[ちょっと気になる木の話/問題提起]

前回お話しさせていただいたフローリングや家具等に使われているタモやナラといった材の産地について今回はお話しさせていただきます。
(私なりに、聞いたり調べたりしたことをお話しさせていただきますが、力が至らず間違いや勘違い、思い込み等の記述がございましたらどうぞご教授ください。)

ナラ、タモといった、以前は北海道を代表する家具用広葉樹ですが、国内ではひと昔前から比べるとかなり良材の算出が減っています。原因は、云わずとも乱伐や乱開発によるものです。
基本的に産業的な伐採というのは、皆伐といい、ある一定範囲の森の木をすべて切倒してしまいます。
ある森の中にある、使いたい木を一本だけ伐って運び出すなんてことは、効率的に考えても余程保護されている森の中での、対価的に有用な樹でない限り現実的では無いのです。
一般に広葉樹のほうが用材として使えるようになるまで生育に時間がかかりますが、建築用材に使われるスギ、ヒノキのように植林されることもほとんどなく、ましてや皆伐した後を針葉樹の植林地にされてしまうことさえ少なくありません。

国内で賄えないとなると、その産地を中国に委ねるようになり、それが中国の発展に伴う乱伐の影響により大河の氾濫の被害が大きくなり、中国国内での伐採が制限されると、今度はシベリアのタイガにそれを委ねるようになっているのが現状です。
今、そのシベリアで問題になっているのが乱伐による森林破壊です。
ロシア国内の情性が不安定な為、換金しやすい木材資源というのは、伐採許可以上に木を伐る盗伐の問題も大きくあります。
生育量の少ない寒冷地にあるタイガの乱伐は、森の再生が容易くないのはさほど想像に難しくはありません。
そしてこの広大な森の森林破壊による大きな環境変化は、地球規模でかなりの影響力があると云われ、そこに源流を持つ日本海への影響も少なくはないはずです。
ましてやそこを居住地として暮らす原住民の方々にとっては、死活問題です。

確かにシベリアの森林面積は北米大陸に比べても広大な広さがあります。
しかし、過去に東南アジアの森を破壊し尽くしたことを思えば、いくら広大な森とはいえ、無秩序に伐採を続ければその行く末は想像に容易い筈です。

例えば北米の場合、管理伐採といって、その森の一年間の生育量を越える伐採はしないという方法をとっています。
開拓時代に行なった自然破壊を踏まえ、有用林への考え方は一歩進んでいるようです。

日本国内でも、戦後の拡大造林の影響で森が荒れていることは、周知の事だと思います。

実際、今の時点で人類が住める星は、この地球だけです。
今巷に氾濫する「人にやさしい」というキャッチフレーズは、知らぬうちに<人にだけ>やさしいという言葉に置き換わってしまっているかもしれません。
この地球にヒトだけ残されて、はたして生きていけるのでしょうか。
どうかそうならないように、少し周りにも目を向けて生きていきたいと思います。

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