2006年W杯ドイツ大会への期待
俊輔念願のW杯。27歳という、サッカー選手としてピークで迎えられる大会。
前回は、トルシエの構想から外れたのと、ケガをしたため出場できなかった。
今回は、どうにか予選を勝ち抜けて、自力で出場をもぎ取った。
俊輔が世界を相手に、どの程度やれるのか?
スルーパスで相手の陣営を、きっと切り裂けるだろう!
これが期待せずにいられようか!!
俊輔活躍ならず
結果として、俊輔は何もできなかった。
直前で、39度を超える発熱や、左足親指の爪をはがすというアクシデントがあった。
明らかにコンディション不良だった。
無念で残念でたまらない。
この日のために、4年間じっと待ったんだよ。
光と栄光の中に身を置くことを信じて、精進して待っていたんだよ。
久保に比べれば、まだいいと言えるのかも知れないが。。
できることなら、時間を巻き戻していい状態で試合に臨んでもらいたかった。
普通なら、ここでスタメン落ちになってしまっていただろう。
が、出場した。
実際のパフォーマンスも、いつもより遥かに低調で、いつ交代させられてもおかしくなかった。
だけど、ジーコはずっと使った。
俊輔ファンでさえ、交代では?と思えたのになぜ??
消耗していたFWからの交代となった。
結局俊輔は試合から消えた場面が多く、動きも緩慢で、いいパフォーマンスができなかった。
なぜ俊輔が交代されなかったのか
「こんなはずじゃなかった」
私は思ったし、日本じゅうもそう思っただろうし、何よりも俊輔がそう思っただろう。
体調が悪いのだから、ジーコが早めに交代してくれれば、まだ傷は浅かった。
けれど、最後の最後まで起用し続けたために、まるで俊輔のせいで負けたような風潮になってしまった。
私も、いつもの俊輔のプレーが見られないことに落ち込み、脱力し、なかなか立ち直れずにいた。
俊輔の代わりができる選手--、小野やオガサに任すことはできなかったのか。
俊輔がダメとわかっていても、使い続けなければならなかったのだろうか?
これは、FWの決定力不足と、酷暑の中走り続けたことによって、先にFWを交代せざるを得なかったため、俊輔の交代が見送られたんだと思う。
俊輔はボールに触れる回数が少なく、彼にボールを預けるはずの中田が、俊輔を飛ばして前線にフィードするのが目立った。
時折ボールに触れる時は、バックパスが多いとはいえ、中盤でボールをキープし、ゲームを落ち着かせようとする意図が明らかだった。
その時気温35度。ピッチでは体感温度が40度だったのではとされている。
試合は90分だ。
最初から飛ばしていると、後半バテる。
後半に仕掛けるために、ペースを落とそうとしたのではないか?
実際、日本は今までは前半は相手の出方を伺うような、抑えた攻撃が多かった。
そして後半、一気に仕掛けていたのだ。
なのに、前半から飛ばしていたために、FWは走れなくなってしまった。
中田が中心のサッカーに
ここで思う。
なぜ中田は、今までとは違う、ロングパス多用のサッカーをしたのか。
FWが追いつかないようなパスを連発して、無駄にFWを疲れさせたように思えてならない。
ジーコのサッカーは、中盤で繋いでからサイドに送り、サイドからのクロスに反応するサッカーではなかったのか?
