5131形は、1981年に2編成製造され、1983年までに14両7編成になった。
5331形は1981年末に一編成、1983年までに10両5編成製造された。
この2形式の違いは、電機子チョッパ制御装置のメーカーが5131形は東芝、5331形は三菱電機というもので、併結も可能に仕様を揃
えてあったので運用上は違いはなかった。
当時、「保育社カラーブックス日本の私鉄12阪神」1982年2月発行に新品の写真が載ったが記事はなく、「ヤマケイ私鉄ハンドブック
5阪神」1982年6月発行に若干の記事付きで紹介されたが、月刊鉄道雑誌では無視された。「鉄道ピクトリアル1985年8月阪神電気鉄道特集で、この形
式の扱いは小さく、「台車、主電動機は5231形から転用」と記載されたことからか、どうもこの形式は軽く扱われているような気がしてならない。
登場時の運転台上の「前パン」は下方交差の小型ながらも、ジェットカーの本流を感じさせ、3901形と同じ阪神通勤型デザインの完成形
の車体と行き先表示板で、筆者は「ジェットカーが蘇った」という印象を持ったものだ。
金属ばね台車も保線の行き届いた阪神では問題にならず、むしろ待避線に入るときの(他電鉄と比べて)急なカーブを通過するときのローリ
ングに対しては程よい吸収をする。空気の抜ける音もない。主電動機の出力差などは乗っていてわからない。
しかし筆者が嫌いなのはサイリスタチョッパの大きなブザーのような音である。この音により折角の加速時、減速時の日本一のモータ音がか
き消されてしまうからだ。
ともかく外観は全ての阪神電車の中でもっとも美しい車体だった。写真を見て欲しい。これぞ電車だ。
しかし、1989年以降5001形同様固定編成化された際、編成中二つあればよいパンタグラフは中間車側に移り、同一形式ながら制御車
と中間車が2種類づつ生まれた。これは5001形も同じである。外観上は5001,5131,5331は同じになってしまった。
なぜ前パンは嫌われるのか?架線との摩耗粉が前面に付くからかわからないが、何とか復活して欲しいものだ。(と思うのは筆者だけ?)
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