安全衛生3分間スピーチ(7)−1

ある労災から・・・フオークに激突
 これは私の働いていたある電機製品製造工場で起こった労働災害の実例です。夕方の四時ころは製品の出荷準備で、トラックに荷を積み込むフォークリフトが何台も走り回り、まるで戦場のような混雑でした。リーチ型のフォークリフト(立って運転する)を運転していた作業者がトラックへの製品の積み込みを終えて後方へ移動したところ、約八メートル後方で製品の積み込みのために待機していた他のフォークリフトのフォークが、後方へ移動してきた作業者の右足アキレス腱のあたりに激突してしまいました。直ちに救急車を手配するとともに、他の作業者は救急箱を取りに走りましたが、なぜか手間取っていました。被災者の苦しそうなうめき声、何ともやるせない時間が過ぎていました。ところが、近くにいた軍隊で衛生兵の経験のあるパート勤務の男性が、とっさに、段ボール箱を筒状にして右足にかぶせ、トラックの積み荷を固定するム紐を巻きつけて応急手当をしてくれました。被災者のうめき声もやや小さくなりました。これを見ていて、普段からの救急法の訓練がいかに重要かということを、身に沁みて感じました。
やがて救急車が到着しましたが、その三、四分間がいかに長く感じたことか。私も救急車に同乗して病院に向かいました。ところが、できるだけ近道をとの配慮だったのでしょう、舗装していない田舎道を走行したため、道路の凹凸にタイヤが落ち込んで振動するたびに被災者のうめきが起こり、同乗していた私も生きた心地がしませんでした。
 病院での検査や治療が行われましたが、かかとの複雑骨折でした。翌日から、フォークリフト運転時の指差呼称の徹底、停車時のフォーク下降、救急用具使用法の訓練徹底等を行い、また、リーチ型フォークリフトの脚部に防護扉の取り付けをしました。しかしながら、他社の現場を診断等で拝見すると、この労災の発生場面と同じ状況の作業現場がよくあります。フォークが足に当たるという、ごく確率の低い労災
ですが、結果は重大です。リスクを低減させる努力をする必要があると思います。
(本橋 秀一郎)

ー以上ー




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