実際、決定的な場面はサイドからの崩しによってからだったではないか。
結局、中田の俊輔に対する信頼が、コンディション不良によって崩れ、代わりに中田がゲームを作ろうとした結果、チームがバラバラになったように思う。
試合後の選手たちの「当惑」「絶望感」「悲壮感」がそれを物語っている。
単に力が足りなかっただけでは、反省点を口に出したりと、もっと多弁だったはずだ。
口に出せないことがあったの違いない。
自分達の至らなさと準備不足、監督や他の選手への批判を避けるために、試合後の言葉が少なかったんだと思う。
また、あとで発表された、「中田の引退発言」によって、中田が最後で自分の思う通りのプレイをしたかったんだなと納得した。
それがいいかどうかは別として。
ジーコ采配の失敗
俊輔の受けた「絶望感」を思うと、胸が痛くなる。
マスコミから注目されたし、相手国からも要注意とマークされていた。
プレッシャーはW杯にはつきものだから、跳ね除けようとしたが、何もできなかった。
「俊輔のせいで負けた」と言われた。
バラックがW杯直前の親善試合で欠場したんだから、俊輔だってマルタ戦を欠場してコンディションを整えれば良かったのに。。
ジーコの采配が恨めしくも思える。
あとで、俊輔が欠場を申し出たのに却下されたのを知ると、なおさらだ。
なんだかんだ言っても、ジーコの采配と選手起用の悪さが敗因だと思っている。
いい試合もできるんだから、実力のないチームではない。
コンスタントに実力を出すことができないのが問題なのだ。
それは、ジーコには一貫した戦術がなかったため、チームとして成熟しなかったのが原因だ。
あと、つながり具合だ。
選手個人個人のレベルでは、一生懸命にやっているのがすごくわかった。
けれど続かないのだ。連動性がないのだ。
サッカーはチームプレイだ。ひとりではできない。
ブラジルがなぜ負けたかを考慮に入れる必要があるだろう。
あれは、動けないロナウドとアドリアーノをFWにしたため、ロナウジーニョが執拗なマークを受け、機能しなかったのだ。
もし、シェフチェンコのように、FWが動いて突破し、動いたためにできたスペースにロナウジーニョが詰めることができたら、楽に点が取れただろう。
フランス戦では、FWをロナウド一人にし中盤を厚くした。FWの動きが必要なのに、パレイラ監督は逆の采配をしたのだ。
結果、フランスの守備ラインを高くされ、ゴールの近くまでボールが運べなかった。ボール支配率が高いにもかかわらずだ!
守備ラインをこじ開けるには、個人の能力よりも、全体の動きによって右に左に展開する必要があると痛感した。
日本の連動性のなさは、直前練習で連動に重きを置かず、シュート練習ばかりやっていたジーコの不可解さの結果と思えてしまう。
およそ攻撃や守備の修正がなされたとは思えないのだ。
連携の確認や、守備ラインの徹底など、やるべきことはいくらでもあったろうに。
勝つ条件
W杯で勝つには、点を取られないことが必要である。
日本人が1対1で勝てる体格を有しているのなら、何も言うまい。
が、日本人は当たり負けするし、足の長さがない。
ではダメかというと、そうでもない。そのカギは、カンナバーロが見せてくれた。
イタリアの主将、カンナバーロは、175cm・72kgと、宮本よりも小さい。
けれど、スピードと集中力があり、読みが優れ、“絶対止めるんだ”という意志が強い。
彼のスライディングが、再三イタリアのピンチを防いだ。
これだ!!
