[一枚板のダイニングテーブル]

最近、よくお問合せいただくもののひとつに一枚板ダイニングテーブルがあります。
建築家の設計したお宅のダイニングに一枚板のテーブルという組み合わせが妙にはまっていたり、木と自然素材で建てたナチュラル志向なお家には決まりごとのように置かれていたりするのを住宅やインテリア関係の雑誌で拝見します。
その為か、これからお家を建てようとされる方、ダイニングをリフォームされた方からお問合せをいただくことが多いようです。

一枚板のテーブルになるような樹はそれこそ何百年という年月を生きた大径木です。
昨今の日本では、そういう板になる樹がすごく少なくなっています。
そうなりますとその板自体に稀少価値というものが発生し、必然的に価格も高くなってきます。
価格の高い安いも、それぞれの価値観ですが、そもそもそれだけの年月を生きてきた樹ですから、それ自体がすでに価値のあることだと思います。

お客さまよりお問合せいただけば必ず聞かれるのがお値段のことです。
お問合せいただくこと自体は大変嬉しいことなのですが、お値段についていえば少し頭の痛いことがあります。

ひとつは、ご予算の事です。
例えば新築やリフォームをされたお客さまの場合、建物や設備にすべての予算を使い果たし、残ったお金でテーブルをということが多いです。
ダイニングテーブルといえば、ある意味室内においての見せ場、または家族団欒の象徴みたいなところがあり、実際居心地のいいテーブルがあれば家族が集まるという傾向もあると思います。
そういうものですから、できれば新築やリフォームの総予算の中に最初から組み込んでいていただければと思うことがしばしばあります。
全体の中で考えれば、どこか他の予算を削ってでもお気に入りのテーブルをという考え方もできると思いますが、残った予算でということになりますと、足りない場合どうしても妥協かあきらめということになり、せっかくの新しいお部屋が気持ち的に未完成ということになってしまいかねません。

もうひとつはお見積りについてです。
一枚板になる丸太というのが、市で競られて値段のつくものなので、そもそも定価というものがありません。
その丸太を買った業者が製材し、それにどのような値段の付け方をするか、乾燥期間の経費諸々含め、単純に樹種による相場というものがなく、その板一枚一枚が固有に値段をもっているということがほとんどなのです。
お寿司屋さんでいうところの「今日のお薦め…時価」みたいなものですね。
昨今はネットを利用して情報というものが集めやすいですので、相場の傾向というもの掴みやすいのですが、ただやはり一枚一枚違うものですし、たまたまその板がナンボということが多いので、はっきりおいくらとはやはり申し上げにくいものです。
また脚のデザインによってかかる手間賃が違うこともあります。

ですので、こちらから一方的な希望をいわせていただけば、一枚板のテーブルのお求めをお考えになりお問合せいただく場合、「今日のお薦め…時価」になってしまうことをご理解いただき、できればネットの検索等をご利用になられて、一枚板のお値段の傾向というものを大雑把でも掴まれて、ある程度のご予算の上限をお決めになっていただいているとお話もすすめやすいと思います。
ご予算がお決まりでしたら、ご希望をお伺いさせていただいた中で、その範囲でできること(お役に立てない場合もあることはご容赦ください。)をご提案させていただきます。

今回は少し現実的なお話になってしまいましたね。
一枚板のテーブルに関しましては、制作する時のお話や、使った時のお話もあったりしますが、少々長くなり過ぎますので、それはまたの機会とさせていただきます。


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