が誰であろうと、関係ない、自分の信じる応援をするのみなんだろうか?
気高く優雅なミランの選手に、とんでもないと思いつつも、頼もしさも感じたのは事実だ。
ミランを応援しつつも、日本人なんだなぁ。

 選手達が入場。ミランのキャプテンはアンブロジーニ

キックオフ。
ミランは様子見なのか、ゆったりしたペースでボールを回し、なかなか仕掛けてこない。
ネスタ、カラーゼ、オッド、ヤンクロフスキの最終ラインでつないでいた。
感心するのが、この最終ラインで、横一直線だ。意思の統率がなされている。オフサイドトラップも容易にかけられるだろう。
浦和は、このDF陣に対して、意外にも勝負を挑んできた。
最初から飛ばし、細かいパスをつないでミラン陣営に入り込んできた。
が、ミランの守備は厚い。カテナチオは伊達じゃない。
ならばと、阿部が、長谷部がミドルシュートを狙うが、うまくヒットしなかったり、弱かったりした。
一瞬の壁のほころびを狙うので、焦りや力の入りすぎがあったんじゃないかと思う。

 ピルロのFK。ゴールをおびやかした。

 ピルロが蹴ると思いきや、ヤンクロフスキが蹴った。

ミランは、浦和にボールを奪われても、その後パスカットしたり、セカンドボールを拾う素早さがあった。
中盤でのボール支配は、ことごとくミランだった。ガットゥーゾが動き回り、アンブロジーニが足を出す。ピルロの運動量も素晴らしかった。
ならばと、右サイドの相馬にパスを出し、突破を試みさせようとするが、オッドはそんな相馬をことごとくストップさせていた。
相馬がドリブルするコースを見極め、足を出してくるのだ。
相馬だってフェイントを織り交ぜて抜こうとしているのだが、全く通用しなかった。

反対に、ミランは左サイドのオッドを走らせ、クロスを入れる場面が何度もあった。
だけど今日のオッドは精度が低い。ゴールラインを割ったり、中途半端だったり、大きすぎて誰にも合わなかったり。
これがうまくジラルディーノに合えば、得点ものだったろう。
あっ、でもわからないな。ジラルディーノに付いていた闘莉王は、空中戦で負けていなかったから。でも、クリアしたボールを拾って次の攻撃に移すことはできただろう。
また、セードルフの出来が今イチだった。決定的な場面を2度も外していた。
あれが決まったら、3点は取れたと思うが、そのおかげで浦和の集中が途切れずに、おもしろい試合になったから、まぁあれでいいか。

浦和は、前半はカカを完璧に封じ込めていた。
鈴木と阿部がぴったりくっついていた。2人でダメなら、3人目の選手が加わり、ボール奪取に成功していた。
特に阿部は飛び込む勇気があり、スピードで負けていなかったと思う。鈴木の良さである、運動量のあるしつこいマークも機能していた。
カカは中盤で孤立し、完全に消えていた。
その分目だったのは、カカの後ろでプレーしていたピルロだった。
ほとんでフリーでボールを持つと、前線にロングパスを出し、FWジラルディーノを走らせた。
誰もが中盤に出すと思ったパスを、ノールック気味に前線に出した時、こう来るかと、会場は沸いた。
FKの場面でも、ちょっと距離があるのにゴールマウスを捉えていた。都築にキャッチされたが、さすがだった。

前半は0-0で終わった。
浦和の大健闘だ。特にネネの読みの深い的確な守備が目立った。
CLのセルティック戦で、ジラルディーノの大外しのおかげで、ホームのセルティックは大金星を拾った。
ミランにだって不覚はある。ちょっぴり先行きが不安になった。

  カカの鯉のぼり。見づらいけど。

ハーフタイムになった。
テレビで話題になった、カカの10歳の頃のホームステイ先である、山形県のOさんの7mのこいのぼりを探した。
見つけた!1階席のミラン側のバックストレート側、コーナ付近にあった。
紅色で他のサポたちが手伝って、観客席で広がっている。実に雄大で、鯉は気持ち良さそうだ。
Oさんの真心を感じ、じ〜んとしてきた。

後半になった。
両チームとも交代はなし。
インザーギの投入は、終了15分前らしいので、まだまだだ。
それより、セードルフは外すし走れないし、深刻だと思うよ〜。

 浦和はワシントンもFKの守備につく。

前半の続きのような流れだった。
ミランが圧倒的にボールを支配し、押しているのにゴールが奪えない。
決定力不足を露呈しているのだ。
時間ばかりいたずらに流れ、“延長”とか“ファンブルしてるジダからのごっつあんゴール”とか、いやな場面が頭に浮かぶようになった。
いやだよ〜、延長してたくさん見られるのはいいけれど、PK負けなんてシャレになんない。
正確だったピルロのキックもミランの選手に合わなくなってきた。
途中ピルロがピッチから離れた時があったけど、胃が重くて消化薬を飲んでいたらしい。