身体の面は、能力でカバーできるのだ。ボールに詰め寄るのだ!棒立ちじゃいかんよ。
あとは、マークの受け渡しや、制空権を取られたあとのセカンドボールをいかにして拾うかを徹底することだろう。
点を入れないと勝てない。
日本は、俊輔のセットプレー頼みだった。
W杯ともなると、簡単にゴールの近いところでFKをくれない。
が、決勝のイタリアのCKからのマテラッツィのヘッドや、イングランドのクラウチを見ると、長身選手はやっぱり有利。
セットプレーで直接ゴールを狙わなくても、ターゲットになれる選手がいれば頼もしい。
そういった点で、平山を鍛え上げる必要があると思う。
それと、流れの中での得点だ。
ポルトガルの試合を見ていたら、華麗なパスワークに、両サイドからのドリブルの突破が絡められてて効果的だった。
ポルトガルは右と決めたら右からだけしかクロスを上げなかったが、右サイドから左サイドへのサイドチェンジやポジションチェンジ(そんなことできるのか?)があれば、もっとDFを振り切り、的を絞らせなかったのではと思う。
サイドチェンジとドリブル。
ワントップで中盤を厚くした布陣なら、できないことではないだろう。
↑のは極端な例だが、今までやってきた攻撃パターン(@中盤でのスルーパスでDFを置き去りにし、FWがシュートする A中盤→サイドからクロスを放り込む)を変えてみる必要はあると思う。
そういった点で、ドリブル突破のできる松井が必要である。
〔追記〕今日JOMO杯を見て思ったのは、フェイントの動作が大きくて遅い。W杯を見慣れた目には、緩慢に見えた。
あれを、体のキレで一瞬でDFを置き去りにしなくっちゃなぁ〜。
それと、DFに当たって自分の前にボールがこぼれてくることもあるんだから、常にゴールを意識して用意してほしい。
俊輔の生き残る条件
俊輔が活躍できないまま2006ドイツW杯の幕が下りてしまったが、私はもちろん俊輔がこのまま終わる選手ではないと思う。
監督がオシムに代われば、ジーコのように優遇はされないだろう。
欧州でプレーをしているため、国内での親善試合にはなかなか出られないだろう。
俊輔が代表に選出される可能性は低くなってしまう。
それでも俊輔は必要だ!!
俊輔の卓越したゲームを組み立てるパスセンス、ゲームを俯瞰した目は得がたい。
1本のパスで、一気に局面を変えることができる。
正確だし、チャンスメークができるとなると、武器になる。
今回のW杯を見て、トップ下が司令塔という時代は過去の遺物になったと痛感した。
トップ下は、セカンドアタッカーで、いわばFWである。
むしろゲームを作るのは、ボランチでレジスタとして機能できるのだ。ピルロがそうであったように。
本当なら、俊輔にセカンドアタッカーとしてゴール前に常に顔を出すことを希望するのだが、レジスタの方が生に合っているような気がする。
俊輔は走らないし、守備が苦手というイメージがあるが、本当はよくボールを追っている。スタミナはチームの中でもある方だとの記事も目にした。
守備は当たりにいかない面があるので、当たりに行く福西のような選手と組ませるといい。
もしも、レジスタとして機能すると、ポジションがかち合うのは小野だ。
小野と俊輔のコンビネーションはいいから、できれば共存してほしい。となると。。俊輔はトップ下なのか。。
う〜ん、パサーは二人はあり得ないだろう。
走りながら他の選手のスペースを作り出せる俊輔は重宝するだろう。
果たして、オシムはどのような布陣を考えているのだろうか。
思い切り若返りを狙ってくるかも知れない。それに経験者を混ぜるかも知れない。
どのような布陣になろうと、俊輔の代表入りを願う。
CLで!!
セルティックは9月12日にCLを戦う。
ハートソンが移籍し、ロイ・キーン、ダブリンが引退したが、チェルシーからヤロシク、ハイバーニアンからライオダン、フェイエノールトから19歳のスノなど、確実な補強をしている。
心配したペトロフの移籍はないみたいなので、俊輔は安定したプレーを見せてくれるだろう。
俊輔に合っていると思われる、セルティック攻撃が、どの程度欧州の強豪相手に通用するのか楽しみである。
W杯よりも、CLのバルサ、ミランの戦いぶりが攻撃的でホットでおもしろかったので、今や興味がこちらに移ってしまった。
ここで、俊輔らしい、中盤でのつなぎと、サイドチェンジ、中央への切り込みなどで活躍できれば、W杯の借りが返せる。
真の実力を見せてくれぇぇ〜〜!!
その前に、7/29からSPLが始まるんだった。
こちらを勝ってもらわにゃ〜。レンジャーズの二の舞は困るなぁ〜。
|