新・闘わないプログラマ No.98

ケーブルとコネクタのお話


USBのLANアダプタなるものを買いました。
今まで使っていた富士通のノートパソコンも、こんど買ったIBMのやつも、PCカードスロットがひとつしかありません。チャンドラシリーズのように3つとまでは言わないまでも、せめて2つは欲しかったのですが、なかなかそういうノートパソコンが無く、妥協しました。
私の場合、基本的にはPHSのデータカードを常時差していますので、このノートパソコンをLANに接続しようとすると大変だったのですよね。電源が入っているとき(もしくは、サスペンドとかハイバネーションしているとき)には、いちいちPCカードを停止して、それからカードを差し替えて、なんてやらなくてはいけないですから。
なんかいい方法がないかなあ、などと思っていたのですが、USB接続のLANアダプタなる製品があることを知り、試しに買ってみました。お値段は4千数百円でした。PCカードのやつより高いですけど、まあそれほど高くも無いですし、ダメモトということで。
WindowsNTでは使えないし、Linuxでもまだ使えなさそう(ですよね?)なので時期尚早かな、などと思ったのですが、いやあなんのなんの、Windows98で使う分には本当に便利ですね。パソコンのUSBコネクタにケーブルを繋ぐだけで、自動的にLANが使えるようになるし、非常に重宝しています。早くLinuxでも使えるようにならないかなあ。

私、USBって使ったのは初めてなのですが、ホットプラグ(コネクタを差せばOSが自動的にデバイスを認識するし、コネクタを抜けば認識しなくなる)って便利ですね。ただ、気になるのは、ネットワークやらストレージ系のデバイスのように、いきなり抜いちゃまずいような場合って、大丈夫なのでしょうか。一応、マニュアルには、「ケーブルを抜く場合には、ネットワークアプリケーションはすべて終了してからにしてください」などと書いてありますし、実際そのとおりなのでしょうけど。PCカードのように、「カードの停止」をしてから抜きなさい、という方が正しいような気もします。
あと、USBを使っていて気になったことがいくつかあります。
まず、コネクタにロック機構が無い。そのまま、ケーブルをまっすぐ引っ張ると抜けてしまうのですが、これはどうしてこんなコネクタにしたのでしょうね。モジュラプラグのような簡単なロック機構でもいいですから、付けておいたほうがいいような気がするのですが……あ、ホットプラグが可能だから、間違って抜けちゃったらもう一度差せばいい、ってオチだったりして ←んなバカな。
コネクタのロック機構がついていないというは、IEEE1394(FireWire)もそうだったような気がしますけど、ロックをつけないというのが流行りなのでしょうか? でも、私のような仕事をやっている立場の人間から言わせれば、ケーブルが外れやすい、というのは致命的だったりするのですよね。1台2台のパソコンならともかく、何百台、何千台もの装置があって、それらの間をたくさんのケーブルで接続しているような場合、ケーブルを引っ張っただけで簡単に抜けちゃうようなコネクタは勘弁して欲しかったりします。抜けたことに気づかなかったり、抜けちゃったので元に戻そうとしても、そもそもどこに接続されていたケーブルなのか分からなかったりすることも多いですから。
あと、このコネクタ、もうちょっと小さくならなかったのでしょうか。いや、今でもでかい、というわけでも無いのですが、せっかく新しい規格なのですから、のちのちのことを考えれば、コネクタが小さいほうが有利ですね。たとえば、小さなPDAなんかに搭載する場合とか。
それとケーブルもちょっと太いですかねえ。せっかくシリアル伝送なのだし、もうちょっと細くならなかったものなのでしょうか。USBの場合、ケーブルの規格は二種類あるそうですが、12Mbpsの高速な伝送を行うほうのケーブルは、STP(シールド付きツイストペア)ケーブルなんですね。よく知らないで言っていますけど、本当にシールドが必要なのでしょうか? 規格が違うから単純には比較できないことは分かりますが、100BASE-TXあたりだってUTP(シールド無しツイストペア)ケーブルですよねえ。あのシールドのせいで、ケーブルがまた太くなってますから、出来ればUTPのようなケーブルを使う規格のほうがよかったような気がします。
ううむ、なんかUSBの悪口ばっかりになってしまったような気もしますけど、基本的には悪くない規格だと思います。ただ、せっかく新規格にするんだったら、もうちょっと気を使ってもいいのではないかなあ、などと思うわけです、特にロック機構。いや、もしかしてロックが無いのは、私などが知る由も無い深い理由があるのかも知れませんが……もし、ご存知の方がいらっしゃいましたら、教えてください。

