新・闘わないプログラマ No.82

プリンタ


最近はプリンタを使う機会がめっきり少なくなりました。家でもそうですけど、仕事でもほとんど使わないですね。
仕事の上では、電子メールやグループウェアが普及して、わざわざ印刷しなくても、情報をそのまま送れるようになったのが大きいです。いちいち紙にしておかないと信頼できないというおじさん方はともかく、我々のような若い者(嘘)は、そんなことしないですから。印刷物にしてしまったものは、文字列検索もやりづらいですし、いいことなんか無いですからねえ。
まあ、なんでも紙にしてファイリングしておくことに無上の喜びを感じる人もいますけど、単なる自己満足の世界だなあ、などと思うわけです。資源の無駄遣いだし。

プログラミングするときに、ソースを必ずプリントアウトしてデバッグ等を行う、という習慣も最近では無くなってきていますね。特に、UNIXやらPCやらの世界では、必要になったときに必要な部分だけをプリントアウトする、ってのが主流でしょうか。
私は、新人の頃はメインフレームの仕事をしていました。そこで、アセンブラを使って、通信関係やらデータベース(などと言うほど高級なものでは無かったですが)関係のプログラミングをやっていましたが、当時は、プログラムをコンパイル(アセンブラだから本当は「アセンブル」か)すると、ソースとコンパイルの結果が必ずプリンタに出力されるようになっていました。
それがちょっとしたプログラムでも、1回コンパイルすると、100ページくらいは簡単に出てしまうのです。ですから、今では考えられないことかも知れませんが、当時はコンパイルの回数、というのにすごくうるさかったりしました。一人一日5回までしかコンパイルしてはならん、とかいうような制限までされたことがありました ←さすがにこの制限は、いくらなんでも問題がありすぎたので、すぐに無くなりましたが。
それから、メインフレームのプログラム、特にアセンブラで作ったプログラムは、異常終了(IBM用語では「ABEND」←「アベンド」と読む、「ABnormal END」の略らしい)した場合が大変でした。プログラムが異常終了すると、コアダンプと呼ばれる、その時点におけるメモリの内容が16進で印刷されるんですね。これが尋常な量じゃない。そのプログラムがどれだけメモリを使っているかによって出る量は当然違ってきますけど、下手すると、数千ページにわたってこのコアダンプが出力される。特にアセンブラのプログラムは、このコアダンプを見ないと、プログラムがどこで、どういう理由で、異常終了したか調べることが出来ないので、どうしても必要になるんですね。実際には数千ページあっても、見るのはほんの一部分ですが。
ちなみに話が横道に逸れますが「コアダンプ」の「コア」って言葉、特にメインフレームの世界では、メモリ(というか主記憶)のことを指していました ←今はどうか知りませんが。今のように半導体メモリが使われる前にコンピュータのメモリとして使われていた「コアメモリ」というのが語源だと聞いたことがありますけど、さすがに私はコアメモリは話の上でしか聞いたことがありませんです。そう言えば、UNIXの場合は、このメモリダンプはファイルに落ちますが、そのファイル名も「core」ですね。
すみません、話を戻します。メインフレームを使ったことが無い方の中には、数千ページものコアダンプなんて、印刷していたら途方も無い時間がかかるんじゃないか、と思われた方もいらっしゃるかも知れません。ところがですね、メインフレームって、ものすごく高速なプリンタがあるんですね、毎秒数ページ印刷出来るような ←「毎分」ではありません、「毎秒」です。
だから、ちょっと目を離している隙に、あっというまに数千ページくらいの印刷なんかされてしまうんですね。同じプログラムの2度実行して、コアダンプは1つしかいらないのに2つ出てしまった、とか、ものすごい無駄なことをやってしまったことも、何度もあったりします。あれって、1枚印刷するのにどのくらいのコストがかかるのか知りませんけど、10円/枚くらいはするだろうから……5000ページ出すと5万円ですか……。
まあ、メインフレームでの開発は結構お金もかかる、ということで。

メインフレームの高速なプリンタ、というのに関連した話ですが、メインフレームの存在価値の中で、案外知られていないものに、この高速なプリンタを使った大量印刷があります。
「メインフレームなど時代遅れだ」などと、どっかのソフトウェア会社の会長さんが豪語しているようですけど、大量印刷の分野では、今もってメインフレーム以外ではなかなかうまく行っていないのが現状のようです。UNIXを使ったシステムとかもあることはあるようですが、どうもいまいち、という感じです。
皆さんが手にする、公共料金の明細とか、銀行からのお知らせとか、そういったものはほとんどみんなメインフレームのプリンタで印刷しているんですよね。
メインフレームのプリンタと言うと、昔はラインプリンタというのが一般的でしたけど、今はほとんどがレーザープリンタです。ラインプリンタは、インクリボンを使ったインパクト式のプリンタですが、パソコンなどでよく使われている(た)ドットインパクトプリンタと違って、印字する桁数分だけの活字のセットがあって、それで印字します。ドットインパクトプリンタなどより遥かに高速ですが、はっきり言ってうるさいです。今では、カーボン紙による複写をどうしてもしなければいけないような場合にしか使われていないと思います(ドットインパクトプリンタもそうですよね)。
今は、メインフレームのプリンタを言えば、ほとんどがレーザープリンタでは無いでしょうか。私がこの種のプリンタを見たのは大学の時で、凄いなあ、と思いました。何せ、ラインプリンタと違って文字種が決まっていないので、いろんな文字が、いろんな大きさで印字できる。日本語も印字できる。しかもラインプリンタより高速で、静か。今時のメインフレームのレーザープリンタは早いです。なんたって紙が流れていく速度が速すぎで、何が印字されているか読むことが出来ません。

話は変わって、私は個人的には、プリンタは今まで3台買いましたけど、みんなインクジェット式です。最初はPC98につなぐために買ったCanonのやつです。これは白黒でした。これはそこそこ使いましたね。意味も無く印刷してみたりして。でも、このプリンタ、Windowsのドライバが出なくて、悲しい思いをしたものです。
その後、Macintosh用にHPのカラーのインクジェットのプリンタを買いました。これも当時としては、結構きれいなカラー印刷が出来たので、それなりに満足できるプリンタでした。でも、私が買った後に、値段がどんどん下がっていったのは悲しかったですけど。
その後、写真を印刷するために昇華型プリンタが欲しいなあ、なんて思ったこともあったのですが、先立つものが無く指を咥えて見ているうちに、インクジェットでもかなり高画質の印刷が出来るようになり、EPSONのPM-750Cってのを買いました。今はもっといいのが出ているようですが、これで印刷した写真でも、よく見ないとインクジェットプリンタとは分からないほどの画質です。とりあえず、こんな値段(4万円くらい)で、こんな高画質のプリンタが手に入るのですから、当分、買い換えるつもりはないです。
それはともかく、よくよく考えてみると、昨年の年末に年賀状の印刷をして以来、プリンタを使っていないような気がする。

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