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												 耳付の板を棚板に用いた飾り棚です。 
													今回、共木から木取りした板ならではの、2枚の板のつながりのある木目、木肌のラインを、よりはっきりと表出させる為、それを支える脚柱には、角材の無機的なカタチを極めてシンプルに組合わせて、対極的にシルエットが浮かぶようにデザインをしました。 
													このような板を用いる場合、常々考えることは、すべてをこちらの意図で丸め込んでしまわないようにしようということです。 
													野や山に立っていた樹を切り倒し、それをまた薄く板にスライスしてしまったのは、すべて人間の都合であり、何歩、何百歩譲ったところで、樹が自ずと望んで、今の姿になった訳ではないわけです。 
													「椅子やテーブルになりたがる樹がどこにあるんや、樹は樹としての生を今ある地で全うするだけや。」 
													これはある方からいわれた言葉で、己への戒めもあり今でも心の片隅に常に置いてあります。 
													 
													自然のカタチを活かしてという言葉も、所詮はあくまで人の主観でしかないと思います。 
													そもそも、なんでもコントロールできるという思い込みから、人はあらぬ方向へ向かっているような気がします。 
													確かに、家具は道具であり、道具を作り、使うのは人である以上、それら利用できるものを都合よく解釈するのも致し方ないことかも知れません。 
													しかし、少なからずそこに癒しやここちよさなど、そのものがあるがままを求めるのであれば、すべてをこちらの都合に合わすのではなく、相手を理解し、歩み寄っていくという必要もあるのではないかと思います。 
													ただ、そこで勘違いしてはいけないことは、自分の仕事にベストを尽くさないことを、自然のものだからそこは仕方がないという言い訳に変えてしまってはいけないということ、これは己への戒めでもあります。 
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