Natural2というゲェム

ジジイが死んだ・・・・・・・。
最後に会ったのは十年前、母の離婚とそのゴタゴタに巻き込まれて、自分も随分やさぐれた時期である。
この時、短い間であったがジジイの家に世話になっていたのだ。
お互い口を開けば悪態をつきまくり、祖父と孫という関係より、むしろ対等の友人のようだったと最近言われたことがある。
知らせを聞いたのはアメリカの空の下だった。
自分は取材を終え、大至急日本に戻ったのである・・・・が、看取ってやる事は出来なかった。
仕事で来ている以上、ともかく仕事を終わらせなければ戻ることなど望むべくも無い。
葬式にも出ることすら出来なかった。
近所の人に、随分迷惑をかけたのではないかと思う。
ジジイの遺言に従い、家・・・、と言うより屋敷と呼んだほうが良いだろうそこを継ぐ事になった。
それと同時に、二人の家族が増えた。
ジジイが引き取った孤児の双子だ・・・・・・・。
ジジイは、
「昔の想い人の孫だからな」
とか言っていたのを思い出した。
ジジイにもそんな思い出があったのかと、なにやら感心してしまった事を覚えている。
この二人の双子にも当時の俺は出会っている。
わんぱくでてこずらせてくれた長女、いつも後ろをちょこちょこついて来たおとなしい次女。
10年も過ぎてしまった今、果たして俺の事なんか覚えているだろうか?
長い間離れたままだった俺を許してくれるのだろうか?
尽きることの無い不安が胸にあったことは正直に認める。
この先、どんな事になるのやら・・・・・・。

後輩と遅筆な作家に見送られ、職場を後にする。
道中、再会した時にどんな顔をしたらいいのか分からないうちに屋敷に着いてしまった。
雪の中に建っている屋敷は夜だと言うのも手伝ってか、記憶の中の風景とあまり差異は無い。
どうしようかと思案していると、庭のほうからとびきり大きいくしゃみが聞こえた。

ぶぇーっくしょん!!

誰か庭に居るらしい。
生垣から見渡すと女の子が一人立っていた。
さっきのはおおよそ女性がすべきくしゃみでは無さそうだが、した本人のようだ。
どことなく昔見たおちびちゃんに似ている気もする。
悩んでいてもしょうがないので声をかけてみることにした。

数分後、俺と千紗都はリビングにいた。
お互いがお互い、顔がわからなくなっていたらしく、俺とわかってもらうのも千紗都とわかるのにも、少々時間がかかってしまった。
暖炉の前で膝を抱え、じっとこちらを見ている千紗都の姿が目に入る。
彼女は俺を暖かく迎えてくれた。
きっと俺に文句のひとつも言いたかっただろうと、ある程度覚悟が出来ていた俺には拍子抜けの事態だ。
そして俺を責める代わりに千紗都は自分の服に手をかけたのだった。

翌朝、爽やかな朝である。
部屋のドアをノックしているのに中から反応は無い。

「兄さま、起きてらっしゃいますか?」

ノブに手をかけると鍵はかかっていない。
千紗都はそのままノブを回しきり、部屋に入った。
部屋の主はいまだ夢の中だ。

「兄さま、もう朝ですよ」

その声はあくまで優しく、筆者辺りは多分これでは目が覚めないとおもう。
だがカーテンを開き、朝日が差し込んできたせいか、目を覚ましたらしい。

「んあ、千紗都か?」

覚醒には至っていないようだが・・・・・。

「おはようございます、兄さま。」
「ん〜、おはよう千紗都。」

やはりまだ寝ぼけてるらしい。
千紗都、ここがチャンスだ!
(なんだそりゃ?)

