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												 幼稚園のパンフレット棚ということで制作させていただきました。 
													ご依頼をいただいた際に、既成のモノで思ったモノが無いということから、まずは世にあるパンフレット棚というものをリサーチしてみました。 
													確かに、事務的というか、機能的に優れたものはあるのですが、やっぱり事務的というものが多い感は否めません。 
													ただ、機能という意味でいえば、やることは同じなので、いかに差別化するかは、ご依頼主のイメージやご希望をどうKAKU風にアレンジするかということになってきます。 
													 
													ご依頼主は、特に木だけにこだわられていらっしゃらなかったのですが、あまりコストをかけずにというご希望がありました。 
													素材とコストの関係についていえば、一応木の工房KAKUですので、基本的にというか、木以外の素材を使うとなりますと、デザイン的には面白いことも考えられそうですが、自分でなんとか加工できる素材ならいいですが、そうでない場合は専門の業者さんに外注しなくてはならず、材料の手配も含めかえってコストが高くなってしまう可能性が高くなります。 
													デザイン面では、設置場所をあまりとらないこと、A4サイズが横に2枚×縦に4段ぐらい置け、ボリュームのないシンプルなカタチということで、薄く縦長にレイアウトするカタチにしました。 
													広い面積の必要なところに合板を使うことで、全体的に薄い構造で軽く、なおかつ強度を保つことができます。 
													脚部はあまりごちゃごちゃしないように、なおかつ片付ける際に取り外しのできるように、木組の仕口で傾斜のもたれの対する強度を持たせ、ボルトで固めるという方法を取っています。 
													材のことでいえば、フレームにはメラピというラワンに似た南洋材をつかっているのですが、それには、南洋材とベニヤ板という組み合わせが、いい悪いを抜きにして、KAKUの世代にとっては、幼稚園や学校の設備、什器のイメージがあり、シンプルなモダンデザインになんとなく懐かしさを感じられるという意味も密かに含んでいます。 
													 
													カタチ的には完成を見たのですが、実際に使ってみますと問題も発生してきました。 
													紙を押さえる部分が少なく、風が吹くと紙が前にお辞儀してしまうのです。 
													木という素材は、当たり前ですが不透過な素材です。 
													ですので、パンフレットという性質上、紙を大きく押さえると紙面を隠してしまい、パンフレット棚としての基本機能を失ってしまいます。 
													ご依頼主のアイディアで、ここは透明なアクリルの板で正面を囲うという方法が今のデザインも損なわず、改良できるのではないかということになりました。 
													適材適所という言葉は、機能に対する基本素材の選択という基本的なことを表していると改めて気づかせてくれました。 
												 
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