新・闘わないプログラマ No.199

不治?


先日喫茶店で待ち合わせをしていたときに、あまりにも相手が来なくてヒマだったもので、雑誌でも読もうかと備え付けのマガジンラックを漁って見たのですが、読めそうな雑誌が全然無い。仕方なく「日経ビジネス」などというのを手に取る羽目に…職場にもこういう類の雑誌は置いてあるのですけど、どうもこの手のは苦手でほとんど見たことが無かったのですけど、まあヒマ潰しに仕方なく眺めてみたわけです。
あのいかにも経営者側の人間の読む雑誌ですよー、という雰囲気がイヤなわけですけど、「特集 電機全滅の真相」というのがちょっと面白いかなあ、と。ぱらぱらめくっていたら、「米国で勝てぬ富士通の苦悩」と題した記事を発見。その冒頭に、富士通の秋草社長の発言を元にこんなことが…(「日経ビジネス」2001年10月8日号 日経BP発行、36ページより)

「3000億円の特別損失を『大した額ではない』と言われると、投資家の立場が無い」。ある証券アナリストはリストラ計画発表の席上で、秋草直之社長が口にした「5兆円企業の富士通にとって3000億円というのは大した金額ではない」という趣旨の言葉に愕然とした。
「情報技術(IT)不況は社長の経営責任を超えた問題」という発言も、投資家の神経を逆なでした。
「秋草ディスカウント(秋草社長は売り要因)」。最近、こんな言葉が機関投資家の間で使われる。度重なる失言や投資家に対する説明責任を財務担当の高谷卓副社長に任せる姿勢。何より5期連続で業績見通しを下方修正するという失態により、富士通や秋草社長に対する期待感は失望に変わり、市場からの信認を決定的に失墜させた。

うわあ、ここまでボロクソに書かれるのも珍しい、というか、なんでこんな記事が載っちゃうんでしょう。だって日経BP社って言えば、コンピュータ関連の雑誌も沢山出しているし、富士通が怒ってそれらの雑誌に対して広告出稿を止めちゃったり、とかそういう不安は無いんでしょうか…無いんでしょうね、こういう記事が出たってことは。
富士通って、私自身では、仕事の上での付き合いはほとんど無かったし、個人的にも、前に使っていたノートPCが富士通製だったかな、というくらいで、あとはあまり縁が無かったのですけど、そうか、こういう状況になっていたんですねえ。ううむ。
こりゃ「2ちゃんねる」あたりでも話題になっているんじゃないかあ、とあちこち見てまわったら、もっと強力な記事が「週刊 東洋経済」に載っているという話題でもちきり。
その話を知ったのが週末だったので、「確か、職場のどこかにあったよなあ『週刊 東洋経済』」と思いつつ、ネタにするために買っちゃいました、「週刊 東洋経済」←620円なり ←こんな雑誌買うの初めて ←なんか自分が「有能なビジネスマン」(藁)…いやいや(笑)、にでもなっちゃった気分。
んで、その10月13日号の「企業レポート 富士通」という記事の中にある「秋草社長に聞く」というインタビューが確かにすごいですね、こりゃ強力です。
(「週刊 東洋経済」2001年10月13日号 東洋経済新報社発行、94ページより)

―就任以来ずっと下方修正が続いている。社長の責任をどう考えるのか。
秋草 くだらない質問だ。従業員が働かないからいけない。毎年、事業計画を立て、その通りやりますといって、やらないからおかしなことになる。計画を達成できなければビジネス・ユニットのトップを代えれば良い。それが成果主義というものだ。
―従業員がやらないから、といえばそうだが、まとめた責任は社長にあるのではないか。
秋草 株主に対してはお金を預かり運営しているという責任があるが、従業員に対して責任はない。やれといって、(社長は従業員に)命令する。経営とはそういうものだ。

すげー。あの、これ、「馬鹿」って言葉使っていいですか? ね、いいですよね。ね。ね。
社長のこの言葉を聞いて、真面目に働こうって気になる「従業員」っています? いやまあ、世の中広いですから、そういう従業員も絶対にいないとは言えないけど、どうしてこういう発言をしちゃう人が社長になっちゃって、しかもずっと社長でいられちゃうんでしょう、不思議といえば不思議。
あまりの凄さに捏造かと思っちゃいましたもん…「2ちゃんねる」情報だと、富士通社内には「あのインタビューには省略があって真意が伝えきれていない」ってな文書が回ったらしいですが、それが本当だとすれば、捏造じゃないってことですね、あのインタビュー。
「やれといって、(社長は従業員に)命令する。経営とはそういうものだ」って、いいなあ。もしかして社長の仕事ってものすごく簡単だったんですか? なんか私でもすぐになれそう、社長。「やれ」って命令すればそれでいいんだもんねー。それで出来なかったら、その従業員に責任を負わせてクビにしちゃえばいいんだもんなあ、ラクな商売だよなー、社長。どこかで私を社長にしてくれる会社、ありません?

さらに、社長の責任を問われて「くだらない質問だ。従業員が働かないからいけない」って、最高。この言い訳、いろいろ使えるなあ。
「御社の製品、最近売れていないようだが」
「くだらない質問だ。消費者が買わないからいけない」
「このプログラム、例外処理がちゃんとしていないようだが」
「くだらない質問だ。ユーザが間違った操作をするからいけない」
「おい、あの資料、まだ出来ないのか?」
「くだらない質問だ。ワープロがハングするからいけない」
「あなたの書いた文章、最近最近つまらないのだか」
「くだらない質問だ。読者が笑ってくれないのがいけない」

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