そんなイヤな流れを断ち切ったのがカカだった。
後半23分、FKで素早くパスを受けると、ドリブルにフェイントを織り交ぜ、あっという間に坪井を振り切り、左から高速クロスを入れ、ゴール前のセードルフにどんぴしゃで合わせ、ゴールに結びつけた!!
後半18分に交代して出てきた“インザーギにDFがついていたので、セードルフに合わせた”という、小憎い判断力だ。
おおお〜、やったぁ〜〜〜〜!!
ミラン先制にほっとし、すごくうれしかった。
カカとセードルフが手をつないでベンチ付近に駆け寄っている。
アンチェロッティ監督も手を叩いて喜んでいる。ガッツポーズだ。
浦和のサポは、仕方ないとあきらめたのか、騒がずに結果を受け入れていた。騒がないのは偉いと思ったわ。

  永井のFK。ミラン選手の出足の良さが目に付いた。
  この写真でも、走り出しているのはミランの選手。


この1点は、3点ほどの重みがあった。
だって、ミランからは点が取れそうになかったから。
ゴール前にボールを入れても、浦和のFWよりも早く体を入れてボールを奪ってしまうミランのDF達。
浦和にしては、よし来たと待ち構えたところに、後ろからずる込みされる感じだろう。
蹴った瞬間にボールが到達する場所がわかるようだ。
それなら、なんで浦和のFWはずる込みされないように、前へ出られないのかと思うが、読みの経験とか判断の速度が違うのだろう。

1点取ればミランは十分だった。
それからは、無理をせず、ゆっくりとボール回しをしていた。
心は3日後のボカとの決勝なのだろうか?体力を温存しているかのようだった。ケガ人を出さないためでもあるのか。
悲しいことに、このゆったりしたパス回しに浦和は翻弄されていた。
チェックに行っても奪えないし、支配率も下がってきた。
せっかく奪えても、その後ミランの選手が体を寄せると簡単にボールを奪い返されてしまった。
浦和が時折シュートを放っても、ミランの守備陣は“ジダの守備範囲だから安心”と見切っているのか、むしろシュートをさせている感じだった。必要以上にチェックに来なかった。
1点を入れてからが、ミランだった。
  Mr.ミランのマルディーニが登場し、スタジアムは沸きに沸いた。

余裕の時間稼ぎ、22分間。
せっかくだから、インザーギのゴールを見せてよと期待したが、ミランが再び本気になることはなかった。
今年度で引
 ピルロのFKは、惜しくもポスト左へ。

退となるマルディーニを投入するなど、ミランベンチはファンサービスまでしてしまった。(これはうれしかった。ものすごい歓声と拍手だった)

そしてそのまま試合が終了してしまった。

点差は1点だけ。1-0なら、惜敗のスコアだ。
が、3-0の点差に思えた。完敗だったのだ。

浦和は、守備では数的有利に持ち込んで、足で走力でよ
  真っ赤なサポ席。1階はもっとすごい。

く守ったと思う。プレスが利いていた。
力の限りを出し尽くしただろう。
だけど、ドリブル突破は1度もなかった。
パスが裏をついてシュートすることはあっても、得点の匂いがなかった。
攻撃のバリエーションがなかったというより、守備に重点を置いたので、攻撃にまでまわらなかったという印象だ。
あれでは勝てない。

1対1では力の差を感じた。
ボール扱いもミランが格段に上だった。
ボールを持った時の落ち着きが全然違っていた。

 試合終了後の選手達。カカにはカメラが密着。


負けは当然の結果だが、浦和はよくがんばったと思う。
鈴木がもう1度戦いたいと語ったように、欧州チャンピオンと戦うのは夢でも何でもなく、がんばれば手が届く距離にあると気づいたのは、選手がジャンプアップするきっかけになるだろう。
世界に近づけるチャンスがあるのは、大きな励みになるだろう。
アジアのチャンピオンが欧州のチャンピオンと戦えるとは、何て幸運なことだろうか。
ミランのスピード、プレッシャーを身を持って体感し、Jよりもアジアよりも1段高いプレーを意識するようになったことの意義は大きい。
Jの中だけで満足するわけにいかないのだ。
見る側でも、日本人が、代表の試合だけじゃなく、クラブチームに目を向けるようになれば、この日の効果は計り知れない。
きっとこの先のJのクラブチームに、多大な影響を与えるはずだ。
たとえ、Jの中でレベルの差が開こうとも。
阿部みたいに、より上を目指して浦和のような上位チームに移籍すればいいのだから。


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