コンピュータのインターフェースの今の流行りは、光ファイバやツイストペアケーブルを使ったシリアル伝送でしょうか。シリアル伝送というのは、一本の信号線を使って情報を(1ビットづつ)順番に送るやり方です。回線やLANでは昔から使われている方法ですし、有名なRS-232Cも「シリアルポート」という名前で知られている通り、シリアル伝送です。
「シリアル伝送」に対して「パラレル伝送」ってのがあります。これは複数の信号線によって、同時に複数のビット(8ビットとか16ビットとか32ビットとか)の伝送が出来るわけです。信号線の本数だけ、同時にデータを伝送できますからシリアル伝送よりも効率がいいわけです、理屈の上からは。
ところが、最近はどちらかというとシリアル伝送の方が主流になりつつあります。私もこういう方面の専門家じゃないので、話に聞いただけですけど、パラレル伝送は、高速なデータ伝送には向かないようです。高速なデータ伝送を行おうとすると、信号線どうしが干渉しあって(クロストークって言うんでしたっけ?)うまく行かない、と聞いたことがあります。シリアル伝送なら、信号線が1本しかありませんから干渉しようが無いそうです。
というわけで、USBにしてもIEEE1394にしても、シリアル伝送になっているんですね。まあ、ユーザ側から見ても、シリアル伝送の方が、ケーブルは細くて扱いが楽だし、コネクタも小さくて、抜き差ししやすいし、いいことが多いですよね。

いま、家では、ひとつのラックの中に、パソコンやら周辺装置やらを入れています。パソコンは、PCが1台、Macが1台、あと、先日現役引退したノートパソコンをファイルサーバにしようとしていまして、それが1台。あ、あとこれは置いてあるだけで繋いでないですけど、PC98が1台。その他に、周辺装置がいろいろあって、ラックの裏側は、もうわけがわからない状態になっています。
特に問題なのがSCSIのケーブル。あーんな太いケーブルがあちこち飛び交っていて、しかも、MOとかCD-Rは、PCとMacで共用しているもんだから、簡単に抜き差しできるように、なんて考えて配線しなくちゃいけないし、もう、わけがわからない状態と化しています。しかも、SCSIのコネクタは何種類かあって、手持ちのケーブルでうまいこと全部を繋ぐ、とかなるともうパズルのようなものだったりします。
というわけで、私としては、USBとかIEEE1394とか、流行ってくれるともうちょっと配線が楽になるんじゃないかなあ、などと期待しているわけです。なにせ、あの配線、ばらばらにしてもう一度配線しなおす、なんてことしたら1日じゃ絶対に終わらないと思うし。


1999.10.11 補足
USBのコネクタになぜロックが無いのか、という件に関して、何人かの方からメールをいただきました。
その中で「わざと抜けやすくなっているのではないか」というお話がありました。要するに、コネクタにロックがあると、ケーブルを引っ掛けたときにケーブルや接続されている機器にダメージを与えるだろう、だったら簡単に抜けるようにしておいたほうがいい、ということです。確実な情報というわけでは無いですけど、確かに納得性はありますね。民生用の機器と考えるならば、そのほうがいいですね。ノートパソコンに繋いだUSBケーブルに足を引っ掛けてしまった場合、ケーブルが抜けるほうが、ケーブルが抜けずにノートパソコンが机から落ちてしまうよりずっといい。
開発者側の意図はわかりませんけど「USBならそれでもいいのかな?」などと思い始めました。ただ、IEEE1394はやはりロックが無いとまずいのではないか、とは思いますが。

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