[小抽き出し]


God is in the details

「神はディテールに宿る」「全体は個、個は全体である」
このぐらいのサイズのものは、日常的に全体を俯瞰し、また部分へも視線がゆき届いてしまうので、そのボリュームに対し、いわゆる逃げ場に困る、気の抜けない仕事の難しさがあると思う。
それこそ、ひとつほころびるとそこからぼろぼろと崩れ落ちるような儚さと緊張感といえるかもしれない。

お客さまからのリクエストである「道具箱が取り外せる抽き出し」という課題に対し、「道具箱を外した状態でも成立しているカタチ」「道具箱と抽き出し箱が違和感なく納まるカタチ」「カタチが機能を、機能がカタチを圧迫しない」ということを念頭におきデザインを考えた。

ボリュームのある構造材を框組のスケルトンフレームにすることでバランスを取り、また道具箱という部分が取り外されることを暗示させ、それが取り外された状態でも外されたなりのカタチを成立させている。
道具箱は側板を抽き出し箱の前板と同じにすることで、箱単体で見た時にユニークな表情を持たせることができた。
機能として蓋はマグネットを回転軸にしたことで開閉、または蓋自体を取り外して使うことができる。
これは、普段ちょっとしたものを取り出すときにいちいち蓋を外して他の位置に置いておくのは面倒であるし、道具箱を取り出してたくさんの出し入れをする場合、蓋を外すほうが使いやすいと考えてのことである。

把手選びも、全体のイメージを決定的に左右することのひとつで、今回はボリュームを押さえ、表情を引き締める意図もあり、異素材であるオイルレザーを選択した。
もちろん把手を留めているネジひとつも、素材、形状、サイズまで、すべて全体のイメージとの兼ね合いで悩んだ末に選び出されたディテールである。








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