「兄さま、一緒に寝てもいいですか?」

一瞬開く、何とも言えない間。
何とか一生懸命思考を巡らせ、俺の口からやっと出てきた言葉は、

「襲われてもいいならな。」

だった。
自分で言ってても、随分セクハラな事を言ってんなーとか、働ききってない頭で思っていたのだがこれ以上に有効なカウンターパンチは無いとも思っていた。
そう、普通ならばこんな事を言われれば恥ずかしげに断ったり、冗談で済ますところなんだろうが千紗都にはそんな言葉は通じなかったのである。
俺のベッドにすすっと近寄ったかと思ったら、次の瞬間には自分の服に手をかけ脱ぎ始める姿が映ったからだ。

「コラ、今のは冗談に決まってるだろうが!おい、千紗都、お前人の話を聞いてないだろう!」

殆ど呆気にとられてる間に千紗都は人の布団に潜り込む事に成功していた。

「千紗都ー、兄貴起こすのに一体何分かかってるんだよ、朝ご飯冷めちゃうぞ」

廊下から聞こえるのは空の声。
まずい、はっきり言ってこの状況はまずい、昨夜の再来になってしまう。
千紗都をさっさとベッドから追い出そうと考え、簡単な手順を思いつき、さぁ実行!
と思った一瞬である。

「あと30分したら行くからぁ」

と千紗都は言い放つ。
おいおい勘弁してくれよ・・・・・。

「一体何やってんの?」

なにやら不信げな声がドアの向こうから聞こえてくる。
状況は不利どころか、もうどうやっても悪い方にしか転ばない事がわかった時点で、全ての回避行動を諦めた。
と同時にドアが開き空が部屋に入ってくる。
状況を目の当たりにして一瞬目を点にした後、こう言った。

兄貴、朝から千紗都をベッドに連れこんで何やってんのっ?!

結局すぐベッドから起きだして、不満げに文句を言う千紗都の背中を押しながら、怒る空の居る食卓に向かうのだった、合掌。

朝食をみんなで囲みながら空に文句を延々聞かされ、反論する余地はあるにはあるが言ったら最後、今日一日中怒られかねないので適当に相槌を打って誤魔化し、嵐が過ぎ去るのを待つ事とした。
それにしても昨夜はやばかった。
危うく雰囲気に流されて・・・・・・、というところで空が帰ってきてくれたからだ。
しかし折り悪く発見された時の状況は、ベッドの上で半裸の千紗都と俺が向き合い、さぁこれから手を出すぞという現場を見られたのだ。
きっと空の俺に対する評価と言うのは雪印、三菱自工の株価ばりに下がりっきっていることだろうと思う。
説明が少々遅れたが、昨夜どえらいくしゃみをし、あまつさえ人の貞操を狙うが如き行動を繰り返しているのが「鳥海 千紗都」
双子の姉側である。
そして千紗都が俺に襲われそうになっているところを何度も救っている(?)のが「鳥海 空」
双子の妹側である。
ジジイが死んだとき、葬儀はこの二人を軸に近所の人の協力で執り行われたそうだ。
だが、この二人が実の家族ではなく、孤児というのは以前に話したとおりだ。
この二人が天涯孤独になった時、引き取ることを決め、家族にしたのがジジイである。
そのジジイ亡き後、この二人は俺以外頼れる者はいなくなった。
そして俺はこの二人を見守る役を引き受けたという訳である。
それにしても、10年というブランクを感じさせないこの和やかな雰囲気は何なんだろうか?
空の声を右から左へ聞き流す間に、そんな事を思ったのである。
その理由を俺が知るのは、もう少し後の話である・・・・・。



とまぁ、話の出だしを自分なりの文章でまとめてみました。
基本部分はDUOシナリオから引っ張ってきてます。
理由は簡単、このシナリオが一番面白いからです。
ただぁし!
このシナリオはある程度やり込んでいないと発生しないのです。
(ななんと?!)
発売されて随分経ちますし、既に皆さん新しいゲェムを楽しんでらっしゃいますでしょうが、今頃はまってしまった人間もまぁいるということでご勘弁くださいませ。
それにしても電撃大王で「なちゅ」のマンガやってると思ったら、その翌月には前後編の二ヶ月連載で「なちゅ2」までやるたぁ思いませんでした。
まだしばらく私も何かネタを考えてますんで、もう暫しお待ちくだされ。
次回こそはSSだ!!
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