新・闘わないプログラマ No.295

リモートで


Windowsの場合、その操作はGUIでやるのが基本なわけで、何かやろうとした場合、そのWindowsの動作しているPCの前に座って、マウスとキーボードで操作する、ということになります。何を当たり前のことを言っているんだ、と思われるかも知れません。これが普通のアプリケーションの場合、たとえば、ワープロであるとか、表計算ソフトであるとか、webブラウザであるとか、そういうものであれば、GUIで操作することに何の問題もない、というかそれがいいのですが、サーバのソフトウェアなんかの場合には、「操作体系はGUIが基本」というのは、利点より欠点の方が多いのではないか、とも言えます。
たとえばUNIXの場合、そういった操作はコマンドで行ったり、エディタで設定ファイル(テキストファイルになっている)を書き換えたり、ということで行うのが基本です。これでしたら、そのUNIXが動いているサーバ機の前に行って操作しなくても、telnetやsshで遠隔地から操作することが簡単にできます。
これを、Windowsをサーバとして使った場合はどうなるか、と言うと、最近のWindowsはコマンドでもかなりのことが出来るようにはなってきていますし、Windows 2000からはtelnetサーバ機能が標準で付いてきている(らしい…私は使ったことがない)ので、UNIXでやるのと似たようなことは出来なくはありません。とは言え、全ての操作がコマンドで簡単に出来るとまではいい難いですし、そもそも、サーバ機の前に座って操作する場合にはGUIで、遠隔地から操作する場合にはコマンドで、と2つの操作体系を覚えないといけない、というのは面倒なものです。
そうすると、やはりリモートでGUIの操作ができないだろうか、と言うことになるわけです。今の話はサーバの場合ですが、Windowsをクライアントとして使った場合にも、「なんか知らないけどうまく動かないんだよ、なんとかしてくれ」などと、お客さん/知り合い/上司/その他もろもろ、から言われた場合にも、その場に行かなくても調べられる、という利点があります。
こういう風に、外部からGUIの操作を出来るようなプログラムを「リモートデスクトップ」と呼ぶようです。Windows XP Professionalには、このリモートデスクトップ機能が標準で付属しているそうですが、私はXPをほとんど全く使ったことが無いので、これについては知りません。

さて、私の職場でも、このリモートデスクトップを導入しているシステムというのがいくつかあります。Windows XPを使っているシステムは今のところ無いので、XPの標準機能ではなく、別売りの製品を使っています。IBMのDesktop On-Callという製品と、あとは、日立のJP1という統合システム管理ミドルウェアの製品「Remote Control Manager / Agent」というソフトウェアです。
これらはいずれも商品なので、当然のことながら、1台インストールするごとにお金が掛かります(数千円前後)。何百台、何千台にもこのソフトを入れると、それだけで結構馬鹿にならない金額になってしまうわけで、これはなんとかならんだろうか、という話になったときに、「そういえば、VNCというフリーのリモートデスクトップソフトウェアがあったよなあ」と今更ながら思い出しました。「確か、オリベッティが開発したとかなんとか…」と思い検索してみると、もともとはORL(The Olivetti & Oracle Research Lab)というところが開発して、このOSLという組織がAT&Tに買収されてAT&T Laboratories Cambridgeという名前になったものの、そこがまた閉鎖の憂き目に会い、VNC自体はRealVNC Ltd.という会社に引き継がれたようです。

というわけで、このVNC、結構評判もよさそうなので、この機会に試してみることにしました。ソフトウェア自体はRealVNCのサイトからダウンロードして、でもってインストール。インストール時にビューア(操作する方)のみのインストールなのか、サーバ(操作される方)もインストールするのか訊かれて、あとは特に問題も無くインストールが完了しました。サーバは、アプリケーションとして起動させることも、サービスとして動かすことも出来るみたいで、その辺の設定をやって、あとはサーバに接続するためのパスワードを設定するくらいで、あっけないほど簡単に使えるようになりました。
とりあえず、今すぐ仕事で使うような用途は無いので、当面動作確認も含めて、家で使っています。
家のデスクトップPCは「書斎兼機械室兼書庫兼物置」の部屋に置いてあるのですが、この部屋、北向きで暗いし、サーバ機も置いてあるのでうるさくて暑いので、普段はあまり行かないようにしている部屋です。なもんで、この部屋のデスクトップPCを使う場合に、このVNCを利用してノートPCから操作することにしました。途中無線LANが入っているせいか、転送速度が遅くてあまり快適とは行きませんが、汗だくで「書斎兼以下略」の部屋でデスクトップPCを使うことを思えば、はるかにマシ、ということで。しかし、インターネット経由だともっと遅くなるだろうし、そうやって外からアクセスしても実用になるだけの速度が出るものなのだろうか…こんど試してみよう(←言うだけでやらないかも)。

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