ちょっと腰掛けて、読書をしたり、テレビを見たりする為のパーソナルチェアです。
以前、ここでもお話しいたしましたが、ダイニングチェアなどの、長時間座る前提でない椅子の場合、基本的に座グリは積極的にお薦めしない考え方でいます。
勿論、それ自体を否定している訳ではありません。
手間をかけてきちんと大腿部裏側の体圧分布を平均化できている座グリをされた板座の当りの良さを認識した上で、一見、万人向け風や見た目重視で中途半端に丸めるぐらいなら、コストパフォーマンスから考えると、いっそ割り切ってしまってもいいのでは、というご提案の意味であります。
また例えば、丸一日も座りつづけるような用途の椅子といたしますと、そもそも板座自体があわないのではないかと思います。
そんなこともあり、この椅子は、お尻のカタチに丸く彫込むタイプのいわゆる座グリとはちょっと違ったアプローチで、体との接点を取っています。
そのベースになるのが、下のスケッチです。
体との接点は、座骨とそして骨盤の上部を少し前向きに押すカタチで接し、いわゆるランバーサポートのような方法で姿勢を支えます。
座面だけでなく、大腿部、腰部一帯を支える椅子の支持部全体のバランスで座り心地にアプローチしてみると、ちょっと腰掛けて、読書をしたり、くつろいだりするのに程よい座り心地の椅子になりました。
当たり前のようにされていることから、あえて外してみる。
すると、そこから別のなにかが見えてくることがある。
そんな感じでしょうか。
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